第40回ジャパンカップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/23 16:47 UTC 版)
三冠馬集結
2020年の牝馬三冠を達成したデアリングタクト、同じ年の牡馬三冠を達成したコントレイルの同世代2頭。それに加えて、2018年の牝馬三冠を達成し、かつ史上最多の芝GI8勝を果たしたアーモンドアイが出走を表明した。
牝馬三冠及び牡馬三冠を達成した競走馬がジャパンカップで顔を合わせたのは、1984年の第4回ジャパンカップ(3着:シンボリルドルフ、10着:ミスターシービー)と[2]、2012年の第32回ジャパンカップ(1着:ジェンティルドンナ、2着:オルフェーヴル)に続いて3回目である[2]。加えて、3頭の三冠達成馬が顔合わせることは日本競馬史上初の出来事であった[3][4]。
日本での一般新聞のうち、全国紙の報道では、朝日新聞が「新旧『3冠馬』対決[5]」、毎日新聞が「夢のような対決[6]」「世紀のドリームレース[7]」「世界中が注目する国際GI競走[7]」、日本経済新聞は「世紀の対決[8]」と表現した。
同じく日本でのスポーツ新聞の報道では、スポーツ報知が「誰も見たことない伝説のレース[9]」、スポーツニッポンは「日本競馬史上最高国民的レース[10]」、サンケイスポーツは「歴史的一戦[11]」「世紀の大一番[11]」、日刊スポーツは「世紀のJC[12]」、東京スポーツは「歴史的ジャパンカップ[13]」、日刊ゲンダイは「史上最大の決戦[14]」。
その他、優駿では「空前にして絶後とも言える、まさに日本が世界に誇るジャパンカップ(土屋真光)[15]」、テレビ東京は「日本競馬史上最高の150秒[16]」と表現した。
- 以下3頭の競走成績では、3歳牡馬及び牝馬三冠競走を示す。また、アーモンドアイについては、本競走直前の天皇賞(秋)についても取り上げる。情報はnetkeiba.com の内容に基づく[17][18][19] 。
デアリングタクト
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 (馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬 (2着馬) |
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2020. | 4.12阪神 | 桜花賞 | GI | 芝1600m(重) | 18 | 5 | 9 | 4.2 (2人) | 1着 | 1:36.1(36.6) | -0.2 | 松山弘平 | 55 | (レシステンシア) |
5.24 | 東京 | 優駿牝馬 | GI | 芝2400m(良) | 18 | 2 | 4 | 1.6 (1人) | 1着 | 2:24.4(33.1) | -0.1 | 松山弘平 | 55 | (ウインマリリン) |
10.18 | 京都 | 秋華賞 | GI | 芝2000m(稍) | 18 | 7 | 13 | 1.4 (1人) | 1着 | 2:00.6(35.8) | -0.2 | 松山弘平 | 55 | (マジックキャッスル) |
映像外部リンク | |
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デアリングタクトの調教映像(VR動画) (Daring Tact training video) jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
デアリングタクトは秋華賞で勝利し、史上初となる無敗の牝馬三冠を達成。その後、京都府の宇治田原優駿ステーブルに放牧に出された[20]。管理する杉山晴紀調教師は状態を窺いに宇治田原優駿ステーブルに向かい、「それほどダメージはなさそうでした[20]」と判断。10月28日にジャパンカップ参戦を明らかにした[20]。11月4日、放牧を終えて栗東トレーニングセンターに帰厩し、翌5日には4ハロンの坂路を71.9秒で駆ける追い切りを行った。杉山は「放牧先でも問題なかったし、いい状態で出られそう」とした[21]。レース当週の25日、栗東トレーニングセンターの坂路(ウッドチップコース)にて調教が行われた。福島民友によると「気分良さそうに登坂」と表現した[22]。出走前日となる28日の午後3時過ぎ、東京競馬場に到着した[5]。
コントレイル
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 (馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬 (2着馬) |
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2020. | 4.19中山 | 皐月賞 | GI | 芝2000m(稍) | 18 | 1 | 1 | 2.7(1人) | 1着 | 2:00.7(34.9) | -0.1 | 福永祐一 | 57 | (サリオス) |
5.31 | 東京 | 東京優駿 | GI | 芝2400m(良) | 18 | 3 | 5 | 1.4(1人) | 1着 | 2:24.1(34.0) | -0.5 | 福永祐一 | 57 | (サリオス) |
10.25 | 京都 | 菊花賞 | GI | 芝3000m(良) | 18 | 2 | 3 | 1.1(1人) | 1着 | 3:05.5(35.2) | -0.0 | 福永祐一 | 57 | (アリストテレス) |
映像外部リンク | |
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コントレイルの調教映像(VR動画) (Contrail training video) jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
