約数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 03:55 UTC 版)
定義
整数 a ≠ 0 が N の約数であるとは、「ある整数 b をとると N = ab が成立することである」であるが、条件「a ≠ 0」を外すこともある。このときは、N = 0 のときに限り 0 も約数になる。約数が無数にある整数は 0 だけである。
負の符号は本質的な問題ではないため、ここでは以下現れる数はすべて自然数とする。
どのような自然数 N に対しても、1 と自分自身 N は N の約数である。2 以上の自然数はさらに、約数の個数が 2 であるかそれより大かで分けられる。1 と自分自身以外に約数をもたない自然数を素数といい、そうでない自然数を合成数という。合成数は重複を許した2個以上の素数の積である。
例えば、
は素数であるが、12 の約数は、
- 12 ÷ 1 = 12
- 12 ÷ 2 = 6
- 12 ÷ 3 = 4
- 12 ÷ 4 = 3
- 12 ÷ 6 = 2
より、1, 2, 3, 4, 6, 12 の6個である。
合成数の列は
例えば 60 は約数の個数が12個もあり、もれなく挙げるのはたいへんである。そこで、「a が N の約数ならば、N/a も N の約数である」ことを使うと、半分程度の労力で済む。
一般に、約数の個数を求めるとなると、素因数分解が効果を発揮する。
- N の素因数分解を N = 2a13a25a3⋯ とすると、N の約数の個数は (a1 + 1)(a2 + 1)(a3 + 1)⋯個
素因数分解の可能性と一意性(特に一意性)は自明な定理ではない(これを算術の基本定理という)。しかし、これにより約数を式で表すことができる:
- 60 = 22 × 3 × 5 より、
- 60 の約数:2a × 3b × 5c (0 ≤ a ≤ 2, 0 ≤ b ≤ 1, 0 ≤ c ≤ 1)
- ^ Kiyosi Itô, ed. (1987), Encyclopedic Dictionary of Mathematics, I (Second ed.), MIT Press, p. 251, ISBN 978-0-262-09026-1
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