アダマンティナスクスとは? わかりやすく解説

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アダマンティナスクス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/06 22:24 UTC 版)

アダマンティナスクス
復元図
地質時代
後期白亜紀カンパニアン期またはマーストリヒチアン期)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜型下綱 Archosauromorpha
階級なし : クルロタルシ類 Crurotarsi
上目 : ワニ形上目 Crocodylomorpha
亜目 : ノトスクス亜目英語版 Notosuchia
: アダマンティナスクス属 Adamantinasuchus
学名
Adamantinasuchus
Nobre and Carvalho, 2006
タイプ種
Adamantinasuchus navae
Nobre and Carvalho, 2006

アダマンティナスクス学名Adamantinasuchus)は、ノトスクス類英語版に属する絶滅したワニ形上目爬虫類[1]。タイプ種Adamantinasuchus navaeのみを含む単型の属である[2]化石ブラジルサンパウロ州バウル層群英語版アダマンティナ層英語版から産出している[2]哺乳類に似た異歯性を示し、食性は雑食性・腐肉食性・小型脊椎動物を主体とする肉食性が考えられている[2]

発見と命名

タイプ種A. navaeの化石は、ブラジルのバウル盆地に分布するバウル層群英語版アダマンティナ層英語版の最下部層から産出した[2]。産地は同国サンパウロ州マリーリアから南西に25キロメートル離れた地点であり、マリーリアにを供給する貯水ダムの付近であった[2]。Nobre and Carvalho (2006)において産地あるいはアダマンティナ層最下部(当該層準をAraçatuba層として区分する見解もある)の詳細な岩相は説明されていないが、アダマンティナ層は砂岩、シルト岩を含む泥岩・粘土質砂岩から構成されると説明されている[2]

バウル層群の地質年代については議論がある[3]。Nobre and Carvalho (2006)はアダマンティナ層の年代をチューロニアン階からサントニアン階としているが[2]、その後のMariliasuchus amaraliの再記載においてNobre and Carvalho (2013)はより新しいカンパニアン階からマーストリヒチアン階としている[3]

回収された化石はリオデジャネイロ連邦大学に所蔵され、UFRJ-DG 107-Rという標本番号を付与された[2]。当該標本は頭部領域において主に右側の頭骨と下顎が保存されており、外鼻孔周辺の前上顎骨において左側も保存されている[2]。前上顎骨と上顎骨は歯列を保存しており、下顎の歯骨は前側の3本の歯と後側の歯槽を保存している[2]。後頭部は破損しており、鱗状骨の背外側部と、上側頭窓の縁の一部のみが観察できる[2]。体骨格は左右の大腿骨橈骨尺骨、複数本の中足骨趾骨が保存されているが、いずれも断片的である[2]

Adamantinasuchus navaeは本標本に基づいてNobre and Carvalho (2013)により新属新種として命名された[2]。属名はホロタイプ標本がアダマンティナ層から産出したことを反映しており、種小名は標本を採集したWilliam Roberto Navaへの献名である[2]

特徴

A. navaeは、前後に短く背腹に高いドーム状の吻部を持ち、左右で癒合した外鼻孔が吻部の最前部に位置する[2]。頭骨の外側に開いた眼窩は非常に大型である[2]頬骨は横断面が三角形状で、また外側から見ると薄く長く前後に伸びる[2]。頬骨の前外側面には大型の孔が開いており、上顎骨に開いた一連の栄養孔と同一直線状に位置する[2]。下顎は頑強であり、上顎に対して凹なアーチ状をなす[2]

上述した頭骨の形質状態に加え、歯の形態もアダマンティナスクス独自の形質の組み合わせを構成している[2]。確認されている上顎の歯は高度な異歯性を示しており、円錐形の切歯状の歯が2本、肥大化した犬歯状の歯が1本、大臼歯状の歯が7本存在する[2]。大臼歯状の歯は唇舌方向に長軸を持つ楕円形の断面を持ち、また舌側面に小歯状突起を持つ一方で唇側面が滑らかである[2]。前側の3本が前上顎骨歯、後側の7本が上顎骨歯であり、前上顎骨歯は獲物の捕獲に、上顎骨歯は食餌の剪断や破砕に用いられていたと推測されている[2]

出典

  1. ^ 小林快次『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』北海道大学出版会、2013年7月25日、14頁。ISBN 978-4-8329-1398-1 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w Pedro Henrique Nobre; Ismar de Souza Carvalho (2011-07-06). Adamantinasuchus navae: A new Gondwanan Crocodylomorpha (Mesoeucrocodylia) from the Late Cretaceous of Brazil. オリジナルの2011-07-06時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110706162553/http://acd.ufrj.br/ismar/3/3_16.pdf. 
  3. ^ a b Pedro Henrique Nobre & Ismar de Souza Carvalho (2013). “Postcranial skeleton of Mariliasuchus amarali Carvalho and Bertini, 1999 (Mesoeucrocodylia) from the Bauru Basin, Upper Cretaceous of Brazil”. Ameghiniana 50 (1): 98–113. doi:10.5710/amgh.15.8.2012.500. http://www.ameghiniana.org.ar/index.php/ameghiniana/article/view/500. 



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