超高層建築物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 03:25 UTC 版)
どの程度の高さ以上の建築物を超高層ビルと呼ぶかについては、統一された明確な基準はない(#定義参照)。
定義
どのような高さや階数の建築物を超高層ビルと呼ぶかについては、統一された明確な定義はない。
日本の法律では「超高層」という用語は用いられていないが、建築基準法第20条第1号では高さが60mを超える建築物に対してそれ以下のものと異なる構造の基準を設定しており、高さ60m以上の建築物が超高層建築と呼ばれることがある[1][2][3]。また、超高層ビル群があることで有名な新宿区は「新宿区景観形成ガイドライン」[4]を定めているが、そのうちの「超高層ビルの景観形成ガイドライン」の対象も「高さ60mを超える建築物」とされている[5]。さらに航空法第51条においても60m以上の高さの物件に航空障害灯の設置を義務付けている。
日本の場合、例として『広辞苑』では、「15階以上、または、100m以上の高さの建築物を超高層建築と呼ぶことが多い」としている[6]。階高を3 - 4mと仮定すると15階は45 - 60mにあたり、15階以上と100m以上とではその高さに大きな開きがあることになる。他の書籍の例を挙げると
書籍 | 出版 | 定義 |
---|---|---|
マイペディア | 平凡社 | 100m以上 |
建築大事典 | 彰国社 | 100m以上または15階程度以上 |
建築学用語辞典 | 日本建築学会 | 15階程度以上 |
と、100m・15階程度と書籍によって値は異なっている。
日本初の超高層ビルとされるのは霞が関ビルディング(36階、地上147m)である[7]。それ以前に最も高い建築物であったホテルニューオータニ(17階、73m)は、超高層ビルとは呼ばれていなかった。
イギリスのskyscrapernews.comは、高さ150m(500ft)以上のビルを超高層ビル(skyscraper)と定義している[8]。また、300m以上(〜1,000m以下)の超高層ビル(超高層建築物)を supertall building (supertall tower)、または単に supertall (スーパートール)と呼ぶ場合がある。
高さが1,000mを超えるビルはハイパービルディング(超々高層ビル、超々高層建築物)と呼ばれ、サウジアラビアのジェッダでジェッダ・タワーが建設中である。167階建て高さ約1,008m(尖塔高)の予定で、完成すれば世界初のハイパービルディングとなるが完成見込みは不明。
概要
一般には超高層ビルと呼ばれ、摩天楼(まてんろう、「天を摩するほどの高楼」の意、英語の訳語[6])ともいう。英語では、skyscraper(スカイスクレイパー、「空を削るもの」の意)、Tower(タワー、「塔」の意)、Spire(スパイア、「尖塔」の意)などともいう。
ホーム・インシュアランス・ビルは一般的に外面・内面ともに耐火性の金属骨組を用いた最初の高層ビルと認識されている[9]。このビルは1884年に竣工し、1931年に解体された。
エンパイア・ステート・ビルディングは1972年にワールドトレードセンターのノースタワーが竣工するまでの42年間、世界一の高さを誇るビルとなっていた。
世界で最も高い超高層ビルの座は、50年以上に渡りアメリカのビルが占めていたが、近年のアジア諸国の経済力の発展に伴いその座を譲り渡している。
注釈
- ^ 1908年以前はミルウォーキー市庁舎 (Milwaukee City Hall) やフィラデルフィア市庁舎 (Philadelphia City Hall) が世界一になったことがある。
- ^ 1889年完成のモーレ・アントネリアーナ (167.5m) を世界一とすることもある。
出典
- ^ 超高層・免震建築物及び工作物の評価 - 財団法人日本建築総合試験所[リンク切れ]
- ^ 建築基準法が改正されました (PDF) - 岡山県
- ^ 2013年5月26日(日)放送 超高層ビルはなぜ倒れないの? - ラボラジオ - NHK
- ^ 新宿区景観形成ガイドライン 新宿区
- ^ 広域的な景観形成ガイドライン (PDF)
- ^ a b 広辞苑 第五版(岩波書店、1998年、ISBN 4000801112)
- ^ 昭和毎日:昭和43年4月12日 日本初の超高層ビル・霞が関ビル竣工 - 毎日jp(毎日新聞)
- ^ Article - 1244 - Huge New Rogers Skyscraper Proposed(英語)
- ^ Home Insurance Building, Chicago / Emporis.com
- ^ “How Skyscrapers Can Save the City”. The Atlantic (2011年3月). 2017年12月21日閲覧。
- ^ “全国建築紛争事例集 2011” (PDF). 景観と住環境を考える全国ネットワーク (2011年). 2017年12月21日閲覧。
- ^ 『残すべき建築: モダニズム建築は何を求めたのか』(誠文堂新光社) - 著者:松隈 洋 - 松原 隆一郎による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
- ^ “ベトナム、高層ビルの省エネ推進 温室効果ガス削減 法整備など課題”. SankeiBiz (2017年1月3日). 2017年12月21日閲覧。
- ^ 超高層ビルの"なぜ"を科学する p.33
- ^ 超高層ビルの"なぜ"を科学する p.37
- ^ a b c 超高層ビルの"なぜ"を科学する p.36
- ^ 資料1 「東北地方太平洋沖地震時における長周期地震動による揺れの実態調査について」 (PDF) 2011年11月14日 気象庁。
- ^ 2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の本震記録と余震記録を用いた首都圏およびその周辺地域に於ける長周期地震動の特性 日本地震工学会論文集 Vol.12(2012) No.5 特集号「2011年東日本大震災」その2 p.5_102-5_116
- ^ https://m.youtube.com/watch?v=aTu6Ukd-YlA 防災減災の科学 大都会の脅威 長周期地震動
- ^ 超高層ビルの"なぜ"を科学する p.82
- ^ 超高層ビルの"なぜ"を科学する p.83
- ^ “超高層建物の新解体工法「テコレップシステム」を開発”. 大成建設>会社情報>プレスリリース>2010年 (2010年2月23日). 2013年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月17日閲覧。
- ^ “地方の「超高層ビルマウント」に習政権激怒、500メートル以上のビル建設禁止に”. IT MEDIA (2022年8月4日). 2022年8月4日閲覧。
- ^ 世界一ビル「ハリファの塔」に ドバイ、名称変更 - 47NEWS 2010年1月5日
- ^ Why Europe Doesn't Build Skyscrapers The B1M
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