アルキメデス付値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/04 18:40 UTC 版)
乗法付値の定義において、条件3 の定数 c は、常に c ≥ 1 であるが、c = 1 と選ぶことができるとき、非アルキメデス付値または非アルキメデス的付値という。非アルキメデス付値でない乗法付値のことをアルキメデス付値またはアルキメデス的付値という。 自明な付値や、任意の素数 p に対する有理数体上の p-進付値は非アルキメデス付値である。また、実数体または複素数体上の絶対値はアルキメデス付値である。 任意の非アルキメデス付値 |•| は、任意の正整数 n に対して、|n 1| ≤ 1 を満たす。逆に、任意の正整数 n に対して、|n 1| ≤ c となる n に無関係な定数 c が存在する乗法付値は非アルキメデス付値である。 このことから、アルキメデス付値を持つ体の標数は 0 である。従って、有限体の乗法付値は全て非アルキメデス付値である。より正確には、有限体の乗法付値は自明な付値だけである。 しかし、標数が 0 であっても、アルキメデス付値を持たない場合がある。体の(集合論的)濃度が連続体濃度よりも真に大きい体は、アルキメデス付値を持たない。このことは次の定理からの帰結である。 オストロフスキーの定理 必ずしも可換とは限らない体 K がアルキメデス付値 |•| を持つとする。このとき、K から複素数体(K が可換体であるとき)または四元数体(K が斜体のとき)の中への同型写像 φ と正数 ρ が存在して、 | α | = | φ ( α ) | ∞ ρ ( α ∈ K ) {\displaystyle |\alpha |=|\varphi (\alpha )|_{\infty }^{\rho }\quad (\alpha \in K)} が成立する。ここで |•|∞ は複素数体または四元数体の絶対値である。従って、四元数体の部分体と同型な体はアルキメデス付値を持つ。
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