アル・ラシードの道化役バハルル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「アル・ラシードの道化役バハルル」の解説
昔、教王(カリーファ)ハールーン・アル・ラシードには「賢人バハルル」という道化役がいた。 ある日、教王がバハルルに「バグダードにいる馬鹿者の一覧表を作れ」と命じたところ、バハルルは「利口者の一覧表ならすぐできるので、それ以外は全員馬鹿者です。」と答えた。 またある日、バハルルは教王の玉座にふざけて座ったため、罰として棍棒で打たれたが、「少し座っただけでこんなに打たれるのなら、いつも座っている教王はどれほどの罰を受けるのであろう。」と言った。 また、バハルルは結婚を嫌がり独身であったが、ある日、教王が美しい乙女とむりやり結婚させた。結婚初夜、バハルルは寝室を飛び出し、宮殿内を大声を上げて走り回った。教王が呼び止め理由を聞くと、「新妻の胸から、着物が欲しい、ヴェールが欲しい、上着が欲しいといった諸々の声が聞こえてきたので、恐怖のあまり走り回ったのです。」と答えた。 またある日、バハルルは教王が差し出した1000ディナールを辞退した。教王がその理由を聞くと、片足を曲げ、片足を伸ばして教王の御前に座っていたバハルルは、「その金をもらうと両足を伸ばして座ることができなくなるから。」と答えた。 またある日、教王が非常に喉を渇かして水を所望したとき、バハルルは一杯の水を差し出して、「この一杯の水にどれほどの価値がありましょうか。」と聞いた。教王は「領土の半分の価値がある。」と答えた。バハルルは「小水を出したくなったとき、小水を出す権利にはどれほどの価値がありましょうか。」と聞いた。教王は「領土の残り半分の価値がある。」と答えた。バハルルは「領土の価値は、たったそれだけでしょうか。」と言った。
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