象徴 芸術における用法

象徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 22:27 UTC 版)

芸術における用法

芸術においては、19世紀フランスに「象徴主義」という運動が起こった(象徴詩)。ボードレールをはじめ、ヴェルレーヌランボーマラルメヴァレリーといった詩人がいる。これらの運動を受けて、直接的に表しにくい抽象的な観念を想像力を媒介にして暗示的に表現する手法を含意するようになった。

17世紀頃までの静物画には、一見無意味な構図や対象に意味を持たせて描く、つまり象徴が多く取り入れられ、宗教画や寓意画としての性質が強かった。これは絵画そのものだけでなく、象徴を理解することで婉曲表現の技法や描かれた精神性にも美しさを見出すことができるため、図像学図像解釈学によって象徴の研究がなされている。

人文的な意味

人間の定義は象徴的な活動を行う動物と定義される。プラトンは「人間とは二足、無羽の動物なり」と定義し、ディオゲネスから嘲笑されたが、この一連のやりとりも人間らしい象徴的な行為と言えるだろう。

徴(しるし)

人間以外の存在が示した象徴はしるし(徴、: signs)と呼ばれて区別される。宗教的には、信仰対象が人に与えたものと理解され、現実に示される予兆や奇跡のほか、啓示懺悔(の発端としてのひらめき)など、人の精神世界に直接示されるものが含まれる。

  • キリストにおいて、「預言者ヨナのしるしのほかにはなんのしるしも与えられない」と述べられている。
  • 聖書には奇跡として多くのしるしが示されている。またキリスト教でのしるしは神の実在の証と考えられ有意に探し求められるものだった。

古代の祈祷占いで得る神託予言は、しかるべき手順を踏んで得た「徴」から意味を読み取ろうとするものである。供物や音楽・踊りを捧げて儀式を行ったり、命がけで危険な行為をする等は、行為や状況を通して自然そのもの、或いは超自然的な存在から何か特別な「徴」を得る為の手段であり、「徴」を人間が理解可能な「象徴」へと置き変える手法であると表現できる。

脚注


  1. ^ a b c 松村明編「象徴」『大辞林』(第2版)三省堂、1995年。ISBN 4-385-13900-8http://dictionary.goo.ne.jp/srch/all/象徴/m0u/2010年2月9日閲覧 
  2. ^ 中江兆民の訳書『維氏美学』(1883年刊)で用いられた。
  3. ^ 松村明編「表象」『大辞林』(第2版)三省堂、1995年。ISBN 4-385-13900-8http://dictionary.goo.ne.jp/srch/all/表象/m0u/2010年2月9日閲覧 


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