「国家に対する貢献」の勧奨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 18:33 UTC 版)
「饗宴 (クセノポン)」の記事における「「国家に対する貢献」の勧奨」の解説
続いてソクラテスはカリアスに、「パンクラティオンで勝者と宣せられるために多くの苦労・苦痛に耐えられるだけの、名誉を愛するアウトリュコスを愛するようになったことを、神々に感謝すべき」としつつ、「そんなアウトリュコスが、もし自分や父親だけの名誉のみならず、友人たちを善くし、祖国の力を大きくすることにも十分な力ある者になろうと思っていて、ギリシア人の間でも異民族の間でも人々の視線を集め、有名になろうと思っているならば、そのことについての最善の協力者であると彼がみなす者を、彼は最大の敬意を持って扱うだろう」と指摘し、もしそんな彼に気に入られたいなら、 どのようなことを心得ていたから、テミストクレースは(ペルシア戦争に勝利して)ギリシアを自由にするのに十分な力のある者になったのか どのようなことを知っていたから、ペリクレースは祖国の最大の助言者であると思われていたのか どのように知を愛し求めたから、ソローンはこの国のために最善の法を提出したのか どのようなことを練習するから、ラケダイモーン人(スパルタ人)は軍勢の最善の指揮者と思われているのか 等を考察し、調べなければならないと主張する。 さらにソクラテスは、「カリアスは、貴族の家柄で、エレクテウスの血統に属し、(ペルシア戦争のサラミス海戦にてギリシア軍を助力したと伝説される)エレウシスの秘儀におけるイアッコスの祭礼行列を司るケリュコス氏族の末裔であり、見た目も整った苦労に耐え得る体も持っているので、もしカリアスが望むのなら、アテーナイは直ちにカリアスの指揮に従うだろう」と主張する。 そして最後に、「生まれつき善い性質に恵まれていて、徳を意欲的に求める人々を、私はこの国と共に愛し続けている」ので、「酒宴でのふさわしさを超えて真剣に話したと、皆に思われたとしても、驚かないでもらいたい」と述べつつ、演説を終える。 カリアスは自分を見つめるアウトリュコスを横目に見つつ、ソクラテスに対して、「あなたは、私が政治に携わり、常にこの国を喜ばす者であるように、私とこの国との仲を取り持とうとしているのではないか」と問う。 ソクラテスはそうだと肯定しつつ、「もしカリアスの徳への意欲が、偽りではなく、常に実際の行いにおいて示され、人々が認めるだけのものであるならば」と付け加える。
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