アシエンダの発祥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/28 16:11 UTC 版)
征服当初、先住民の人口は稠密で、スペイン人が土地を買おうとしても売ってもらえず、またエンコミエンダ制で物納される農産物で都市市場は飽和していたため、スペイン人が市場向け農業を行なっても儲けは見込めなかった。ところが16世紀半ばには先住民の人口が激減し、貢納が減り農産品は値上がりした。先住民の村落に増えた空き地をスペイン人が買い入れ、都市や鉱山向けの農業、牧畜経営を始めた。この時期にスペイン当局が植民者に土地を恩貸地として贈与したのがアシエンダの始まりで、16世紀末には土地所有権が確立した。アシエンダは本来は「財産」を意味する言葉であったが、地価の上昇とともに不動産として「土地」の意味に代わった。土地が極端に値崩れしていたため、アシエンダの面積は総じて広く、最低でも数百ヘクタール、過疎地のエスタンシア(牧畜アシエンダ)は数万ヘクタール規模であった。 18世紀になると先住民人口は回復傾向に至るが、先住民を労働力として確保したいアセンダードらは、土地を先住民に売り戻すことはなかった。こうしてアシエンダの広大な土地のすぐ隣に、先住民の土地は細分化され、経営は零細化する。この大土地経営と零細経営の併存した構造は今日のラテン・アメリカ農業まで恒常化した。
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