三角江 水循環

三角江

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/29 23:34 UTC 版)

水循環

三角江では表層を河川から流れ出た真水が流れ、底層を海水が流れる「塩水くさび」が形成される場合がある[9]:45

生物群系

エスチュアリー(ここでは三角江もフィヨルドも含む広義のエスチュアリー)においては真水と塩水が交じり合い、海洋とは異なるユニークな環境が作り出される[10]。また、環境を決定する種々の条件の変動の振れ幅が大きい[10]。比較的大きなダイナミズムに適応した生物群系が形成される場合がある[10]。混じり合いの程度により栄養塩濃度が変化するため、直接の影響をうける生物群集も変化し漁業における利用形態も変化している[11]

土地利用

水深が深く、また波風を凌げるため天然の良港になりやすく、湾奥(また外航船が川を遡ることができる地点)や湾岸に大規模な貿易港が造られやすい。また港となる場所は、多くの人口を抱える広大な内陸平野を後背地に持ち、大都市も形成される(例えば、テムズ川を遡った地点のロンドン)。

同様に水深の深い入り江で天然の良港が形成される例としてはリアス式海岸フィヨルドがあるが、これらは後背地が山地もしくは氷河であるため、多くの場合は湾岸にできる集落は小規模な漁村であり[注釈 1]、湾には漁港避難港が出来やすい。

三角江を形成する川の例

河口で三角江を形成している川には次のような例がある。湾岸・湾奥に大規模な港湾や都市が形成されているものに関しては、その都市名を括弧内に記す。

日本

日本では堆積作用が強く陸地化が速く進むので、現在見られるものは小規模である。

脚注


注釈

  1. ^ ノルウェー西海岸南部のベルゲン市(人口約25万人)のような例外もある。

出典

  1. ^ a b c d e エスチュアリー”. コトバンク. 2020年2月17日閲覧。
  2. ^ 日本地形学連合 編『地形の辞典』朝倉書店、2017年、40頁。ISBN 978-4-254-16063-5 
  3. ^ a b Définitions lexicographiques et étymologiques de « estuaire » du Trésor de la langue française informatisé, sur le site du Centre national de ressources textuelles et lexicales
  4. ^ a b "aestuarium". A Latin Dictionary. Charlton T. Lewis and Charles Short. Oxford: Clarendon Press. 1879. 2020年2月17日閲覧
  5. ^ a b c Pritchard, D. W. (1967). “What is an estuary: physical viewpoint”. In Lauf, G. H.. Estuaries. A.A.A.S. Publ.. 83. Washington, DC. pp. 3–5. hdl:1969.3/24383 
  6. ^ 藤原建紀, 「河口域および内湾域におけるエスチュアリー循環流」『沿岸海洋研究』 44巻 2号 2006-2007年 p.95-106, doi:10.32142/engankaiyo.44.2_95
  7. ^ a b c 沈水海岸”. コトバンク. 2020年2月17日閲覧。
  8. ^ Ducrotoy, Jean-Paul (March 30, 2011). “Ecological restoration of tidal estuaries in North Western Europe: an adaptive strategy to multi-scale changes”. Plankton and Benthos Research. doi:10.3800/pbr.5.174. ISSN 1882-627X. https://doi.org/10.3800/pbr.5.174. 
  9. ^ Kjerfve, B. (2018). Hydrodynamics of Estuaries: Volume I Estuarine Physics. CRC Press. ISBN 9781351090155. https://books.google.com/books?id=8LtHDwAAQBAJ 
  10. ^ a b c Tomczak, Matthias (1996年). “Definition of estuaries; empirical estuary classification”. 2020年2月20日閲覧。
  11. ^ 蒲原聡, 高須雄二, 湯口真実 ほか, 「三河湾における栄養塩の低下」『愛知県水産試験場研究報告』 愛知県水産試験場, 23号, 2018年3月, p.30-32
  12. ^ 入江敦彦『英国のOFF 上手な人生の休み方』新潮社、2013年、18頁。ISBN 978-4-10-602248-7 
  13. ^ 藤田佳久, 「愛知県衣浦湾の沖積層下底面の地形について」『地理学評論』 38巻 2号 1965年 p.121-123, doi:10.4157/grj.38.121, 日本地理学会
  14. ^ 木村和雄, 「沖縄島北東部、大浦川河口付近における三角州の発達と異常堆積物」『沖縄工業高等専門学校紀要』 11巻 2017年 p.25-35, hdl:20.500.12001/21387


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