三菱ふそう・キャンター
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8代目 FBA/FEA・B・C系(2010年- )
三菱ふそう・キャンター(8代目) FBA/FEA・B・C系 | |
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名鉄ゴールデン航空仕様 | |
概要 | |
販売期間 | 2010年11月 -2020年10月(海外の一部地域では販売継続) |
2010年11月11日発表。ポスト新長期排気ガス規制と平成27年重量車燃費基準に適合。コンセプトは「タフ&ソリッド」。通称ブルーテックキャンター。
- トランスミッションは小型トラックとして世界初の採用となる6速DCTのDUONIC(デュオニック)と5速MTが採用され、7代目モデルで採用されていた6速MT・4速AT・5速INOMAT-IIが廃止された。
- 搭載されるユニットはフィアットグループのFPT社とダイムラー、そして三菱ふそうが共同開発した2,998cc直列4気筒・DOHC16バルブ・直噴コモンレールインタークーラーディーゼルターボエンジンの4P10系で、最高出力・最大トルクが異なる4種類のエンジンが導入された(1.5トンクラス用:4P10(T1)型 81kW(110PS)、2トンクラス用:4P10(T2)型 96kW(130PS)、2 - 4トンクラス用:4P10(T4)型 110kW(150PS)、3.5トンクラス以上用:4P10(T6)型 129kW(175PS))。これらのエンジンには、再生制御式DPFと、小型トラッククラス初の尿素SCRシステムであるBlueTec(ブルーテック)システムが採用されている。
- ブレーキは全車種に、ハイパフォーマンスカー(乗用車)への装着で有名なブレンボ社製総輪ディスクブレーキを採用[注釈 4]、アクセルペダルを踏んだままブレーキペダルを踏んだ際、ブレーキ側を優先させるブレーキオーバーライドを搭載した。なお、6代目・7代目とフロント・ディスクブレーキとして採用されていたツインキャリパータイプのベンチレーテッド・ディスクブレーキは、当代ではコストダウンなどの理由で一般的なシングルキャリパータイプのベンチレーテッド・ディスクブレーキとなった。
- キャブは7代目のものをキャリーオーバーし、内外装デザインを変更した。
- テールランプやヘッドランプを含むシャシー・キャビン内電装系が全車12Vに統一された。特装車向けに24Vを供給する為、補助バッテリーと昇圧器が装備されている仕様が多い。
- グレードは従来のSA・DX・CUSTOMの3グレード構成から、スタンダード(標準グレード、従来のDXに相当)とCUSTOM(オプション設定)の2グレード構成に。フォグランプは全車種オプション装備となった。
- エコハイブリッドに関しては先述の通り7代目モデルを2011年12月まで継続販売した。
- 5代目以降1.5トンクラス車の愛称として使用されていたキャンターガッツが当代では一旦消滅し、キャンターに統一された。
- 2トン積標準デッキ高床シングルタイヤ車を廃止。
- 2010年度グッドデザイン賞を受賞した。
2011年6月14日、7代目生産終了以来設定されていなかった4WDを設定。標準キャブ車全車にトルク不等配分センターデフ+ビスカスLSD式を採用した全低床フルタイム4WDを、ワイドキャブ車全車にマニュアル式フリーホイールハブを採用したパートタイム4WDをそれぞれ設定した。また、ワイドキャブ車に超ロングボディー車が新設定された。
2012年5月18日、エコハイブリッドがフルモデルチェンジ。
- ハイブリッドシステムは先代と同じパラレル式ディーゼルハイブリッドシステムであるが、変速機が5速INOMAT-IIから6速DUONICに変更され、超薄型ハイブリッドモーターをDUONICに内蔵した、世界初の「ハイブリッド用モーター内蔵デュアルクラッチ式トランスミッション」を搭載した。また、リチウムイオン電池もエネルギー効率の高い、高性能のラミネートタイプのリチウムイオン電池を新たに採用した。
- エンジンは3.0Lの4P10(T2)・DOHC16バルブ・直噴コモンレールインタークーラーディーゼルターボエンジンを搭載し、再生制御式DPFとBlueTecシステムを組み合わせることで、ポスト新長期排出ガス規制と低排出ガス認定車(NOx、PM10%低減レベル)および九都県市指定低公害車で平成21年「超」も取得している。また、全車で平成27年度重量車燃費基準を20%以上オーバー達成することで、クラストップの低燃費を実現し、2012年度からの「エコカー減税」では自動車重量税と取得税が免税となった。