コントレイルは、10月25日の第81回菊花賞を制し史上3頭目となる無敗の三冠を達成した[23][24]。レース直後、生産したノースヒルズ代表の前田幸治は、今後については未定で、矢作芳人調教師と相談し、馬本位で次に出走するレースを決定するとした[23]。29日、鳥取県の大山ヒルズに放牧された[24][25]。矢作は状態を窺いに大山ヒルズに足を運び、「今日見た限りでは何も心配もありませんでした」と判断[25]、前田と協議したのち、11月5日にジャパンカップ参戦を正式決定したことを明らかにした[25]。参戦には、デアリングタクトの存在が「後押し」(週刊Gallop[25])したとされ、矢作は「ファンの盛り上がり、競馬としての盛り上がり」を考えていたという[24][25]。この時点で、2020年無敗の牡馬、牝馬三冠馬による対決が実現することとなった。第80回皐月賞から第87回東京優駿(日本ダービー)に出走した時と同じように2週間放牧された後[26]、12日に栗東トレーニングセンターへ帰厩した[24][26]。
菊花賞から中4週でのジャパンカップ参戦は、2016年のレインボーライン・ディーマジェスティ以来4年ぶりで[26]、菊花賞優勝馬の出走は2008年のオウケンブルースリ以来12年ぶりのことである[26]。加えて、三冠達成後同じ年のジャパンカップに参戦するのは、コントレイルと同じく無敗での三冠を果たしたシンボリルドルフ、1984年の第4回ジャパンカップ(優勝馬:カツラギエース)以来である[26][注 1]。
出走1週間前に行われる「1週前追い切り」では、栗東トレーニングセンターのウッドチップコースで3頭で併せた調教を行った[27][22]。ダノンファラオともう1頭が先行した中、最後方から追い上げ迫った。しかし、先行した2頭に半馬身及ばなかった[27]。コントレイルにとって初めて併せ馬で遅れを取り[28]、矢作が「不満[27]」と感想を述べるなど「体調不安説」(中日スポーツ[29])がささやかれていた。
しかしレース当週の25日、坂路コース(ウッドチップ)で単走(1頭で調教)が行われ、ラスト200メートルを12.2秒で通過し「シャープに伸び、不安を一掃」(福島民友[22])する走りを見せた。福永は「(1週前からの)良化度に(中略)驚くぐらい」とし、矢作は「普通の馬じゃない」と評した[22]。出走前日の28日午後3時過ぎ、東京競馬場に到着した[5]。
アーモンドアイ
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 (馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬 (2着馬) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018. | 4. 8阪神 | 桜花賞 | GI | 芝1600m(良) | 17 | 7 | 13 | 3.9 (2人) | 1着 | R1:33.1(33.2) | -0.3 | C.ルメール | 54 | (ラッキーライラック) |
5.20 | 東京 | 優駿牝馬 | GI | 芝2400m(良) | 17 | 7 | 13 | 1.7 (1人) | 1着 | 2:23.8(33.2) | -0.3 | C.ルメール | 55 | (リリーノーブル) |
10.14 | 京都 | 秋華賞 | GI | 芝2000m(良) | 17 | 6 | 11 | 1.3 (1人) | 1着 | 1:58.5(33.6) | -0.3 | C.ルメール | 55 | (ミッキーチャーム) |
(中略) | ||||||||||||||
2020.11. | 1東京 | 天皇賞(秋) | GI | 芝2000m(良) | 12 | 7 | 9 | 1.4 (1人) | 1着 | 1:57.8(33.1) | -0.1 | C.ルメール | 56 | (フィエールマン) |
映像外部リンク | |
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アーモンドアイの調教映像(VR動画) (Almond Eye training video) jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
アーモンドアイは、11月1日の第162回天皇賞を制し、史上初となる芝GI級競走8勝を達成した。レース後、国枝栄調教師は「秋はもう1戦」と表明[30]。しかし、どの競走かについては「ケアしてからしっかり考えます」とした[30]。アーモンドアイを所有する有限会社シルクレーシングに、匿名組合契約に基づいて、競走馬の現物出資を行う愛馬会法人シルクホースクラブの規定では[31]、牝馬の引退期限は6歳3月末であると定められている[31]。そのため、2020年の秋はアーモンドアイにとって現役最後の秋となっていた。4日、福島県のノーザンファーム天栄へ放牧に出された[21]。12日、国枝はノーザンファーム天栄に赴いて状態を確認したのち、ジャパンカップへの出走を表明、同時に引退レースであることも併せて発表された。18日の午後に、美浦トレーニングセンターに帰厩した[32]。
25日に美浦トレーニングセンターのウッドチップコースにて3頭と併せた調教を行い[22]、先行した2頭を「楽々とかわし」「絶品の動き」(福島民友[22])だったという。ルメールは「前回以上」「99パーセントの状態」であるとした[22]。最後の調教を終えた後、国枝は初めてアーモンドアイの背中に跨った[33]。国枝によるとアーモンドアイは「頑張ります」と言い、それに「ありがとう」と返したという[33]。出走前日の28日午前6時過ぎに東京競馬場に到着した[5]。
注釈
- ^ 1984年当時のジャパンカップは、菊花賞から中1週間後の開催である。
- ^ 複勝110円はタイ記録である。
- ^ 従来のJRAGIにおける、3連複の最低払戻金は、580円であった。(第36回ホープフルステークス(2019年)、1着:コントレイル、2着:ヴェルトライゼンデ、3着:ワーケア)
- ^ 従来のJRAGIにおける、3連単の最低払戻金は、2190円であった。(第72回菊花賞(2011年)、1着:オルフェーヴル、2着:ウインバリアシオン、3着:トーセンラー)
- ^ 3連単の払戻金のGⅠ最低記録は、3年後の第43回ジャパンカップで更新された
- ^ 2番人気
- ^ 1番人気:モンジュー(4着)
- ^ なお、第39回ジャパンカップ当日の東京競馬場は、8万826人 (内有料入場人員は、7万6030人)
- ^ 大阪杯、エリザベス女王杯を勝利し、有馬記念に出走する予定であるラッキーライラックも存在する。
出典
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