国後島 日本本土との交通

国後島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 06:58 UTC 版)

日本本土との交通

北海道本土から国後島へ

戦前は、根室から国後島最南の泊村まで定期の船便があったが、戦後は、北海道本土から国後島への定期公共交通は、船便・航空便ともに存在しない。北海道本土から島に直接渡る場合は、「ビザなし交流」に参加し、チャーター船で根室港から出発、古釜布に入港する。「ビザなし交流」の場合であっても、チャーター船がロシアが主張する領海に入ると、国際航路を通行する船舶の慣例によってロシア国旗をマストに掲げ、また、古釜布に到着後は、ロシアの税関当局による入域審査を受ける。なお、このチャーター船の利用は、旧島民、その子孫、ならびに返還団体から推薦された者や報道関係者等に限定され、一般の日本人は自由に利用することができないため、樺太経由で渡ることとなる。

樺太経由で国後島へ

メンデレーエフ空港のターミナル

現在の国後島のメンデレーエフ空港(Аэропорт Менделеево)にアクセスする定期公共交通は、ロシアが実効支配する樺太を拠点に運航されている。ユジノサハリンスク空港からはサハリン航空のプロペラ機が週4便(月、木、土、日、いずれも午後発)、メンデレーエフ空港へ就航している。しかし、有視界飛行であるため、霧がかかりやすい夏季は欠航になりやすい。滑走路や空港設備が整備不良のため安全基準を満たしておらず、安全のため運航を見合わせているとの情報もある[32]

また、コルサコフ大泊)港からは、サハリンクリル海運の貨客船「イゴール・ファルフトディノフ」号が週2便出発している。この船は、月曜日にコルサコフを出帆、火曜日に択捉島、水曜日に色丹島ならびに国後島に寄港、木曜日にコルサコフ帰着、金曜日にコルサコフ発、土曜日に国後島と色丹島、日曜日に択捉島に寄港、月曜日にコルサコフに戻るというスケジュールで、3月〜12月まで運航される。(2017年)現在、州政府が2隻体制を採っているが、1隻はエンジン故障のため復帰の目途はたっていない。今後、輸送力を強化するために、2隻の追加配備が検討されている[33]

一般の日本人・外国人が国後島を訪問するには、ロシアのビザでまず稚内または新千歳、あるいは成田などから(もしくはソウル経由で)樺太に渡り、ユジノサハリンスク(豊原)にて国後島への通行許可証を取得後、樺太から空路または海路でアクセスすることになる。この方法は、国後島におけるロシアの主権に服する行為であるとして、内閣が1989年(平成元年)以降自粛を要請しているが、この自粛要請に法的強制力は無い。

その一方、ロシア側では国後島への旅行に人気がある[34]


