船越英二 来歴・人物

船越英二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 15:24 UTC 版)

来歴・人物

新宿で生地問屋「船越商店」を開いた呉服商・船越栄一の次男として誕生し、四谷第五小学校から帝京中学校に入学する。当初は美術学校か写真学校への進学を希望するが、父の勧めで1941年(昭和16年)には専修大学経済学部に入学し1944年(昭和19年)に学徒出陣で繰り上げ卒業する。香川県三豊郡豊浜町(現・観音寺市)の陸軍船舶学校に入り、翌年の8月に見習士官として終戦を迎えた後、父の勧めで地元新宿に写真屋を開いた。

1947年(昭和22年)、船越の兄の友人が冷やかし半分で大映第2期ニューフェイス募集に応募書類を送り、合格する。同年3月、大映東京撮影所演技研究所に通い、4月には大映と専属契約を結ぶと『第二の抱擁』で折原啓子の恋人役としてデビューする。本人は乗り気ではなかったが、地元の新宿商店街に後援会まで発足したため引っ込みがつかなくなったまま俳優業に臨んでいた。当時を知る映画関係者によると船越はあまり印象に残らない俳優だったという。役柄も真面目青年しか与えられなかったが1952年(昭和27年)には『安宅家の人々』や『秘密』での演技が好評を呼んだ。

それ以降も船越は二枚目俳優として大映のプログラムピクチャーに出演し、もっぱら主演女優の引き立て役が多かったが1956年(昭和31年)に『日本橋』、『四十八歳の抵抗』、翌年の『満員電車』、『夜の蝶』で演技派俳優として開花し、それまでの単なる二枚目俳優から飄逸ひょういつさと人間的なたくましさを併せ持つ性格俳優となった。なかでも1959年(昭和34年)の大岡昇平原作、市川崑監督の『野火』に主演した際には、極限状況における敗残兵を演じきり、演技は絶賛を経て各映画賞を総なめにした。その後、大映に欠かせないスターとして美男のルックスと個性を活かしたさまざまな作品で役柄をこなす手堅い演技派として活躍し、菅原謙次根上淳ら同年代の大映現代劇の男優たちよりも息の長い活躍を見せた。

船越は「和製マルチェロ・マストロヤンニ」とも謳われ、1971年(昭和46年)の大映倒産まで映画で活躍した。その後は学園ドラマ・現代劇・時代劇を問わず活躍し、いずれにも代表作を残した。

私生活では1958年(昭和33年)10月10日に女優の長谷川裕見子と結婚、1960年(昭和35年)には長男の英一郎が誕生した。2年後には英一郎の妹が誕生し、その後、次男も誕生。1965年(昭和40年)からは俳優業の傍ら神奈川県足柄下郡湯河原町に会員制旅館を創業し、娘とともに経営にあたっていた。

1989年(平成元年)には紫綬褒章1995年(平成7年)には勲四等旭日小綬章を受章。2001年(平成13年)のフジテレビ系テレビドラマ『旗本退屈男』への出演を最後に俳優業から引退、その後は旅館に近い自宅で妻や娘夫婦と共に余生を過ごしていた。しかし2007年(平成19年)3月15日に自宅で突然倒れ、すぐに静岡県内の病院へ搬送された。その時点では意識もわずかにあったものの、16日夜に容態が急変し3月17日午後10時57分、脳梗塞のため死去した。84歳没。生没同日であった。息子の英一郎は、自身の主演映画の撮影現場から駆けつけたが最期を看取ることは叶わなかった。

一方、息子の英一郎と女優の松居一代の結婚には猛反対で、松居とは殆ど口も聞かないほどの不仲だったという。船越は亡くなる直前まで結婚に猛反対したともいわれている。墓所は新宿区正受院


  1. ^ 船越英二日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治〜平成」コトバンク 2018年7月9日閲覧。


「船越英二」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「船越英二」の関連用語

船越英二のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



船越英二のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの船越英二 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS