ユネスコ‐じょうやく〔‐デウヤク〕【ユネスコ条約】
読み方:ゆねすこじょうやく
ユネスコ条約(ゆねすこじょうやく)(the UNESCO treaty)
盗難にあった美術品などの文化財について、条約を締結した国同士で輸入と輸出を禁止するという内容。1970年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の総会で採択された。
条約の趣旨は、ある国で盗まれた文化財が国外へ流出し、他国の市場で売買されるという事態を防ぐことにある。文化財の流出は文化的な損失だし、いったん他国で流通したものを取り戻すのは一般に難しい。そこで、盗難の被害国からの要請があれば返還のための措置をとるべきことを定めている。
現在、世界の92か国がユネスコ条約を締結しているが、これまで日本は締結していなかった。というのも、日本の法律(民法)では、たとえ盗難品であったとしても、盗難の事実を知らずに自分のものとしたときは善意取得として所有権が認められるからだ。あとで被害者が返還を求めようとしても、2年の時効で返還請求権そのものが消滅してしまう。
なお、ユネスコ条約の正式名称は、「文化財の不法な輸出入および所有権の移転の禁止および防止に関する条約」。
(2002.06.14更新)
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