アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)の意味・解説 

アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 14:03 UTC 版)

『アダムとイヴ』
英語: Adam and Eve
ドイツ語: Sündenfall
作者 ルーカス・クラナッハ
製作年 1537年以降
種類 ブナ板上に油彩
寸法 53.3 cm × 37.1 cm (21.0 in × 14.6 in)
所蔵 美術史美術館ウィーン

アダムとイヴ』(: Adam and Eve)、または『堕罪』(だざい、: Sündenfall: Fall of Man)は、ドイツルネサンス期の画家ルーカス・クラナッハ (父) がブナ板上に油彩で制作した絵画である。画面下部右側にクラナッハが署名代わりに用いた翼のある蛇の紋章が記されている[1][2]が、画家は1537年以降にこの紋章を用いるようになったため、1537年以前に制作されたものではないことがわかる[1]。本作は、クラナッハとその工房が手掛けた構図の異なる50点以上の「アダムとイヴ」のうちの1点である[1]。1806年にザルツブルク大司教の居宅からウィーンに移され、現在は美術史美術館に所蔵されている[1][2]

作品

クラナッハとその工房が手掛けた「アダムとイヴ」は、ウフィツィ美術館の『アダムとイヴ[3][4][5]のようにたいていの場合は分割された2枚の板に等身大のアダムイヴが一対として描かれる。しかし、本作のように小さな矩形の画面に2人がまとめられている作品もある。いずれにしても、クラナッハは「アダムとイヴ」の絵画に「堕罪」の瞬間そのものを描いた[1]

旧約聖書』の「創世記」 (3章) によると、アダムとイヴはエデンの園で平和に暮らしていた。しかし、ある時、ヘビがイヴをそそのかし、神に食べてはいけないと禁じられていた「知恵の樹」の実を食べ、アダムにも与えてしまう。これが「原罪」である。2人の行いを知った神は怒って、エデンの園から追放した[6]

本作に見られる地面に横たわるシカ、踊るように足を踏み出す細身のイヴの姿勢といったモティーフは、クラナッハの他の絵画にも登場する。こうしたモティーフにより、工房における絵画の生産は円滑なものとなった。とはいえ、多くの「アダムとイヴ」の絵画で、クラナッハは1つのイメージを同語反復的に繰り返すことはしなかった。画家は人物像の姿勢や身振り、その他の要素に関して多彩なレパートリーを持っており、工房の弟子たちは、それらのレパートリーにちょっとしたアレンジを加えながら、さまざまな作品を生み出したのである。このような制作手段が採用されたために、どの作品がクラナッハ自身の作で、どの作品が工房の弟子の作に過ぎないのか、その識別は困難なものとなっている[1]

同主題作

脚注

  1. ^ a b c d e f 『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、144頁。
  2. ^ a b Sündenfall”. 美術史美術館公式サイト (英語). 2024年4月13日閲覧。
  3. ^ Adamo”. ウフィツィ美術館公式サイト(イタリア語). 2023年8月1日閲覧。
  4. ^ Eva”. ウフィツィ美術館公式サイト(イタリア語). 2023年8月1日閲覧。
  5. ^ 『週刊世界の美術館 No.60 ウフィツィ美術館』、2001年 10-11頁。
  6. ^ 大島力 2013年、28頁。

参考文献

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)」の関連用語

1
98% |||||

アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアダムとイヴ (クラナッハ、ウィーン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS