ばんえい競馬の能力試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 10:12 UTC 版)
北海道で行われているばんえい競馬では、能力試験を合格できなかったり、あるいは満足な競走成績が残せなかったりした馬のうち、牡馬のほとんどは、主に肥育業者が集まる競りに出場され、食肉用途に肥育される。1年間に生産される馬のうち、ばんえい競馬の競走馬を目指す馬は1割半ば-2割程度で、残りは当歳秋市場または1歳馬市場で肥育業者向けに出荷されるか、繁殖牝馬となる。 当歳秋市場や1歳馬市場に出場して取引されれば、売却価格の半分以上が生産者の利益となるが、ばんえい競馬の競走馬を目指して2歳まで調教した揚句不合格になると、市場で取引しても生産者や馬主にとっては赤字となることから、来場した生産者や馬主は必死に愛馬に対して声援を送る。また、ばんえい競馬はその性質上騎手の技術が大きく影響することから、能力試験でも騎乗する騎手が誰になるかで結果が大きく変わることもあるため、騎手の選定も重要な要素となっている。 ばんえい競馬の能力試験は2003年(平成15年)まで厳格な定員制を採用してきたが、畜産業の低迷で生産頭数が大きく減少したうえ、勝馬投票券の売り上げが低迷し賞金額や競走馬の取引価格が下落するなど、ばんえい競馬の競走馬に育て上げることへの魅力が乏しくなることで受験馬も激減したため、出走頭数確保のため2004年(平成16年)度から基準タイム制に移行した。基準タイムも通常のレースの2倍程度に設定されているため、毎年8割以上の受験馬が合格するようになり、以前ほどの盛り上がりはみられなくなっている。ただしその代わり、極端にレースで遅い結果が出た馬については能力再検査が指示されるため(1回目は「基準タイム超過」、2回目は「3着入線馬から60秒以上離されてゴール」が基準)、デビューはできても2~3戦程度で姿を消す馬も少なくない。
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