アルティメットエコロジーとは? わかりやすく解説

アルティメット エコロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/03 01:53 UTC 版)

アルティメット エコロジー
ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード
開発元 カプコン
発売元 カプコン
人数 1 - 2人(同時プレイ可)
メディア アーケードゲーム基板
発売日 1994年4月[1](レンタル)
1994年6月[1]
2002年(販売)
システム基板 CPシステムII
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アルティメット エコロジー[2]』(Ultimate Ecology、: Eco Fighters)は、カプコンが1994年[3]に制作した、アーケード向けの横スクロールシューティングゲーム。360°全方位にショットが発射可能なゲームシステムが特徴。

当作品は元々アーケードゲーム雑誌『ゲーメスト』誌上にて1989年頃に行われていた「ゲーム企画募集」の一般公募で最優秀賞に選ばれたアイディアを基に開発されたゲームである。当初の設定では、タイトルである「アルティメットエコロジー」の通り、主人公機は「環境を破壊せずに敵を倒せる兵器である」ことが重視されていた。そのため「原始的武器である鉄球(ハンマー)を振り回して戦うというアイディアが斬新」と、カプコン開発チームからも高く評価されていた。『ゲーメスト』誌上で、開発の様子を特集した記事も連載された[4]

ゲームに先駆け新声社からサントラCDもリリースされた。しかし『ストリートファイターII』(1991年)発売以降のゲーム業界の時流が影響し、格闘ゲーム全盛期の中でシューティングゲームの市場は厳しくなり、開発状況が誌上に掲載されなくなる。結果的に本作は市場に出すタイミングを逃してしまった[要出典]

そして、人々に忘れ去られていた1994年6月にようやく陽の目を見ることになるが、ハンマーのみで戦うというのはバランス的に厳しかったためか、ショットがメインの攻撃方法となっており、その上日本国内では基本的にカプコンからレンタルのみのリリースに留まる。そのため、ゲームセンターよりむしろ、おもちゃ屋・レンタルビデオ店の軒先の筐体で見掛けることの方が多かった[要出典](なお、海外版『Eco Fighters』は正式に発売されている)。

当初は『ロストワールド(現:フォゴットンワールド)』で導入された独自の入力デバイス「ローリングスイッチ」の活用を想定したゲーム内容だったが、結果的に、通常のアーケードゲーム筐体(レバー・ボタン)でもプレイ可能な仕様に調整され[5]、日本国内ではレンタルのみで市場に出回るかたちとなった(北米では販売)。カプコン社員によれば出荷された台数も少なかった[6]とのことで、「幻のゲーム」扱いもされている[6]。8年後の2002年に、国内でも正式に基板が販売された( これは在庫として余っていたCPシステムII基板の処分と、売れ残ったミッチェルの『長江』の再利用が目的である[要出典])。また、家庭用のプラットフォームにも移植されている(詳細は#移植版を参照)。

ゲーム内容

全7ステージ、一周エンド。残機はスコアによるエクステンド制。2人同時プレイ可能。

操作は方向レバー+3ボタン[5]。ボタンの内1つがショットの発射、残り2つが後述の「アーム」の回転(一方が時計回り、もう一方が反時計回り)に対応。

プレイヤーの機体には「アーム」が装備されており、メインショットはアームの先端から発射される。アームは機体を中心に、自在に回転可能のため、360°全方位へショットの発射が可能。また、アームの先端は、小さな敵弾を防いだり、直接敵に接触させて攻撃することもできる。

アイテム

ダイヤ
敵を破壊すると出現する得点アイテム。
取得すると画面下部の "POW" のカウントが上昇し、カウントが20になると、アームのアイテムを持ったキャリアーが出現する。
大きさや形は様々で、それぞれ得点や上昇するカウントが異なる。
また、稀にアームの「レベル(後述)」を一気に最大にする、特殊なダイヤが出現する。
アーム
上述の条件で、キャリアーに運ばれてくる。キャリアーが放出後、一定時間ごとに中身が変わり、取得したタイミングでアームの種類が決まる。
同じ種類を連続して取るとアームの「レベル」が上がり、威力などが強化される。レベルは最大5で、ミスすると2レベル下がる。また、アームを変更してもレベルは引き継がれる。
アームの種類については#アームの項目を参照。
サブウェポン
特定の位置に登場する敵キャラクターを破壊すると出現する、カプセル型のアイテム。アームと同様、一定時間ごとに内容(カプセルの文字)が変わり、取得したタイミングで装備が決まる。
サブウェポンの種類については#サブウェポンの項目を参照。

アーム

レーザーソード以外は、ショットボタン押しっぱなしで「溜め撃ち」が可能で、溜めを維持している間もショットがオート連射される(オート連射の速度はアームによって異なる)。

