サザビー (ガンダムシリーズ) ムーンガンダム

サザビー (ガンダムシリーズ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 22:10 UTC 版)

ムーンガンダム

諸元
ムーンガンダム
MOON GUNDAM
型式番号 AMS-123X-X[61]
全高 21.7m[58]
全備重量 [58]
装甲材質 不明[58]
出力 不明[58]
推力 不明[58]
武装 ビーム・ライフル
ビーム・トマホーク
60mmバルカン
バタフライ・エッジ×2
サイコプレート×8
搭乗者 ユッタ・カーシム
強化型ムーンガンダム
ENHANCED MOON GUNDAM[62]
型式番号 AMS-123X-XS[62]
全高 21.7m[62]
全備重量 55.8t[62]
武装 ビーム・ライフル(グレネードランチャー付き)
ロング・ライフル
ビーム・トマホーク兼用ビーム・サーベル
60mmバルカン
サイコプレート×8
搭乗者 ユッタ・カーシム

『機動戦士ムーンガンダム』の主役機[54]。バルギルのボディにアムロ・レイが撃墜した謎のガンダムの頭部を組み合わせ、改修とカラー変更を行った機体[53][57]。肩形状などにバルギルとの類似点を見出せる[54][56]。バルギル側のサイコミュ兵器が従来型である一方で、ガンダムの頭部側には次世代サイコミュ兵器が搭載されていた[57]

設定解説(ムーンガンダム)

バルギル(ガンダム・ヘッド搭載型)に、ムーン・ムーンへ漂着したG-ドアーズの頭部とそのサイコミュ・ユニット「サイコプレート」を組み込んだ姿[61]。パイロットはムーン・ムーンに住む少年、ユッタ・カーシム。

最大の特徴は、機体の背面に装着された三日月型の装備、サイコプレート[63][64][65]。サイコプレートには研究段階にあったサイコフレームが組み込まれており、パイロットの感応波を機体の操縦に反映させる受信装置としての機能をもつほか[66]、それ自体をオールレンジ攻撃用の武器として自在に使用することができる。サイコプレートは16枚のうち8枚[66]が戦闘により欠損しており、残りの8枚が欠けた月を想起させるシルエットを形成する[64][注 12]

当初の機体色はそれぞれの改修前と同じとなっており、設定資料などでは「バルギル(ガンダムヘッド&サイコ・プレート搭載型)」と呼称されるが[64]、地球連邦軍への心理的効果を意図したリュースの意向により、第23話でガンダムを想起させる赤白青のトリコロールへと塗り替えられる[注 13]

後頭部にあたる箇所のアンテナらしきものも従来のガンダムとは異なっており、加えて縦に走る緑のラインも確認できる、独特なデザインの機体となっている[63]

当初はゲム・カモフのような運用が想定されており[67]、第24話では所属を偽るために利用される。

武装(ムーンガンダム)

改修前と同じビーム・ライフルやビーム・トマホークに加え、バルギル用の武装であった[67]左右前腕後部に内蔵された折り畳み式格闘用ビーム刃発生器「バタフライ・エッジ」2基、G-ドアーズの頭部に内蔵された60ミリバルカン砲2門、G-ドアーズから移植されたムラサメ研究所由来の遠隔式サイコミュ兵器「サイコプレート」8基。ビーム式トライブレードの一種と位置づけられるバタフライ・エッジは短時間のみサイコミュによる遠隔操作が可能で、ブーメランのような使い方が可能[67]サイコプレートは、バックパック左側に連結状態の4基を二重に重ねた収納形態と、赤い発光部を露出させた三日月形態の二つの待機形態をもち、分離後はパイロットの脳波コントロールで攻防どちらにも使用可能となっている[58]

作中での活躍(ムーンガンダム)

ネオ・ジオン軍過激派シュランゲ隊の襲撃で身動きが取れなくなったアゴスに代わり、ムーン・ムーンに住む少年「ユッタ・カーシム」が搭乗する。身分を隠してユッタに接触したクランゲル隊の上官「リュース・クランゲル」が、「ムーン・ムーンで生まれ、ムーン・ムーンの民であるユッタが動かすガンダム」という意味を込めて「ムーンガンダム」と命名し[66]、機体名称と型式番号も正式に変更される[67]

強化型ムーンガンダム

ヤーヒム隊のサイコ・バウやシャアが搭乗するサザビー初期試験型(重力下仕様)との連戦後に降伏しネオ・ジオン軍所属となったムーンガンダムを、ネオ・ジオン軍が占拠した南極の旧資源開発基地で改修した姿[62]

パイロットであるユッタの才能とサイコプレート主体の戦法から大きな問題にはなっていなかったが、ムーンガンダム自体はバルギルにガンダムの頭部やサイコプレートを後付けした構造ゆえに、ムーバブル・フレームやジェネレーターが過負荷状態にあった。南極基地の設備の都合から全面改修は困難であったものの、サザビー世代の高出力ジェネレーターへの交換を軸とした上半身の刷新・強化が行われている。さらに、バックパックのメインバーニアを2基から4基に、肩部スラスターを片方1基から2基に増設することで、推力や機動性、旋回能力が向上している[62]


