キューピッド_(クラナッハの絵画)とは? わかりやすく解説

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キューピッド (クラナッハの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 03:52 UTC 版)

『キューピッド』
英語: Cupid
ドイツ語: Amor
作者 ルーカス・クラナッハ (父)
製作年 1515年ごろ、または1530年ごろ
種類 菩提樹板上に油彩
寸法 81 cm × 36 cm (32 in × 14 in)
所蔵 美術史美術館ウィーン

キューピッド』(: Amor: Cupid)は、ドイツルネサンス期の画家ルーカス・クラナッハ (父) が1515年ごろ[1]、または1530年ごろに[2]菩提樹板の上に油彩で制作した絵画である。画家は「ヴィーナスとキューピッド」を題材とした、少しずつ異なるヴァリエーションを繰り返し描いた[1]が、本作も元来はそうした作品の1つであったものの断片で、ギリシア神話の愛の神キューピッドを表している[1]。作品は1663年にアンブラス城のコレクションに記録されており[2]、現在はウィーン美術史美術館に所蔵されている[1][2]

作品

キューピッドは、ヴィーナスマルスの息子とされる[1]古代ギリシアではエロスと呼ばれ、偉大な愛の神として崇められたが、ヘレニズム期から古代ローマ期以降は「愛欲の神」として矮小化され、その姿も青年から少年へ、そして幼児へと変貌する[3]。彼の矢に一たび射られると、人は分別を失い、恋心の赴くままに行動してしまうとされる[1][3]

クラナッハは、1509年にアルプス以北で最初のヴィーナスの等身大の裸体像『ヴィーナスとキューピッド』 (エルミタージュ美術館) を描いて以降、数十年にわたり同一主題の絵画を様々に描いた。それらの作品の多くで、キューピッドは総じてはしゃいだ姿を見せているが、本作のキューピッドは比較的おとなしく、エルミタージュ美術館の所蔵作を想起させる[1]

画面のキューピッドは弓矢をつがえながら、身体を捻って肩越しに振り返り、鑑賞者を見ている[1][2]。羽のある彼の翼は、入念な筆致で生き生きと描かれている[1]。画面右端には、裸体のヴィーナスの脚のごく一部分が微かに見えている[1][2]。切断されているこの絵画本来の姿は、それを複製にした17世紀のキャンバス画 (ヴァイマール、古典期財団蔵) に見て取れる。その複製で、ヴィーナスはチョーカーのような黄金の首飾りと透明といってよい薄いヴェールを纏い、鑑賞者のほうを見つめている[1]

なお、ヴァイマールの複製が失われた本作を忠実に模写したものであれば、本作の失われた部分には「キューピッドの放つ矢に用心されよ」という道徳的な警句を含む銘文が記されていたはずである[1]

同主題作

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、128頁。
  2. ^ a b c d e Amor”. 美術史美術館公式サイト (英語). 2024年4月28日閲覧。
  3. ^ a b 「聖書」と「神話」の象徴図鑑 2011年、125頁。

参考文献

外部リンク




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