タイガーバームガーデン (香港) タイガーバームガーデン (香港)の概要

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タイガーバームガーデン (香港)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 17:01 UTC 版)

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庭園の中心となるパゴダ
入口門
庭園遠景
閉鎖後の外周楼閣(2008年11月)

歴史

タイガーバームガーデンは、軟膏薬タイガーバーム(虎標萬金油)の売り上げで巨富を得た香港の富豪胡文虎(Aw Boon Haw、1882年 - 1954年) と胡文豹 (Aw Boon Par、1884年 - 1944年) の兄弟により1935年に建設された[1]。本来は胡一族の私的別荘であったが、1950年代に一般に公開された。

庭園の中心となるのは高さ44メートル、7層構造のパゴダであり、その周囲に中国仏教儒教、また様々な故事説話を題材としたジオラマがコンクリートや陶磁器を用いて多数配置されている。これら地獄極楽のジオラマを構成する人物・動物・怪物等の人形は極彩色に彩られ、見方によってはグロテスクとも取れる造形をしている。所狭しと配置されたこれらの器物が園全体に非常にキッチュな印象を与え、開放当時には観光施設として高い人気を集めた。

胡文虎が1954年に死亡して以降、敷地は少しずつ切り売りされて高層マンション等に作り変えられ、2000年に至って完全に閉鎖された。施設の一部は香港の二級歴史建築に指定されて保護の対象となっている[2]ため、残存施設は香港特別行政区政府の管理下に置かれている。

2019年、虎豹樂圃(Haw Par Music)としてリニューアルした。

基本情報

以下は開放当時の情報である。

紀行文

三島由紀夫は、1961年に訪れたタイガーバームガーデンのグロテスクな奇景を一つ一つ克明に観賞し、以下のような感想を綴っている。

この庭には実に嘔吐を催させるやうなものがあるが、それが奇妙に子供らしいファンタジイと残酷なリアリズムの結合に依ることは、訪れる客が誰しも気がつくことであらう。中国伝来の色彩感覚は実になまぐさく健康で、一かけらの衰弱もうかがはれず、見るかぎり原色がせみぎ合つてゐる。こんなにあからさまに誇示された色彩と形態の卑俗さは、実務家の生活のよろこびの極致にあらはれたものだつた。胡氏は不羈奔放を装ひながらも、この国伝来の悪趣味の集大成を成就したのである。
中国人の永い土俗的な空想と、世にもプラクティカルな精神との結合が、これほど大胆に、美といふ美に泥を引つかけるやうな庭を実現したのは、想像も及ばない出来事である。いたるところで、コンクリートの造り物は、細部にいたるまで精妙に美に逆らつてゐる。幻想が素朴なリアリズムの足枷をはめられたままで思ふままにのさばると、かくも美に背馳したものが生れるといふ好例である。 — 三島由紀夫「美に逆らふもの」[3]

  1. ^ Tiger Balm Gardens (1935)
  2. ^ List of Graded Historic Buildings in Hong Kong (PDF)
  3. ^ 三島由紀夫「美に逆らふもの」(新潮 1961年4月号に掲載)。『美の襲撃』(講談社、1961年)、31巻 2003, pp. 546–558、『三島由紀夫紀行文集』(岩波文庫、2018年)に所収。


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