グスコーブドリの伝記 アニメ版

グスコーブドリの伝記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/17 07:16 UTC 版)

アニメ版

1994年映画

グスコーブドリの伝記
監督 中村隆太郎
脚本 中村隆太郎
原作 宮澤賢治
出演者 高山みなみ石田太郎
音楽 菅野由弘
撮影 高橋明彦
編集 瀬山武司
制作会社 あにまる屋
製作会社 「グスコーブドリの伝記」映画製作委員会作品
配給 東京テアトル
共同映画全国系列会議
公開 1994年7月16日
上映時間 85分
製作国 日本
言語 日本語
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賢治の没後60周年を記念して1994年に制作、同年7月16日上映会(親子映画)向けに順次公開された。制作に当たっては制作費の一部が地元である岩手県からの募金によってまかなわれている。舞台であるイーハトーブについては、賢治が暮らした「1920年代の岩手県」をモチーフとした描写がなされ、ほぼ原作に忠実なストーリーである[注 5]

本作について、アニメ映画『セロ弾きのゴーシュ』を監督した高畑勲1996年に執筆した文章で、原作における人工降雨での施肥や火山噴火を利用したCO2増加による温暖化は賢治の切実な願いに基づく科学の夢だが、現在ではそうした行為が生態系に深刻な影響をもたらすことがわかっているのに、その点を考えずに映画化したことを批判した[7]

キャスト(1994年映画)

スタッフ(1994年映画)

2012年映画

グスコーブドリの伝記
監督 杉井ギサブロー
前田庸生(アニメーション監督)
脚本 杉井ギサブロー
原作 宮沢賢治
製作 清水義裕
渡辺繁
ナレーター 柄本明
出演者 小栗旬
忽那汐里
佐々木蔵之介
草刈民代
林家正蔵
林隆三
柄本明
音楽 小松亮太
主題歌 小田和正生まれ来る子供たちのために
撮影 佐藤陽一郎
編集 古川雅士
制作会社 手塚プロダクション
製作会社 「グスコーブドリの伝記」製作委員会
配給 ワーナー・ブラザース映画
公開 2012年7月7日
上映時間 108分
製作国 日本
言語 日本語
興行収入 2億6400万円[8]
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2012年7月7日ワーナー・ブラザース映画の配給により、丸の内ピカデリー2他全国241スクリーンで公開された。

1985年のアニメ映画『銀河鉄道の夜』と同様、ますむらひろしによる漫画版(をキャラクターとしたもの)をベースとしており、キャラクターはすべて猫の姿をしている。『グスコーブドリの伝記』の原作に基づきつつ、原作に登場しない「世界裁判長」や「ばけもの」のキャラクターを『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』から借用した内容となっている。

制作は手塚プロダクションで、監督は同じくますむらの漫画版をもとにした『銀河鉄道の夜』を手がけた杉井ギサブロー文部科学省特選。

7月7日、8日の初日2日間で興収5,888万8,200円、動員4万6,355人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第7位となっている[9]

制作の経緯

2008年3月に開催された東京国際アニメフェアにて制作が発表された。制作は『銀河鉄道の夜』と同じグループ・タックが当たるとされ、脚本は村井さだゆきの予定であった。上記の東京国際アニメフェアでは「2009年春完成予定」[10]とされていた。予定を過ぎた2010年4月当時、グループ・タックのウェブサイトでは「製作中」となっていた[11]が具体的な公開予定などは明らかにされなかった。2010年9月にグループ・タックが事業の継続を断念し、破産手続きを開始したことが報じられたため、同社が本作を完成させることは事実上不可能になった。

その後、2011年9月30日に文化庁が選定した平成23年度の「国際共同製作映画支援事業」における製作支援対象として、手塚プロダクションが制作する形で本作が含まれていることが明らかになった[12]。この支援を受けるには2カ国以上での共同制作で、平成23年度(2012年3月末)までに完成させることが条件となっていた[12]

2011年12月、2012年夏にワーナー・ブラザース映画の配給で公開予定であることが報じられた[13]。2012年1月、公開日(7月7日)とメインスタッフが発表された[14]

