技術士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/27 14:49 UTC 版)
技術部門
他の技術系資格が専門分野ごとに制度を設けているのに対して、技術士は科学技術におけるほとんどすべての領域に渡る分野をカバーしている[4]。以下の21の技術部門が設けられており、各部門はそれぞれ部会を作り活動している。船舶・海洋部門と航空・宇宙部門は同一の部会として活動しており、総合技術監理部門では部会が設立されていないことから、19の部会がある。
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
- 資源工学部門
- 建設部門
- 上下水道部門
- 衛生工学部門
- 農業部門
- 森林部門
- 水産部門
- 経営工学部門
- 情報工学部門
- 応用理学部門
- 生物工学部門
- 環境部門
- 原子力・放射線部門
- 総合技術監理部門
試験
評価
民間での評価
- IT業界
-
- 政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン実務手引書第6章では、政府情報システムの調達に係る入札要件の記載例に、技術士情報工学部門または技術士総合技術監理部門(情報工学を選択科目とする者)が記載されている[13]。ただし、情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ試験など)合格者や情報処理安全確保支援士、「同等の能力を有する者」と併記されており、技術士(情報工学部門)であることを必須とはされていない。
- 情報処理学会が実施する認定情報技術者制度において、技術士情報工学部門または技術士総合技術監理部門(情報工学を選択科目とする者)は個人審査及び審査料の一部を免除される[14]。
- 建設業界
- 一部の企業例
- 収入面
-
- 2005年(平成17年)以降、賃金構造基本統計調査の調査対象職種として賃金が把握されている[18]。
- 「年収ラボ」の調査によると、2015年における技術士の平均年収は596万円であり、資格別年収ランクは第10位である[19]。
公的な評価
- 労働基準法第14条2の規定に基づき厚生労働大臣が定める「高度の専門的知識等」の基準を満たす資格の一つとされている[20][21]。
- 高等教育機関の教官や研究者の求人では、博士(工学)または技術士を取得していることを応募資格としている事例がある[11]。
ほかの国家資格試験の免除
技術士は、国家が認定した高度の技術者であることから、日本の諸制度において有資格者と認められたり、資格試験の一部や全部を免除されたりする[22]。
有資格者として認められているものには、主に次のようなものがある[23]。
- 建設業法の一般建設業・特定建設業における営業所の専任技術者
- 建設コンサルタントや地質調査業者として登録する専任技術管理者
- 公共下水道や流域下水道の設計や工事の監督管理を行う者
- 鉄道事業法の鉄道事業における設計管理者
- 中小企業支援法による中小企業・ベンチャ-総合支援事業派遣専門家
また、資格試験の一部や全部を免除されているものには、主に次のようなものがある[23]。
- 廃棄物処理施設技術管理者
- 労働安全コンサルタント
- 労働衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- 一級施工管理技士(土木、電気工事、管工事、造園)
- 土地区画整理士
- 弁理士
- 消防設備士
- 気象予報士
課題
- 特定分野への偏り
- 技術士制度は科学技術のほとんどすべての分野を網羅する制度であるが、実際の有資格者数の割合は建設部門が45.4 %を占めており[12]、総合技術監理部門の13.5 %、上下水道部門の6.5 %、機械部門の5.1 %と続いている[12]。
- 認知度の低さ
- 建設分野では高く認知されており、技術士の資格は必須であると言われている[24]。その一方で、それ以外の技術分野ではメジャーではなかったり、あまり知られていなかったりする[11][25]。
- ^ "技術士". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年2月5日閲覧。
- ^ a b “技術士 Professional Engineer とは”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
- ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 1.
- ^ a b 岩熊 2009, p. 121.
- ^ 佐藤国仁、岡孝夫、小林彰、近藤光夫、杉内正弘、矢田美恵子、山本弘明『技術士第二次試験合格ライン突破ガイド』(第3版)日刊工業新聞社、2008年、95頁。ISBN 9784526060052。
- ^ a b “「技術士」の新規登録手続き”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
- ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 44.
- ^ 日本技術士会 2014, p. 888.
- ^ “英文表記について”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
- ^ “技術士に関連する英文表記”. 日本技術士会国際委員会 (2022年10月26日). 2024年2月27日閲覧。
- ^ a b c 小坂谷 2015, p. 234.
- ^ a b c 日本技術士会 2014, p. 954.
- ^ 政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン実務手引書第6章
- ^ “認定情報技術者(CITP)2021 年度 技術士(情報工学)向け申請案内” (PDF). 情報処理学会. 2021年7月18日閲覧。
- ^ a b 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、64頁。ISSN 0389-1488。国立国会図書館書誌ID:000000033895。
- ^ 建設コンサルタント登録の要件
- ^ 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、66頁。ISSN 0389-1488。国立国会図書館書誌ID:000000033895。
- ^ “賃金構造基本統計調査”. 総務省. 2017年7月16日閲覧。
- ^ “技術士の年収&給料”. 年収ラボ. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “「労働基準法第14条第1号及び第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める件の一部を改正する告示」及び「労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務を定める件の一部を改正する告示」について”. 厚生労働省 (2002年2月13日). 2023年12月30日閲覧。
- ^ “労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成15年厚生労働省告示第356号)”. 厚生労働大臣 (2003年10月22日). 2023年12月30日閲覧。
- ^ “国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典)”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
- ^ a b “技術士制度について” (PDF). 日本技術士会. p. 22 (2023年4月). 2024年1月1日閲覧。
- ^ 日本技術士会 2014, p. 875.
- ^ 水野勝成 (2003年11月18日). “【IT業界の資格指南】第3回 技術士試験(上)”. 日経クロステック. 日経BP. 2024年1月3日閲覧。
- ^ 日本技術士会 2014, pp. 886–887, 962.
- ^ a b 日本技術士会 2014, p. 962.
- ^ 日本技術士会 2014, pp. 887, 962.
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