2012年11月8日、日産自動車との間で小型トラックの相互OEM供給を受けることに合意したことで、三菱ふそうトラック・バス株式会社は日産自動車株式会社に「NT450アトラス」(日産社内型式:H44)として当代のキャンターを、日産自動車株式会社は三菱ふそうトラック・バス株式会社に「アトラスF24」を新型「キャンターガッツ」として相互OEM供給することが発表された[7][8][注釈 5]。なお、OEMは歴代を通じて初であり、「キャンターガッツ」は2年ぶりの復活となる。
2012年11月14日、エコハイブリッドに搭載された「ハイブリッド用モーター内蔵デュアルクラッチ式トランスミッション」が、「2013年次RJCカー・オブ・ザ・イヤー特別賞」を商用車で初めて受賞[9]。
2013年1月25日、エコハイブリッドがアイルランドの「Irish Green Commercial of the Year 2013」を受賞[10]。
2013年2月5日、エコハイブリッドが「第3回かながわ地球温暖化対策大賞」を受賞[11]。
2013年2月7日、エコハイブリッドをオーストラリアで発表[12]。
2013年4月19日、エコハイブリッドがアイルランドの「Best Energy Efficient Product Award」(最優秀エネルギー効率化製品賞)を受賞[13]。
2014年9月11日、日産自動車に引き続きUDトラックスに対し当代のキャンターをカゼット(コンドル2トン系の後継)として供給、発売開始[14]。初号車のラインオフの際には記念式典も開催された[15][16]。
2014年11月27日、ワイドキャブ超ロング車型をベースに新車型「キャンターEX」を発表、発売[17]。
- キャビンと荷台の拡幅により、小型トラックベースで中型トラックの積載容積を実現したもの。
- キャビンのドアとリアピラーに膨らみを持たせて125mm拡幅。最大積載量4.45t、荷台幅は最大2,320mmの架装が可能。
- エンジンや足回りはベースのキャンターと同じで、機動性、経済性は小型トラック並み、とする。
- UDトラックスに対しては2015年1月から供給開始[18]。
- 日産自動車に対しては供給されない。
2015年4月21日、4トン積載ダンプを発売。専用フレームを採用し荷台を堅牢にしながら、積載量4トンを確保した、ダンプ専用シャシを採用[19]。
2016年3月8日、キャンター2016年モデルを発表。2016年モデルは、すでに省燃費性能に定評のある4P10型エンジンをさらに磨き上げ燃費効率を向上。最大積載量3t以下のISS(アイドリングストップ&スタート)付き仕様全車で、平成27年度重量車燃費基準+10%を達成した。その他車両も全車で平成27年度重量車燃費基準+5%を達成した。
2016年4月26日、キャンター2016年モデルを発売。スタイリッシュで機能的なインテリアを採用し、室内収納スペースを拡大し居住性を向上。新たに、ヒルスタートアシスト機能が付いたDUONIC2.0搭載。
2017年6月29日、キャンター2017年モデルを発売。7.5t超車は、4P10(T6)改良型エンジンを搭載、平成28年排出ガス規制に適合し、2PG- 2RG- に移行された。また、キャンターEXに従来のK尺車(4,750mm)の他にホイールベース違いの2機種(G尺:3,850mm、H尺:4,300mm)を追加設定。また、ダッシュボード中央部に設置された白線認識カメラ(単眼カメラ)により、車両が車線を逸脱した場合、ドライバーにブザーとメータークラスター内のIvis(マルチ情報システム)で注意を喚起する「車線逸脱警報装置」を一部を除く全車種に標準装備とした。
2017年9月15日、世界初の量産電気小型トラック「eCanter(イーキャンター)」発表[20]。川崎工場とポルトガルで生産され、日本、アメリカ、欧州で販売される。
2018年8月21日、キャンター2018.5年モデルを発売。フロントバンパー中央部に設置されたミリ波レーダーにより、前方の走行車両または停止車両、歩行者を検知し、警報&自動ブレーキで衝突回避や衝突時の被害軽減を支援する「衝突被害軽減ブレーキ」と、「車両安定性制御装置」を標準装備し、既に標準装備の「車線逸脱警報装置」と共に安全性を高めた。また、バッテリー電圧24Vを標準化した(1.5t車除く)[21]。
2019年5月10日、キャンター2019年モデルを発売。2018.5年モデルに装備された衝突被害軽減ブレーキ、車両安定性制御装置、車両逸脱警報装置を含む安全技術をGVW7.5t超クラスにも拡大展開。GVW7.5t超クラスでJ-OBDOII(車載式故障診断装置)規格に対応、電気式のブレーキ磨耗インジケーターとBluetoothオーディオを一部仕様を除いて全車に導入、電動パーキングブレーキをオプション設定した[22]。