キャスト(2012年映画)

スタッフ(2012年映画)

主題歌(2012年映画)

小田和正生まれ来る子供たちのために」(アリオラジャパン

ソフト化(2012年映画)・関連出版

2013年1月29日発売。Blu-rayとDVDでリリース。発売・販売元はバンダイビジュアル。

受賞


注釈

  1. ^ 一部の草稿は『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』に手入れして転用している他、それ以外も一部裏面を転用している。
  2. ^ 賢治が『児童文学』に寄稿したのは賢治と交流のあった詩人の石川善助が主宰の佐藤一英に賢治を勧めたことがきっかけである。佐藤は童話集『注文の多い料理店』を読んで感心し、賢治に何枚でも自由に書いてくれと頼んだという(『児童文学』復刻版別冊、p.82)。
  3. ^ 1931年8月18日付の沢里武治(花巻農学校での教え子)宛書簡[1]。この中では「次は『風野又三郎』というある谷川の岸の小学校を題材とした百枚ぐらいのものを書いています」という言及がある(原文の歴史仮名遣いを現代仮名遣いに修正)[1]
  4. ^ 一例として鳥越信 「グスコーブドリの伝記」 『国文学 解釈と鑑賞』 至文堂、1974年12月号。
  5. ^ ブドリが亡くなった後の様子がアバンタイトルで描かれたり、ネリがブドリのカルボナード島行きに反対する場面が入るなどといった脚色はある。また、ネリがブドリとの再会に際して夫である牧場の主人の長男との間に息子が一人いて母親となっていることを告げたり(のちに娘も出産する)、ペンネン技師が原作よりも若いといった設定の変更もある。

出典

  1. ^ a b 平澤信一「宮沢賢治『風の又三郎』の場所」『教育学部研究紀要』第1号、明星大学教育学部、2011年3月15日、135-140頁、CRID 1050282676648059520ISSN 21859051NAID 120005464439 
  2. ^ 宮沢賢治の草稿を出品へ/古書入札会 - 四国新聞2015年7月2日
  3. ^ 入沢康夫(新校本全集編纂委員)のTwitterより
  4. ^ 棟方志功「妙不可思議韻」『校本宮澤賢治全集』第13巻月報、筑摩書房、1974年12月(引用箇所は、原文のカタカナ・歴史的仮名遣いをひらがな、現代仮名遣いに改めた。ただし「ムナカタシコウ」の箇所は原文通り)
  5. ^ 『【新】校本宮澤賢治全集』第12巻校異篇、筑摩書房、1995年、pp.116 - 117
  6. ^ 石黒耀「私の読む『グスコーブドリの伝記』」宮沢賢治学会イーハトーブセンター会報第32号(2006年)。(2006年5月14日時点のアーカイブ
  7. ^ 高畑勲「自然との深い交感を賢治に見た」『映画を作りながら考えたこと II(1991-1999)』徳間書店、1999年、p233(初出は『宮沢賢治の映像世界』キネマ旬報社、1996年、に掲載)
  8. ^ キネマ旬報」2013年2月下旬決算特別号 207頁
  9. ^ 新『スパイダーマン』2週連続トップで動員100万人突破!『アンパンマン』新作は初のトップ5入り!シネマトゥデイ 2012年7月10日
  10. ^ アニメイトTV web 「名作再び『グスコーブドリの伝記』発表」 (2008.3)(2008年6月19日時点のアーカイブ
  11. ^ HOME(tac web)[リンク切れ]
  12. ^ a b 文化庁国際共同製作支援作品に「グスコープドリの伝記」「BLOOD-C」 アニメ!アニメ!ビズ2011年10月1日
  13. ^ 宮沢賢治の名作を映画化で被災地支援 日刊スポーツ2011年12月4日
  14. ^ 宮澤賢治原作『グスコーブドリの伝記』公開決定!OCNアニメニュース(2012年1月17日)
  15. ^ アニメーション部門|優秀賞”. 第16回文化庁メディア芸術祭. 2012年12月15日閲覧。






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