サマーウォーズ
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あらすじ
世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界OZ(オズ)。ユーザーはパソコン・携帯電話・テレビなど[注 2]から自分のアバターを操って、ショッピングやゲームだけでなく、納税や行政手続きなどの様々なサービスを利用できる。OZの管理権限や個人情報などは、世界一安全と言われるセキュリティによって守られていた。
ある日、佐久間と共にOZの保守点検のバイトをしていた、東京に住む高校2年生の健二は、憧れの先輩である夏希から、”一緒に夏希の実家に行く”という「バイト」に誘われる。長野県上田市にある実家には夏希の曽祖母である栄おばあちゃんの90歳の誕生日を祝うために、26人の親族が一堂に集まり、健二はひょんなことから栄のために「夏希の婚約者のふり」をすることになった。
2010年[注 3]7月30日の午前0時25分、健二の携帯電話に数字の羅列が書かれた謎のメールが送られてくる。数学が得意な健二は、それを何かの問題だと思って回答してしまう。しかし、それはOZの管理権限を奪取できる暗号であった。翌日、OZは謎の人工知能・ラブマシーンに乗っ取られてしまう。その影響はOZと密接に連携していた現実世界の各種インフラにまで及び、社会全体に大きな混乱を引き起こしてしまう。人々が対応に苦しむ中、栄は人脈を駆使して被害の軽減を図り、事態は収束に向かう。しかし、栄は翌朝、心臓発作(狭心症)で死去してしまう。
陣内家の女性陣が葬儀の準備を進める中、健二と陣内家の男性陣有志は敵討ちや被害拡大の防止のためにラブマシーンを倒す準備を進めていた。作戦の結果、一時はラブマシーンを封じ込めることに成功するが、作戦に使用していたスーパーコンピューターの冷却のために使っていた氷を翔太が栄の遺体の保存のために持ち出したために熱暴走を起こすというアクシデントで逃げ出されてしまい、あげくにはキングカズマのアカウントまでもが奪われてしまう。ラブマシーンは、奪った4億を超えるアカウントの一つの権限を利用して、地球への帰還途中だった日本の小惑星探査機「あらわし」の再突入体を世界に500か所以上ある核施設のどこかに落とそうとする。落ち込む一同だったが、健二の言葉と栄の遺言により気力を取戻し、夏希は栄に仕込まれた花札(こいこい)勝負でラブマシーンへ最後の戦いを挑む。
一度はラブマシーンに一瞬の隙を突かれ敗北し、掛け金が二桁にまで減らされるという窮地に陥るものの、全世界の人々の厚意によって得たアカウントを使ってラブマシーンに奪われたアカウントのほぼ全てを解放することに成功。しかし、ラブマシーンは唯一手元に残った「あらわし」の制御権限を持つアカウントを利用し、再突入体を陣内邸に落下させることを画策。だが健二の機転と計算能力、侘助のラブマシーンへのクラッキングによるリプログラミングと佳主馬が奪い返したキングカズマのラブマシーンへの一撃によってラブマシーンは消滅し、GPS制御の「あらわし」の再突入体の落下地点を陣内邸からずらすことに成功。陣内家の家屋は半壊するも、陣内家の面々は生き残ることができ、怪我の功名で源泉まで手に入れた。
明けて栄の葬儀の日と共に栄の誕生日。OZの混乱を終息させた立役者であり、陣内家を救った功労者である健二と、彼への好意を認めた夏希の仲を、一族みんなが見守るのだった。
注釈
- ^ 劇中設定でも陣内家の先祖が真田家臣の武士であり武功を上げていた誇りある先祖だったとされる。
- ^ ニンテンドーDSiからもOZに接続することができ、陣内家の未就学児を中心に使用している。
- ^ 本作が公開されたのは2009年(平成21年)であるが、本編の所々に「2010年」「平成22年」といった表記が見られる(例 : カレンダーなど)ため、本作の舞台は2010年、つまり近未来であることが分かる。
- ^ 本編冒頭、夏希の実家に向かう新幹線の中で、健二がモジュロ演算を披露するために尋ね、本人が答えている。
- ^ 本人いわく、末端の末端の簡単な仕事。
- ^ a b 第2世代iPhone 3Gは2008年7月、第3世代iPhone 3GSは、本作の公開直前である2009年6月に発売されている。
- ^ 但し、本人いわく、「ゲームではなくスポーツ。」
- ^ 夏希が「おばあちゃんの誕生日を忘れてたなんて嘘、パスコードが8月1日だったもの」と発言している。
- ^ 栄の遺体を腐敗させないためにスーパーコンピュータの熱暴走を防ぐ為の氷を勝手に持ち出した上に、佳主馬に対して「夏の暑さで婆ちゃんが腐っちまう時にお子様は呑気にゲームかよ」と嫌味を吐いた事で佳主馬の怒りを買い、殴り飛ばされた。
- ^ コメンタリー音声にて細田が明かしている。
- ^ 朝のニュースを見て健二を警察の真似をして捕まえようとして、それに気を取られ、更に佳主馬のゲームをやろうとしてラブマシーンに反撃の機会を与えてしまった。
- ^ 朝のニュースを見て健二を警察の真似をして捕まえようとして、それに気を取られ、更に佳主馬のゲームをやろうとしてラブマシーンに反撃の機会を与えてしまった。
- ^ ネットやSNSが普及したとはいえ、映画興行において、老若男女問わない一般層への宣伝や告知媒体として地上波のテレビ局が製作に関与する意味は大きい。同じ日本テレビが製作に参加した『魔女の宅急便』以降、スタジオジブリの作品の興行収入が急増したのが好例である[25]。