2020年8月20日、EVモデル「eCanter」にも2019年モデル同様の先進安全装置を標準搭載するなど一部改良を発表[23]。
2021年1月、日産自動車へ行っていた「NT450アトラス」のOEM供給終了。
2022年12月、ダイムラートラックと販売代理店ジュファリ・コマーシャル・ビークルズの合弁会社NAIが運営するサウジアラビア・ジェッダ工場でノックダウン生産を開始[24][25]。
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キャンター4WD
西置賜行政組合消防本部 -
キャンター2018.5年モデル
コカ・コーラボトラーズ ジャパンベンディング -
eCanter
東京モーターショー2017展示車 -
eCanter
ヤマト運輸 -
7代目と8代目の差異(8代目は後ろ)
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キャンター4輪駆動車の救助車両(参考出品車)(国士舘大学)
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8代目キャンター前期型(欧州仕様)
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8代目キャンター前期型(香港仕様)
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8代目キャンター前期型(台湾仕様)
注釈
- ^ 1963年から1970年までは三菱重工業、1970年から2002年までは三菱自動車工業が製造・販売していた。
- ^ これらフロントグリルにCANTERと表記されていない場合はフロントガラス下部に表記される。
- ^ 後に同クラスのいすゞ・エルフや日野・デュトロにも総輪ディスクブレーキが採用されている(いずれも4WD車を除く)。
- ^ 総輪ディスクブレーキの全車種への採用は小型トラッククラス初[注釈 3]。ただし、後に追加された4WDワイドキャブ車に限り車両総重量の関係上、これまで通り総輪ドラムブレーキが採用される。
- ^ いすゞ・エルフ100、UDコンドル CARGO 1.15t〜1.5t級とも兄弟車なため、4メーカーが同一車種を扱うという、異例の事態が発生。ただし、2013年夏をもってコンドルの1.15t〜1.5t級は廃止されたためキャンターのカゼットとしての供給開始の時点においては3メーカーに減少した。
出典
- ^ あのクルマの復活が遠因!? インドネシアで大人気の三菱ふそう・コルトディーゼルがキャンターになっちゃった!fullroad 2022年5月2日
- ^ 【世界を走る日本のトラック】ダイムラーのお家事情!? 米国の名門フレイトライナーとして販売されるメキシコのキャンターとインド製FUSO車fullroad 2022年6月19日
- ^ “小型トラック「キャンター」誕生から60周年”. asia.daimlertruck.com. 2024年5月14日閲覧。
- ^ キャンターにCNG/LPGエンジン搭載車を新発売 三菱自動車プレスリリース(2002年11月21日)
- ^ 「新型キャンター」のイメージキャラクターに「矢沢永吉」を起用 三菱自動車プレスリリース(2002年6月18日)
- ^ 世界初の小型商用車用の6速ATを開発 アイシン精機プレスリリース(2004年8月2日)
- ^ a b 『新型「NT450アトラス ATLAS」を新発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2012年11月8日 。2012年11月9日閲覧。
- ^ a b 『小型トラック 新型「キャンターガッツ」を発売』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2012年11月8日 。2012年11月9日閲覧。
- ^ 『ハイブリッド用モーター内蔵デュアルクラッチ式トランスミッションが「2013年次RJCカーオブザイヤー特別賞」を受賞』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2012年11月14日 。2013年5月7日閲覧。
- ^ 『新型「キャンター エコ ハイブリッド」がアイルランド「Irish Green Commercial of the Year 2013」を受賞』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2013年1月25日 。2013年5月7日閲覧。
