がんとアポトーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:54 UTC 版)
イニシエーション(en:Tumor initiation)とプロモーションによって細胞増殖が起き過形成となるとアポトーシスの機構が働き、細胞の増殖が抑えられる。しかしアポトーシスが進行して細胞数が減ると逆に体内でアポトーシスを抑制して細胞増殖を促進するようになる。例えば放射線で誘発されるリンパ腫の実験ではアポトーシスを起こしやすい動物系統がリンパ腫を発生させやすい。アポトーシスが起こり細胞が減少するとアポトーシスを抑制して細胞増殖を促進させるようになり、これが癌化への引き金となる。ウイルス感染(エプスタインバーウイルス(EBV)、パピローマウイルス(HPV)、ヒトT細胞白血病ウイルス、B型及びC型肝炎ウイルス)、化学物質による発がんも放射線誘発発がんと同様にアポトーシスの亢進に引き続くアポトーシスの抑制(遺伝子bcl-2の活性化)が癌化に際して重要な要因となっている。がん抑制遺伝子p53はDNA損傷の修復を助けるが、損傷を修復できない場合にはアポトーシスを誘発させて細胞ごと消去する。p53に異常があるとアポトーシスが起こりにくくなり発がんにつながることになる。
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