脧
読み方:しじ
- 小児の陰茎を云ふ。「しじ」は「縮(しじ)み」の意かと説く学者もあり。されど「しじ」始めは「脧(しじ)」の漢字を当て、近世に至りては「指似」と書けり。脧(しじ)は女陰なりと註せるもあり。察するに和名の「しじ」は男女陰具の総称たりしが、後に童の陰名に変りしならん。延宝六年版の『恋の息うつし』に曰く「十二、三の小姓、しじを握りすくめて居たる所へ…」同〈「若衆もしじを角の如くにして出しける」〉此「しじ」今は廃語なれども、東北の某地方にては童陰を今尚「しじこ」と唱ふる由、「こ」は「そそツこ」と云ふが如き附加語なり。されば「しじ」の廃語が某地の方言として今尚存するものと見るべし。
- 脧。童陰をいふ。転じて男女陰具に通ず。諸説あり。始め脧と書し、後世には「指似」と当てたり。「痿陰隠逸伝」に「いとけなきを指似といひ」とあり。もと男女陰具の総称なりしが後に童陰(殊に男児)の称となれり、脧は女陰なりと注せる書もあれば北村信節の如きは「しじは宍にて肉具の義、男陰総称也、小児に限るは非なり」といへるあり。「今物語」中の歌も男陰総称の義に詠めり。寂蓮の歌に「この山のしじいかめしく見ゆるかないかなる神の広前ぞこは」とあり、「昨日は今日の物語」下の中、道明寺の僧侶ども二字寺の尼の許へ通ひけるを詠める落首に「二字でらも今は六字となりにけり、道明寺よりしじを入るれば」とあり。童陰の意なりとせるものは「和漢三才図絵」に「脧、俗云指似、〓同、赤子陰也」を初め延宝六年版「恋の息うつし」に「十二三の小姓しじを握りすくめてゐたるところへ」同「若衆もしじを角の如くにして出しける」などあり。「松屋筆記」にも「陰茎をしじと云ふはもと縮みたるさまよりいへるにて関東にては小児童の陽物に限れる詞なり。新撰狂歌集雑部に教月坊ある時女院の御所御庭せばきとて此人の地をとりて御庭のまへをひろげ給へば、によういんのおまへのひろくなる事は教月ぼうがしじのいるゆへ、と四至の入るに陽物の入るをよせたり」とあり。
- 赤子の陰。転じて女根。
- 『和漢三才図会』に「脧、俗云指似、〓同、赤子陰也説文云赤子陰也音〓(サイ)」とあり、北村信節の説に従へば「シジ」は「宍(シジ)」にて肉具の義、男陰総称也小児 限るは非なりと、又古き歌『今物語』には男根総称の意によめり。
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