「お月さんももいろ」事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 18:46 UTC 版)
「松谷みよ子」の記事における「「お月さんももいろ」事件」の解説
1973年、童話「お月さんももいろ」(ポプラ社)が部落解放同盟から「差別を助長する作品」とされ、抗議を受けた。 「お月さんももいろ」は、土佐の海辺に住む漁師の娘「おりの」と、山に住む猟師の若者「与吉」の物語である。おりのが与吉に贈った宝物の「ももいろさんご」を殿様の配下が奪う場面で、「横目と、その手のもん」が悪役として登場することが部落解放同盟から問題視された。横目(横目付)もその配下の「手のもん」も江戸時代に処刑や刑務に携わった非人と考えられるため、「人間の美しさ、尊厳さを、差別を踏み台にして確立するのは許されない」というのが部落解放同盟の言い分であった。 このため、「お月さんももいろ」の「横目」と「その手のもん」は省略され、あるいは「さむらい」「さむらいたち」と改竄されるに至った。 旧版 はっと与吉はかおを上げた。いつのまにきたのか、横目と、その手のもんがぐるっとおりのをとりかこんでおった。横目いうたら浦奉行の配下で、そこらをみまわっとるおそろしいやつじゃ。その横目がじっと与吉をみおろしておった。 新版 はっと与吉はかおを上げた。いつのまにきたのか、浦奉行のさむらいたちが、与吉とおりのをとりかこんでおった。そのむこうに、こおりついたように村の人たちもかたまっておった。 「部落問題」も参照
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