おにはにはにはにはとりがゐるはるは
作 者 |
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季 語 |
春 |
季 節 |
春 |
出 典 |
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前 書 |
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評 言 |
「にはにはにはにはとりがゐる」という同音異義語反復の慣用表現を活用した作品。漢字仮名混じりに改めると「お庭には二羽鶏がいる春は」ということになります。言うまでもなく、この作者の通常の作品は、現代仮名遣いで表記されていますが、この句は歴史的仮名遣いで表記されています。日本語を平仮名だけで表記したり、ローマ字だけで表記したりすると、意味がきわめて伝わりにくくなります。それは日本語に同音異議語が多いからです。 たとえばオショクジケンと書いたら汚職事件かお食事券かわからない。しかし、この特色を逆用して、日本人は古くから表現を楽しんできました。俳句なら「梅咲ぬどれがむめやらうめじゃやら 蕪村」や和歌では「ほととぎすなくやさつきのあやめぐさあやめもしらぬこひもするかな(古今集)」といったものがその例です。 掲句は、「に」が4回、「は」が6回、「には」というかたちが4回反復されていて、季節感とは無縁の言葉遊びをしながら、春の庭ののどかな風景を演出しています。こういう方法も古来からの俳句の方法の一つといえます。 |
評 者 |
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備 考 |
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