  1. ^ Численность населения Российской Федерации по муниципальным образованиям на 1 января 2020 года”. ロシア連邦国家統計庁. 2020年12月16日閲覧。
  2. ^ Акулов А.Ю. (2007). “История языка айну: первое приближение”. ВЕСТНИК САНКТ-ПЕТЕРБУРГСКОГО УНИВЕРСИТЕТА. https://cyberleninka.ru/article/n/istoriya-yazyka-aynu-pervoe-priblizhenie-1 2020年12月16日閲覧。. 
  3. ^ アイヌ語地名リスト コム P41-50”. hokkaido.lg.jp. アイヌ政策推進局アイヌ政策課 北海道庁. 2020年12月16日閲覧。
  4. ^ 島面積 平成26年10月1日時点 (PDF) 国土地理院
  5. ^ 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
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  8. ^ a b c 毎日jp(毎日新聞) 2009年10月29日
    asahi.com(朝日新聞) 2009年10月30日
    国後に「白いヒグマ」…日本人調査団、撮影成功 Archived 2009年11月2日, at the Wayback Machine. YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2009年10月30日
    北海道新聞 2009年10月30日
    白いヒグマを確認/調査団が帰港、会見 Archived 2012年5月28日, at the Wayback Machine. 釧路新聞 2009年10月30日
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  13. ^ 北方領土返還運動のあゆみ | 根室市
  14. ^ 逮捕のスパイ在宅 ソ連政府機関紙の報道『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月19日朝刊 12版 15面
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  16. ^ 過去、国会答弁においてソ連による占拠が不法とは必ずしもいえないとの答弁がなされたことがあるが、これはポツダム宣言受諾による国連軍の一翼としての戦後占領を指すものであり、米英による本土占領や米ソによる朝鮮占領、中華民国による台湾占領などと同様に当然に国際法上合法なものであるとの主旨である。「占領」と「併合宣言」については本来別の国家実行であり、答弁者によって時として表現の差異がありうるものと説明されている。いずれにせよ、北方領土は日本固有の領土であるとの見解が日本の主張するところであり、現在はロシアによる同島の占拠は不法占拠であると明確に表明されている。
  17. ^ ロ大統領が北方領土を初訪問 日本反発、交渉後退へ - 47NEWS (ソースは共同通信、2010年11月1日付、2013年2月19日閲覧)
  18. ^ 読売新聞(2012年7月4日付)
  19. ^ 国後島に米系企業が初参入 発電所建設を受注 - SankeiBiz (フジサンケイ ビジネスアイ、2013年2月14日付、同月19日閲覧)
  20. ^ [1]、2019年5月13日付
  21. ^ “「プーチン政権に嫌気」 難民認定申請のロシア人 国後から「23時間泳いだ」”. 北海道新聞. (2021年9月7日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/586716/ 2021年9月8日閲覧。 
  22. ^ “国後島から“遠泳”ロシア人男性 「23時間泳いできた」”. 北海道放送. Yahoo! ニュース. (2021年9月8日). オリジナルの2021年9月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210908184150/https://news.yahoo.co.jp/articles/31115413d0469254da0ea206e6a4fe06144d057b 2021年9月8日閲覧。 
  23. ^ 本間浩昭 (2021年9月14日). “「泳いで来た」ロシア人男性、北海道上陸1カ月 目的など不明点多く”. 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20210914/k00/00m/040/272000c 2021年9月25日閲覧。 
  24. ^ 国後は「ごみと戦車と大砲の島」と憤るロシア人…仏国籍の映画監督が描く北方領土”. 読売新聞 (2021年11月29日). 2021年11月29日閲覧。
  25. ^ [2]、2022年1月12日付
  26. ^ 北方領土でロシア軍の演習相次ぐ 日本への強硬姿勢を示す狙いか”. 朝日新聞DIGITAL (2022年6月17日). 2022年6月18日閲覧。
  27. ^ 北方領土方面に漂流の可能性も 知床の事故、海保がロシアに協力要請”. 朝日新聞DIGITAL (2022年4月26日). 2022年6月18日閲覧。
  28. ^ 国後島で女性の遺体発見 観光船事故の行方不明者の可能性も”. NHK (2022年5月13日). 2022年6月18日閲覧。
  29. ^ 国後の2遺体、DNA型一致”. ロイター (2022年6月4日). 2022年6月27日閲覧。
  30. ^ a b c 根室と国後島を結んだ通信用海底ケーブル発見 陸揚庫で初の発掘調査”. 北海道新聞. 2021年10月10日閲覧。
  31. ^ 日本放送協会. “北方領土とつないでいた海底ケーブルの発掘調査行われる”. NHKニュース. 2021年10月9日閲覧。
  32. ^ 2006年10月17日 The Vladivostok News 「Flights to Kunashir Island banned」
  33. ^ 北方領土航路、増隻検討 サハリン州 輸送能力強化狙う どうしんweb・北海道新聞(2017年02月17日)2017年02月17日閲覧
  34. ^ 2008年10月26日に放送された「真相報道 バンキシャ!」より。


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