ブナシメジ 食用

ブナシメジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/12 11:23 UTC 版)

食用

人工栽培品が食用キノコとして日本などで広く流通している。一年中出回っているが、本来の主なは9 - 10月とされ、笠が開きすぎず、張りのあるものが新鮮である[2]。歯切れがよく、まろやかで風味にも味にも癖がないため、和食・中華・洋食を問わずどんな料理にもよく合う[4]。また、天然ものは人工栽培品よりずっと大型でしっかりした肉質で、風味も高い。栽培ブナシメジを品種改良したホワイトブナシメジは、全体に白色でシメジ特有の苦味が少なく、つるんとした食感が特徴である[2]

ビタミンB1B2ナイアシン (B3) 、ビタミンD食物繊維のほか、タンパク質やカルシウムの吸収を促す必須アミノ酸のリジンを多く含んでおり、可食部100グラム (g) あたりの熱量は18キロカロリー (cal) とかなり低カロリーなキノコである[2][3]。旨味成分であるグルタミン酸などのアミノ酸も多いので[3]炒め物汁物、キノコご飯などによく使われる[2]

傷みが早いため入手当日に食べきるのがよいが、保存する場合はポリ袋などに入れて冷蔵し、翌日には使い切るほうが良いといわれている[2]

栽培

生きた木の根に生える根生菌のホンシメジ (Lyophyllum shimeji) と異なり、死んだ木から栄養を取って成長する木材腐朽菌のキノコであるため、人工栽培が容易である。原木栽培菌床栽培に分けられ、いずれの方法でも栽培可能。 菌床培地材料には、オガクズと栄養材が用いられ、ブナ、カバ等広葉樹が子実体の収量や品質の面から望ましいが、散水堆積処理してあれば、スギ、エゾマツ等針葉樹でも栽培可能。コーンコブミールやコットンハル等の農業および食品製造副産物も活用される。栄養材は、「コメ糠」「フスマ」「大豆皮」「乾燥オカラ」等が用いられる。炭酸ガス濃度や混合割合は、子実体の収量と品質に大きな影響を与える[5]ヒラタケ等と比較すると害菌抵抗力が弱く、菌床栽培の場合は空調管理された室内で行われる。栽培工場の労働者にブナシメジ胞子が原因と考えられる慢性呼吸器疾患が報告されている[6]

2018年(平成30年)に日本では117,966トン、506億円が生産された[7]

栽培特性
  • 菌糸体生育温度は、5~30℃、最適温度22℃前後、湿度70%程度
  • 培地含水率は、63%程度。30~40日で培地に菌糸体が蔓延させた後、60日間程度培養とほぼ同条件で熟成。熟成終了後、「覆土」「菌かき」「注水」などの刺激で子実体原基の形成を促す。
  • 子実体発生初期は、温度15℃前後、湿度95~100%、光量70 lx程度、炭酸ガス濃度3,000 ppm以下で管理
  • 生育工程は、温度15℃前後、湿度約95%、光量500~1000 lx、炭酸ガス濃度3,000 ppm以下で管理
  • 栽培期間は、菌種や栽培方法により異なり、100~120日程度

栽培品の参考画像

分類

ブナシメジの属しているシロタモギタケ属は従来キシメジ科に属していたが、分子系統解析の結果ではシメジ科に属するとされている。


  1. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 220.
  3. ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 158.
  4. ^ 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、211頁。ISBN 978-4-06-218342-0 
  5. ^ ブナシメジ栽培技術 (PDF) 特許庁
  6. ^ 裕士, 田中、功, 竹谷、洋行, 菅原、和則, 常松、安弘, 斉藤、祐二, 森田、弘之, 小場、庄作, 阿部「432 ブナシメジ胞子に起因すると思われた過敏性肺炎 : 屋内栽培工場における発生」『アレルギー』第46巻第8-9号、1997年、924頁、doi:10.15036/arerugi.46.924_4 
  7. ^ 林野庁「主要な特用林産物の平成30年の生産動向」、2019年。2020年5月閲覧。


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