「魚神」ダゴン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 04:01 UTC 版)
ダゴンの語源を「魚」とする説は、19世紀から20世紀初期の学会で受け入れられていた。この説はさらに、アッシリアやフェニキアの「人魚」像や、ベロッソスの述べているバビロニアの半魚神オアンネスとも結びついた。 この説に最初に疑義を呈したのはハルトムート・シュメッケル (1928)である。ダゴンは「魚神」ではなく、沿岸部のカナン人(フェニキア人)の言葉で「魚」を意味する「ダグ (dâg)」に影響されたものだと唱えた。一方で、フォンテンローズは、ベロッソスの述べる半人半魚のオダコン (Odakon) がおそらくダゴンの変化した姿であろうと唱えた。 「ダグ」が「魚」であるという説は、11世紀フランスのユダヤ人聖書注釈者ラシが唱えた説である。 13世紀フランスのユダヤ人聖書学者ダヴィド・キムヒはサムエル記の「胴体だけが残されていた」という箇所を「魚の形だけ残されていた」と解釈し、「ダゴンは臍から下が魚の姿であり(ゆえにその名をダゴンという)、臍から上が人間の姿だった。その彼の両手が切り取られていたと言われている」と付け加えた。七十人訳聖書でのサムエル記上5章2-7節では、ダゴンの像の両手と頭が破壊されたと書かれている。
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