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- ^ 『UDトラックス、新小型トラック「カゼット」を発売』(プレスリリース)UDトラックス株式会社、2014年9月11日 。2014年10月2日閲覧。
- ^ 『UDトラックス向け小型トラック供給を開始』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2014年9月26日 。2014年10月2日閲覧。
- ^ 『UDトラックスの新小型トラック「カゼット」、三菱ふそうから供給開始 ~記念式典を三菱ふそう・川崎工場で開催~』(プレスリリース)UDトラックス株式会社、2014年10月1日 。2014年10月2日閲覧。
- ^ 『新型トラック「キャンター EX」を開発』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2014年11月28日 。
- ^ 『「カゼットRK」を発売 ~小型をベースに中型の積載容量を実現した、新カテゴリーのトラックを投入~』(プレスリリース)UDトラックス株式会社、2015年1月21日 。2017年7月30日閲覧。
- ^ 『「キャンター」4トン積載ダンプを新設定』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2015年4月21日 。2015年4月22日閲覧。
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- ^ “小型トラック「キャンター」、サウジアラビア初のKD生産開始…三菱ふそう”. レスポンス(Response.jp). 2022年12月17日閲覧。
- ^ “サウジアラビアで小型トラック「キャンター」のKD生産を開始”. Mitsubishi Fuso Truck and Bus Corporation. 2022年12月17日閲覧。
- ^ 『小型トラック「キャンター」新型モデルを発売 世界に先駆けて日本で発売』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2020年10月19日 。2021年10月20日閲覧。
- ^ “【三菱ふそう キャンター 新型】ふそうブラックベルトを採用し、新たな“顔”で登場”. Response (2020年10月19日). 2020年10月21日閲覧。
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- ^ “三菱ふそう、欧州で新型「キャンター」受注開始 ユーロ6ステップEに適合 先進安全装備も充実”. 2021年10月21日閲覧。
- ^ 『小型トラック「キャンター」1.5t積載クラスに 「マニュアルトランスミッション(MT)」モデルを新たに追加』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2021年11月1日 。
- ^ “三菱ふそう、「キャンター」1.5t積載クラスに10年ぶり5速MTモデル復活”. Car Watch. 2021年11月2日閲覧。
- ^ 『フルモデルチェンジした電気小型トラック「eCanter」次世代モデルを発表』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2022年9月7日 。2023年1月13日閲覧。
- ^ 『電気小型トラック「eCanter」新型モデルを発売』(プレスリリース)三菱ふそうトラック・バス株式会社、2023年3月9日 。2023年3月16日閲覧。
- ^ 『NT450アトラスの一部仕様向上を発表』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2019年7月2日 。
- ^ “独ダイムラー・トラック、米で中型EVトラックブランド立ち上げ”. 2023年4月28日閲覧。
- ^ 梁美甜 (2008年10月6日). “轆Book:5噸露筍寸得起” (中国語). 蘋果日報(香港). 2021年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月14日閲覧。
固有名詞の分類
三菱ふそう 車種 |
三菱・ショーグン 三菱ふそう・エアロミディME 三菱ふそう・キャンター 三菱ふそう・ローザ 74式特大型トラック |
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