エナジーボール
初期装備。高速連射可能なエネルギー弾。溜め撃ちで、貫通力を持った大型の「ハイエナジーボール」を生成、発射する。
溜めを維持した状態で生成したハイエナジーボールを直接当てても攻撃可能だが、耐久力が高い敵の場合、弾が消失してしまう。
レベルアップで、通常弾が巨大化する。
ハンマー
鉄球型のアームを装着し、貫通弾を発射する。溜め撃ちで、鉄球部分を巨大化させたアームを伸ばして殴りつける(その際アームを振り回すことでさらに射程が伸びる)。
レベルアップで、貫通弾のサイズと溜め撃ち時のアームの伸びる距離が大きくなる。
鉄球部分が他のアームに比べると巨大なため、敵弾を防げる範囲も広い。
レーザーソード
近接用武器。ショットの発射や溜め撃ちの概念がなく、ショットボタンを押さずとも、攻撃判定を持ったレーザーソードが、常時アームから発生し続ける。アームを振り回すことで瞬間的に射程が(最大で画面端まで)伸びる。
レベルアップでレーザーがより長く、太くなる。
ホイール
扇状に広範囲へショットを放つ。溜め撃ちで敵を追尾する「ホーミングカッター」を発射。
溜めを維持している間、ホーミングカッターはホイールの外縁を周回し続け、接触により連続的に敵へダメージを与える。
レベルアップでショットの発射方向が増加する(最大9方向)。

サブウェポン

発射はアームのショットボタンと同一。機体から直接発射されるため、弾道はアームの角度に影響されない。レベルの概念はなく、同じアイテムを連続して取得しても強化はされない。またミスしても失われず、他のサブウェポンを取るか残機をすべて失うまで、装備は維持される。

バルカン (V)
機体前方へ水平に発射される。
ボム (B)
放物線を描いて落下し、着弾時に爆風が広がる。
ホーミング (H)
敵を自動的に追尾する。

ストーリー

人類が宇宙へ進出したことで、惑星資源発掘が企業経営として成り立つようになった遠未来。惑星開発企業の最大手「ゴヨーク社」は、数多の惑星の資源を搾取、環境を汚染し、死の星へと変えてきた。その魔の手は、緑と水の惑星・エルウッドにも伸びてきた。

エルウッドの環境が無残に破壊されていく中、自然を愛する科学者・モリー博士は、ゴヨーク社の廃棄物から戦闘メカを開発。ゴヨーク社の野望を止め、元の美しい自然を取り戻すため、2人の孫にその使命を託した。

登場人物

モリー博士
本作の自機を開発した科学者。
作中では、各ステージ開始時に、状況や攻撃目標などを報告する。
アイス / ネナ
モリー博士の孫たちで、それぞれ1P側の機体、2P側の機体のパイロット。
作中ではエンディングのスタッフロールで姿が確認できる。
ゴヨーク
「ゴヨーク社」社長。オープニングデモ、およびステージ6以降の会話デモに登場。
また、ステージ6のボスは、彼を象った巨大メカとなっている。

移植版

プラットフォームによっては、アナログスティックがアームの回転操作に対応しているものもある。

スタッフ

  • オブジェクト: S・Y、IMOMUSHI、CHAMA、THE PIN K、DWAY!、OVAVA、MINOBEYAN、KAKUNAKA
  • 背景: GO、Y・N、MAY、ZIGGY、OYAMI、HIROPON
  • プログラム: YUUYA、A・KOMORINI、TILDE・KAW、COMMANDER GUCHI、SOME-P
  • サウンドデザイナー: TOSHIO・K(梶野俊夫)、HIROAKI・K(近藤広明)
  • ミュージックコンポーザー: SYUN(西垣俊)
  • ボイス: K-TA NISHIHARA(西原K太)、YOSHIYA NEMOTO(根本嘉也)、CHISA YOKOYAMA(横山智佐
  • プランナー: MESHI、KONOU、ETOS
  • スペシャルサンクス: SHO、SENSEI(末次春樹)、NEZUMI、BUPPO、SHIN、AOI MIX、TARABAR、Y・IDA、MR SHIRAIWA、GAMEST AND ALL CAPCOM STAFF
  • プロデューサー: YOKAMOTO(岡本吉起
  • オリジナルプランナー: KEISUKE MORI(森圭介) - 『ゲーメスト』誌上ゲーム募集企画 最優秀賞受賞者

サウンドトラック

  • 『ゲーメスト』を出版していた新声社より、1994年1月22日発売。タイトルが『アルティットエコロジー』表記となっている。
  • ソニー・ミュージックエンタテインメントからも、『エコロジー/アーケードゲームトラック』名義で、1994年2月2日に発売。

脚注

  1. ^ a b アミューズメント通信社 刊、赤木真澄 著『アーケードTVゲームリスト 国内・海外編 (1971-2005)』ISBN 978-4990251215 p.24, 113
  2. ^ “アルティット エコロジー”などの表記ゆれあり。
  3. ^ 基板起動時の画面には "19931201" の表示がある。
  4. ^ 1990年頃『ゲーメスト』で発表された仕様では「CPシステム基板対応作品、『ロストワールド』に採用されていたローリングスイッチを使用する」として開発中と報告され、ゲーム画面も掲載されている。
  5. ^ a b ローリングスイッチはJAMMAコネクターに制御用のサブボードを別途接続するもので、プログラム上ではアナログ制御用のデータは残っている。また、その試作用のサブコネクターも現存しており、個人での所有も確認されている[要出典]
  6. ^ a b エンターブレイン 刊 『カプコンデザインワークス アーリーデイズ』ISBN 978-4757718470 p.129, 131
  7. ^ 緑里孝行 (2022年7月22日). “名作アーケードコレクションの第2弾「カプコンアーケード 2ndスタジアム」本日発売! バラエティ豊かな全32タイトルがラインナップ”. GAME Watch. インプレス. 2022年7月26日閲覧。

「アルティメット エコロジー」の例文・使い方・用例・文例

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