注釈

  1. ^ フロントアーマーには本名のキャスバル・ダイクン(もしくは通り名としてのシャア・ダイクン、またはその両方)のイニシャルCDト音記号風にアレンジしたマーキングが入っている。
  2. ^ 6メガワットとする資料もある[13]
  3. ^ 片刃の形態を「ビーム・アックス」としている資料もあり、ガンプラ「HGUC サザビー」の説明書では武装自体の呼称を「ビーム・トマホーク」、片刃のみビームを形成した形態を「ビーム・アックス」、両刃および中央部先端にビームを形成した形態を「大型ビーム・サーベル」としている[16]
  4. ^ 映画企画初期に永野護が描いた同名のMSとは、まったくの別デザイン。
  5. ^ ただし、別ページの末弥純による口絵カラーイラストでは映画版のサザビーのデザインがそのまま使われており、解説だけがナイチンゲールのものになっている。
  6. ^ 漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』ではデザインのみ2007年に出渕によりリデザインされたHi-νガンダムが使われているが、名称は「RX-93 νガンダム」のまま変更はない。
  7. ^ 出渕裕がのちに描いた同名のMSは、まったくの別デザイン。
  8. ^ 当時、富野監督と永野が考えていたMSはすべて「ごつく怖い」デザインラインで進行していたため、映画のために永野が用意したMSはすべて恐竜怪獣モチーフとしており、ギラ・ドーガヤクト・ドーガにあたるデザインとともにリック・ディアスのラインを推し進めた最終形態の超重装甲のデザインとなっていた[47]
  9. ^ 画稿に「"ZAC" NAITIENGEAILE」と記載され、「『死を運ぶ鳥』という意味の名が付けられた」と説明文に書かれている。また機体のイメージを表したのか、恐竜の「ステゴサウルス」という書き込みも見られる。
  10. ^ アゴスは機体の不具合であると主張するが、仲間からは「半人前」などと非難を浴び、以降もからかわれる原因となる。
  11. ^ 損傷した頭部の不気味さにより、作中ではユッタから「悪霊を乗せた顔なしの巨人」と誤認される[59]
  12. ^ 「ジオン系の胴体にガンダムの頭が乗っていて、背中に月を背負っている」というコンセプトは福井晴敏の提案によるもので、そこにデザイナーの形部一平が「満月状のファンネル集合体が偶発的な要因で欠損し、欠けた月のシルエットを構成する」という設定を組み込んだ[64]
  13. ^ 『機動戦士ムーンガンダム』の連載開始号である『月刊ガンダムエース』2017年11月号の表紙や、2018年に発売されたガンプラでは、本編の展開に先んじてトリコロールで配色されており[58]、のちの展開でガンダムらしい配色に塗り替えられることが予告されていた[55]

