耽美小説
美的なものに最上の価値や意義を見出し、社会常識や道徳・規範を敢えて度外視しても美意識を追求する、いわゆる「耽美主義」的な考え方が根本に据え置かれた小説を指す言い方。
いわゆる耽美的なものは必ずしも背徳的・反社会的なものとは限らないが、耽美的なモチーフを表現する手がかりとして、破戒・背徳・禁断の愛・刹那的享楽・エロ・グロ・退廃・死などが扱われる場合は少なくない。
古典的文学作品における耽美小説の代表的な例としては、オスカー・ワイルドの「サロメ」「ドリアン・グレイの肖像」、あるいは谷崎潤一郎の「春琴抄」などが挙げられることが多い。
2010年代現在では、「耽美小説」は男性どうしの道ならぬ愛と官能を耽美的に描いた小説等の作品(いわゆるBL)の異称として用いられている場合が少なくない。もっともこの風潮は今に始まったことではなく、1970年代には既に男性の同性愛を描いた女性向けの作品が「(お)耽美」と呼ばれており、その派生的表現として「ボーイズラブ(BL)」なる語が提唱された、という経緯が定説となっている。
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