アイリス・チャンの「天皇の陰謀説」
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「南京事件論争」の記事における「アイリス・チャンの「天皇の陰謀説」」の解説
日本軍部の現場での捕虜殺害命令についての議論とは別に、アイリス・チャンは著書『ザ・レイプ・オブ・南京』で、デビッド・バーガミニ(英語版)の著書『天皇の陰謀』(1971)に基づいて、昭和天皇が朝香宮鳩彦中将に日本軍指揮を命じ、その後朝香宮中将またはその参謀が「捕虜はすべて殺害せよ」との命令を発したと主張した。しかし、アメリカン大学名誉教授のリチャード・フィンはアメリカの歴史家はバーガミニが使った情報源に懐疑的で、天皇や朝香宮中将による命令について信頼に足る証拠はないと批判した。歴史家のバーバラ・タックマンはバーガミニの『天皇の陰謀』は「ほぼ完全に、著者の推論と悪意ある解釈を好む性向の産物」と非難した。 ただし、実は日本陸軍は、捕虜殺害命令というより、戦時国際法(ハーグ陸戦条約)を蔑ろにしてもよいととれる命令を日中戦争開始後に出したため、捕虜の殺害が正当化されたという説がある(詳しくは#投降兵・捕虜の扱いと戦時国際法を参照)が、この命令はあくまで陸軍省独自の判断による通達であり、たとえ軍の統帥権を持つとしても(戦時国際法を重んじた)天皇陛下の命令では全くない。[要出典]なお、日本陸軍による捕虜殺害についての、中島今朝吾日記を捕虜殺害命令とする説と論争については#陣中日誌を参照。
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