出典

  1. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、44頁。(ISBN 978-4891890193)
  2. ^ a b c d e f g h 『マスターグレード MSN-04 サザビー』付属説明書、バンダイ、2000年7月。
  3. ^ 出渕裕『出渕裕メカニカルデザインワークス (1)』ムービック、2000年8月、4頁。ISBN 978-4896014907 
  4. ^ a b c d 出渕裕『出渕裕メカニカルデザインワークス (1)』ムービック、2000年8月、12-13頁。ISBN 978-4896014907 
  5. ^ a b ガンプラファクトリー 2005, p. 98.
  6. ^ 『B-CLUB』22号、バンダイ、1987年8月、49頁。
  7. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .3 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 アクシズ戦争編】』バンダイ、1989年6月、52-53頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s プラモデル『1/144 MSN-04 サザビー』付属説明書、バンダイ、1988年2月。
  9. ^ MSバイブル132 2022, pp. 18–19.
  10. ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、70頁。(ISBN 978-4891890193)
  11. ^ a b 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店、1998年8月15日初版発行、59-60頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  12. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、138頁。(ISBN 978-4891890193)
  13. ^ a b c d e f g h 『電撃ホビーマガジン』2007年2月号、メディアワークス、80頁。 
  14. ^ 『ニュータイプ100%コレクション10 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』角川書店、1988年5月1日、54頁。ISBN 4-04-852983-8 
  15. ^ a b c d e 週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第5号 2019, p. 8-9.
  16. ^ a b プラモデル『HGUC MSN-04 サザビー』付属説明書、2008年6月。
  17. ^ 週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第5号 2019, p. 18-25.
  18. ^ 『ガンダム パーフェクト・ファイル36号』デアゴスティーニ・ジャパン、2012年5月。
  19. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』207ページ
  20. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』218ページ
  21. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』223ページ
  22. ^ 『B-CLUB』30号、バンダイ、1988年4月、88-91頁。
  23. ^ 一目でわかるアムロとシャアの軌跡 2024.
  24. ^ a b c d e f g 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.32」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2022年10月、132-133頁、JAN 4910124011027 
  25. ^ 近藤和久『ジオンの再興』角川書店、1996年2月、18頁。(ISBN 404713127X)
  26. ^ a b c d e f g h i j k 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、45頁。
  27. ^ 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、55頁。
  28. ^ a b RGサザビーFF WEB 2023.
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  30. ^ a b c RGサザビーFF 2023.
  31. ^ GUNDAM BASE TOKTYOブログRGサザビーFF 2023.
  32. ^ バトオペ2公式サザビーFF 2023.
  33. ^ RGサザビーFF商品PV 2023.
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  35. ^ a b c d e 【魂インタビュー】シャア・アズナブルに捧げるために作った「ROBOT魂 <SIDE MS>ナイチンゲール(重塗装仕様)」”. GAME Watch. インプレス (2018年9月10日). 2021年5月5日閲覧。
  36. ^ 『モデルグラフィックス』2017年3月号、大日本絵画。
  37. ^ 『RE/100 1/100スケール ナイチンゲール』、バンダイ、2014年9月。
  38. ^ a b ガンダムモビルスーツバイブル 5号 (MSN-04 サザビー). デアゴスティーニ・ジャパン. (2019/3/5) 
  39. ^ a b 『ガンダムウェポンズ 逆襲のシャア編』ホビージャパン、2001年3月1日、63頁。 
  40. ^ 『ガンダムモビルスーツバイブル 創刊号』デアゴスティーニ・ジャパン、2019年1月29日、12頁。 
  41. ^ 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店、1998年8月15日初版発行、20-23頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  42. ^ 『B-CLUB』30号、バンダイ、1988年4月、16-17頁。
  43. ^ 『1/550 NZ-333 α-アジール』バンダイ、1988年8月、組立説明書。
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  46. ^ a b 『機動戦士ガンダムエピソードガイド Vol.3』角川書店、1999年12月、151頁。ISBN 978-4048530705 
  47. ^ a b c d e 『Newtype2007年1月号 ポスター』角川書店、2006年12月。 
  48. ^ 『ZGUNDAM A (ゼータガンダムエース)』角川書店、2005年7月、82-85頁。 
  49. ^ 『Newtype1998年6月号付録「まるごと富野」』角川書店、1998年5月。 
  50. ^ 永野護『ファイブスター物語リブート2巻』角川書店、2011年4月、74頁。ISBN 978-4048546225 
  51. ^ a b c d e f g h 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年2月、138-139頁、JAN 4910124010389。 
  52. ^ a b c 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年7月、68頁、JAN 4910124010785。 
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  54. ^ a b c d e f 『MOONガンダム』サザビーへとつながる主役機ムーンガンダムの詳細が明らかに”. マイナビニュース. マイナビ (2018年6月21日). 2021年6月4日閲覧。
  55. ^ a b 虎哉孝征; 形部一平(インタビュアー:鈴木康道)「虎哉孝征&形部一平 ダブルインタビュー」『'“ 機動戦士ムーンガンダム”'第3巻, KADOKAWAカドカワコミックス・エース〉, pp.205-208, ISBN 978-4-04-107998-0』、2019年3月26日。 
  56. ^ a b 『MOONガンダム』主役機誕生のカギを握るニュータイプ専用機「バルギル」公開”. マイナビニュース. マイナビ (2018年5月30日). 2021年6月4日閲覧。
  57. ^ a b c d 『ムーンガンダム』が照らす謎、『逆襲のシャア』『UC』へ続くMS開発の空白に迫る”. マイナビニュース. マイナビ (2018年9月26日). 2021年6月4日閲覧。
  58. ^ a b c d e f g h 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー AMS-123X-X ムーンガンダム』付属説明書、バンダイ、2018年9月。
  59. ^ 『機動戦士ムーンガンダム』第1巻、258,261頁、第6話。
  60. ^ 「機動戦士ムーンガンダム Episode.20」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年8月、85-126頁、JAN 4910124010990。 
  61. ^ a b HGUC1/144 ムーンガンダム|バンダイホビーサイト 2018年9月17日閲覧
  62. ^ a b c d e f 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.33 強化型ムーンガンダム」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2024年4月、JAN 4910124010440。 
  63. ^ a b 『MOONガンダム』大きな月を背負ったムーンガンダムがガンプラHGに登場”. マイナビニュース. マイナビ (2018年5月10日). 2021年6月4日閲覧。
  64. ^ a b c d 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.12 バルギル(ガンダムヘッド&サイコ・プレート搭載型)」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年12月、116-117頁、JAN 4910124011287。 
  65. ^ 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.13 G-ドアーズ」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年1月、112-113頁、JAN 4910124010198。 
  66. ^ a b c 「機動戦士ムーンガンダム Episode.21」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年9月、131-170頁、JAN 4910124010990。 
  67. ^ a b c d 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.20 ムーンガンダム」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2020年1月、32-33頁、JAN 4910124010105 





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