- ^ 翌週の3月22日付の週間ランキングで、『機動戦士ガンダムUC 1』が5.6万枚で最高記録を更新した。
- ^ 2012年 - 2019年は『金曜ロードSHOW!』。
出典
- ^ “2009年(平成21年)興収10億円以上番組” (PDF). 日本映画製作者連盟 (2010年1月). 2013年7月12日閲覧。
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- ^ a b “テレビ初登場の「サマーウォーズ」は特別版、細田監督が直々に再編集。”. Narinari.com (2010年7月28日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ “神木隆之介、役作りの参考は「自分」。細田守監督「サマーウォーズ」完成”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム (2009年7月8日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ “細田守監督最新作は「バケモノの子」! フランスでの公開が既に決定”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム (2014年12月11日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ NHK名古屋放送局「おはよう東海」(2009年8月6日放送)の特集より
- ^ 「トップランナー」(2009年9月11日放送)やインタビューなどより
- ^ 福嶋麻衣子・いしたにまさき 『日本の若者は不幸じゃない』 ソフトバンククリエイティブ、2011年、172-174頁。ISBN 978-4797362695。
- ^ サマーウォーズ公式サイト・小磯 健二
- ^ サマーウォーズ公式サイト・篠原 夏希
- ^ 誕生年は陣内家へ向かう途中の健二の発言、および誕生月・日については侘助のiPhoneのロック解除のパスワードから[注 8]。
- ^ 『映画芸術』428号より。
- ^ “侘助さんのiPhone” (twitter). スタンリー@金曜ロードSHOW! (21:57 - 2017年8月18日). 2017年8月19日閲覧。
- ^ 『PLUS MADHOUSE 3 細田守』より。
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- ^ “最高レベルのCGを駆使し、他には考えられないキャストを揃えた映画「サマーウォーズ」の細田守監督へインタビュー” (2009年7月23日). 2016年8月13日閲覧。
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- ^ 細田守監督の新作アニメ映画『サマーウォーズ』、「時かけ」超える面白さ! | ワイアードビジョン アーカイブ
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- ^ “お得情報メモ)AIであるラブマシーンが引き起こすいくつもの混乱。” (twitter). スタンリー@金曜ロードSHOW! (21:47 - 2017年8月18日). 2017年8月19日閲覧。
- ^ “続き 米軍が実際に行ったサイバー戦演習の実例を記した論文を執筆されている方です!” (twitter). スタンリー@金曜ロードSHOW! (21:49 - 2017年8月18日). 2017年8月19日閲覧。
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- ^ デジモンのパクリは間違い!『サマーウォーズ』と『ぼくらのウォーゲーム!』の比較・考察!
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- ^ “サマーウォーズとコラボしたオンラインリアル脱出ゲーム 「AIによる世界支配からの脱出」イベント限定のオリジナルグッズ全3種を発表!6月24日(木)正午12:00より販売開始!”. PR TIMES (2021年6月24日). 2022年2月19日閲覧。
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- ^ a b c 朗読サマーウォーズ|日テレイベント情報
- ^ テレビ初登場の「サマーウォーズ」は特別版、細田監督が直々に再編集。|Narinari.com
- ^ “金曜ロードSHOW! 細田守2週連続放送の順序入れ替え。12日未来のミライ、19日SW(Impress Watch) - Yahoo!ニュ…”. archive.ph (2019年7月4日). 2019年7月4日閲覧。
- ^ “BS12でノーカット放送するので、よろしくお願いしまぁぁぁすっ!! 『サマーウォーズ』 8月15日(日)よる7時~「日曜アニメ劇場」”. NEWSCAST (2021年7月19日). 2021年7月19日閲覧。
- ^ https://www.disney.co.jp/tv/dc/recommend/2108-0717.html
- ^ “映画「サマーウォーズ」上映会”. ニコニコ生放送. 2022年1月12日閲覧。
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