グランビスタ ホテル&リゾート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/13 22:22 UTC 版)
概要
1958年(昭和33年)8月、三井合名出身で北海道炭礦汽船(北炭)社長の萩原吉太郎が、関連会社として北海道不動産を設立。道内のみならず本州にも進出し、ホテル・ゴルフ場・高速道路サービスエリアの売店・有料道路の熱海ビーチラインなど多角的なリゾート事業を展開した。62年10月、北の迎賓館と称された札幌グランドホテルを吸収合併した。
1963年(昭和38年)4月、北炭観光開発、71年11月には三井観光開発に社名変更し、「三井アーバンホテルズ」の全国展開をはじめ、鴨川シーワールドやゴルフ場を保有していた八洲観光開発の買収で業容を拡大。当時のCIは英略称のMKKを模したものであった。
不動産業で先行していた三井不動産の三井ガーデンホテルズとは事業上の関係は作られず、銀座と大阪市や福岡市などの西日本地域でホテルが重複して競合関係にあった。銀座はどちらも十五銀行の跡地に建物を構えている。2009年(平成21年)に「メルキュールホテル札幌」、10年に「三井ガーデンホテル札幌」が開業し、創業地の「札幌グランドホテル」を構える札幌市でも競合していた。2000年代前半に「ガーデンホテルズ」と「三井アーバンホテルズ」は共同でインターネット予約サイト「Hoteland.com」を運営したが04年に終了した。
札幌テレビ放送 (STV) 設立に吉太郎が関わった経緯で[2]、2000年代まで三井観光開発はSTVの大株主で、社長をはじめとする一部の取締役は三井観光開発の出身だった。
経営再建
1970年代から親会社の北炭の経営悪化に伴い、三井観光開発は同社へ資金支援を行っていたが、1995年(平成7年)の経営破綻で貸付金等が取立不能となった事で有利子負債が増加した。また巷言される失われた10年の影響でゴルフ場事業を中心に累積赤字も増加し、01年には政商と呼ばれた創業者の吉太郎が98歳で死去したことで、経営の建て直しが大きく浮上した。
三井観光開発はメインバンクである三井住友銀行に金融支援を要請し、2005年(平成17年)に200億円の債権放棄で合意。8月に既存株式99%の無償減資と100対1の株式併合を行った上で、大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツが組成・出資した実質的には投資ファンドとなる「株式会社ディー・エス・エムインベストメンツガンマ」に吸収合併される。合併後、同社は即ちに(2代目)三井観光開発株式会社へ社名変更した。06年には日本政策投資銀行(政投銀)と三井住友銀行により組成されたシンジケートローン369億円と、政投銀による優先株式10億円の資金調達を受けた[3]。
この再建に際して、吉太郎の次男・次郎は長年務めた会長職を辞任。出資会社である三井物産と三井住友銀行などの意向により、新社長は物産出身の吉村仁が49歳で就任した。
三井観光からグランビスタへ
2007年(平成19年)7月1日に現社名へ変更し、「三井観光」名称のゴルフクラブは名称変更し大和証券SMBC傘下となった。また運営ファンドへ売却した「三井アーバンホテル」を2008年に「ホテルコムズ (com's)」へ名称を刷新して運営に携わり、投資ファンドのホテル事業運営会社として機能する。
2011年(平成23年)12月に、企業再生支援機構による事業再生支援を発表し[4]、運営していたシティホテルを閉鎖して「ホテルコムズ」ブランドは全廃した。「ホテルコムズ銀座」は「銀座グランドホテル」に改称した。12年3月には札幌パークホテルと鴨川シーワールド支配人などを歴任した生え抜きの須田貞則が社長に就いた[5]。
2015年(平成27年)3月に、支援機構が保有するグランビスタホテル&リゾートの全株式をサンケイビルと投資ファンドジェイ・ウィル・パートナーが出資する合同会社ジェイ・エックス・エー[6]が取得することについて合意し[1]、4月24日に株式譲渡が完了して、機構による再生支援が完了した[7][8]。
2018年(平成30年)に、新ブランドホテル「INTERGATE HOTELS」を京都市と東京都中央区に、19年には広島市と金沢市に進出した[9][10]。サンケイビルが土地取得と建物建設を行い、グランビスタが運営を担当する[11]。
- ^ a b “株式会社グランビスタホテル&リゾートの株式取得に関するお知らせ” (PDF). サンケイビル (2015年3月13日). 2015年3月15日閲覧。
- ^ 境政郎 2020, p. 294 - 296.
- ^ 三井観光開発(株)に対しシニア~メザニンに亘る包括的なファイナンスを組成・実施|日本政策投資銀行(DBJ) 平成18年7月3日
- ^ “再生機構、鴨川シーワールド支援へ 自力再建断念”. 日本経済新聞 電子版. (2011年12月1日) 2017年10月18日閲覧。
- ^ “グランビスタホテル&リゾート社長に須田氏”. 日本経済新聞. (2012年2月15日) 2022年9月29日閲覧。
- ^ グランビスタホールディングスに改名後、2018年10月サンケイビルに吸収合併
- ^ “株式会社グランビスタホテル&リゾートに対する再生支援の完了について” (PDF). 地域経済活性化支援機構 (2015年4月24日). 2015年4月27日閲覧。
- ^ “旧企業再生支援機構の再生事業、すべて終了”. 日本経済新聞. (2015年3月13日) 2022年9月28日閲覧。
- ^ “広島市中心部にグランビスタがホテル、15日開業”. 日本経済新聞. (2019年1月11日) 2022年9月28日閲覧。
- ^ “グランビスタ、金沢でホテル開業 19年3月に北陸初”. 日本経済新聞. (2018年9月20日) 2022年9月28日閲覧。
- ^ “グランビスタ、新ブランドのホテル「インターゲート」を展開”. 産経ニュース. (2017年9月20日) 2017年10月18日閲覧。
- ^ 【グランビスタホテル&リゾート】グランビスタ アソシエイトホテルズ新規加盟施設のご案内 箱根仙石原「ネストイン箱根 俵石閣(ヒョウセキカク)」誕生! - PR TIMES グランビスタ ホテル&リゾート 2017年7月20日
- ^ 【ホテルコムズ仙台営業終了のお知らせ】 グランビスタ ホテル&リゾート 2012年8月29日
- ^ <変貌 仙台中心部>大規模再開発は足踏み - 河北新報
- ^ 【ホテルコムズ仙台アネックス 営業終了のお知らせ】 グランビスタ ホテル&リゾート
- ^ ホテルプレミアムグリーンヒルズ
- ^ ホテルコムズ大阪 営業終了のお知らせ グランビスタ ホテル&リゾート 2012年12月3日
- ^ ホテル談露館 運営受託契約終了のお知らせ グランビスタ ホテル&リゾート 2014年1月29日
- ^ エアラインホテル 運営受託契約終了のお知らせ グランビスタ ホテル&リゾート 2014年2月4日
- ^ “ホテル大阪ベイタワー営業終了のお知らせ”. グランビスタホテル&リゾート. 2018年3月5日閲覧。
- ^ 章月グランドホテル事業譲渡に関するお知らせ グランビスタ ホテル&リゾート 2018年3月14日
- ^ 黒部観光ホテル 分社化及び株式譲渡に伴う個人情報の取り扱いについて グランビスタ ホテル&リゾート 2018年5月1日
- ^ 『北海道新聞』(2013年11月7日)「札幌の老舗ホテル、グランドとパークが「偽装」 アカニシ貝を「アワビ」/中国産アサリを「道産」 計39品最大7年間」
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