技術士 業務

技術士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/27 14:49 UTC 版)

業務

技術士は建築基準法における設計者や工事監理者になることはできないが、建設業法における土木工事の管理技術者(現場監督)として「技術士」の表示がみえる。

名称独占資格であることを活かし、「技術士」を名乗って、次のような業務をすることが可能である[11]

  • 技術コンサルタントとして、コンサルティング業務を行う。
  • 企業内技術者として、研究職・設計職などで責任者の役割を担う。
  • 公務員技術者として、知識や判断を要する業務を行う。
  • 教育者・研究者として、学生の教育や研究を行う。

なお、技術士全体の78.9 %が一般企業や建設コンサルティング会社に勤務し、7.5 %が官公庁に勤務している[12]

技術士(補)の権利と義務

技術士(補)登録をすると、技術士(補)の名称を使用する権利を得る反面、以下の義務を負う。これらの義務に違反すると、技術士法 第36条の2の規定により、技術士(補)登録を取り消されることがある。

技術士法 第44条 (信用失墜行為の禁止)
技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
技術士法 第45条 (技術士等の秘密保持義務
技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなった後においても、同様とする。
技術士法 第45条の2 (技術士等の公益確保の責務)
技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たっては、公共安全環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。
技術士法 第46条 (技術士の名称表示の場合の義務)
技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。
技術士法 第47条の2 (技術士の資質向上の責務)
技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。

秘密保持義務には刑事罰も規定されている。

技術士法 第59条(秘密保持義務に違反した場合の罰則)
第45条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
技術士法 第59条第二項(親告罪
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

非技術士の技術コンサルタントが秘密を漏洩しても民事責任を問われるのみだが、技術士(補)は技術士(補)登録を取り消されるだけでなく刑事罰にも処せられる可能性がある。


  1. ^ "技術士". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年2月5日閲覧
  2. ^ a b 技術士 Professional Engineer とは”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
  3. ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 1.
  4. ^ a b 岩熊 2009, p. 121.
  5. ^ 佐藤国仁、岡孝夫、小林彰、近藤光夫、杉内正弘、矢田美恵子、山本弘明『技術士第二次試験合格ライン突破ガイド』(第3版)日刊工業新聞社、2008年、95頁。ISBN 9784526060052 
  6. ^ a b 「技術士」の新規登録手続き”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
  7. ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 44.
  8. ^ 日本技術士会 2014, p. 888.
  9. ^ 英文表記について”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
  10. ^ 技術士に関連する英文表記”. 日本技術士会国際委員会 (2022年10月26日). 2024年2月27日閲覧。
  11. ^ a b c 小坂谷 2015, p. 234.
  12. ^ a b c 日本技術士会 2014, p. 954.
  13. ^ 政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン実務手引書第6章
  14. ^ 認定情報技術者(CITP)2021 年度 技術士(情報工学)向け申請案内” (PDF). 情報処理学会. 2021年7月18日閲覧。
  15. ^ a b 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、64頁。ISSN 0389-1488国立国会図書館書誌ID:000000033895 
  16. ^ 建設コンサルタント登録の要件
  17. ^ 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、66頁。ISSN 0389-1488国立国会図書館書誌ID:000000033895 
  18. ^ 賃金構造基本統計調査”. 総務省. 2017年7月16日閲覧。
  19. ^ 技術士の年収&給料”. 年収ラボ. 2024年1月5日閲覧。
  20. ^ 「労働基準法第14条第1号及び第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める件の一部を改正する告示」及び「労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務を定める件の一部を改正する告示」について”. 厚生労働省 (2002年2月13日). 2023年12月30日閲覧。
  21. ^ 労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成15年厚生労働省告示第356号)”. 厚生労働大臣 (2003年10月22日). 2023年12月30日閲覧。
  22. ^ 国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典)”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
  23. ^ a b 技術士制度について” (PDF). 日本技術士会. p. 22 (2023年4月). 2024年1月1日閲覧。
  24. ^ 日本技術士会 2014, p. 875.
  25. ^ 水野勝成 (2003年11月18日). “【IT業界の資格指南】第3回 技術士試験(上)”. 日経クロステック. 日経BP. 2024年1月3日閲覧。
  26. ^ 日本技術士会 2014, pp. 886–887, 962.
  27. ^ a b 日本技術士会 2014, p. 962.
  28. ^ 日本技術士会 2014, pp. 887, 962.






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