かわたれや見るなの部屋の燕子花
作 者 |
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季 語 |
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季 節 |
夏 |
出 典 |
遊戯の家 |
前 書 |
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評 言 |
「この人の一句」にこんなに悩んだのは初めてでした。ずっと惹かれ続けていた句の中に入っていなかったこの句が、寝苦しく眠れない夜明け前に「かわたれやかわたれや」と迫ってきたのです。 「彼は誰」とは、明け方の薄暗い時の事、まさにその時でした。ここに「誰そ彼」を持ってこないところが彩さんらしいのです。夕方の昏さではつまらない。誰もが、まだ眠っている昏さの中にこそ、彼女の世界があるような気がします。 「らん」の金子彩さんにファンレターを出したのが、つい昨日のようです。 俳句界の不良少女と呼ばれ(本当かしら)席を譲られる事が苦手で、俳人と呼ばれるのが嫌いだという金原まさ子が、その人でした。 私の中にA子とB子がいるのです。と言いながら、こんなに自然に上品に、そこらの若者よりもぶっとんでいるんです。 そう、あなたはジャズよりもロック。 別々の夢見て貝柱と貝は 独創的で、都会的な、どこか乾いた、まさ子さんの世界は、他の誰のものとも違っていました。私にとっての「見るなの部屋」だったのです。玄関を開ければ見える奥座敷で育った田舎の少女には、あまりにも眩しいのです。悪戯な目を、見るなの部屋の鍵穴にさしこんでいるのは、幼い日のまあちゃん。 そしてあの日「徹子の部屋」のソファーに堂々と座る、あなたを初めて見ました。 A子とB子も同じ服を着て、違う夢を見ているのでしょうか。 良い人は天国へ行ける。悪い人はどこへでも行ける。と言っているのは、102歳のまさ子さん。 撮影:青木繁伸(群馬県前橋市) |
評 者 |
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備 考 |
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