イッセー尾形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 08:05 UTC 版)
いっせー おがた イッセー 尾形 | |
---|---|
本名 | 尾形 一成 |
生年月日 | 1952年2月22日(72歳) |
出生地 | 日本・福岡県福岡市 |
国籍 | 日本 |
血液型 | A型 |
ジャンル | 俳優、コメディアン、小説家 |
活動期間 | 1971年 - |
活動内容 | 舞台(一人芝居)、映画、ドラマ |
配偶者 | あり |
主な作品 | |
テレビドラマ 『意地悪ばあさん』 『炎立つ』 『スカーレット』 『どうする家康』 映画 『トニー滝谷』 『太陽』 舞台 『イッセー尾形の都市生活カタログ』シリーズ 『イッセー尾形のとまらない生活』シリーズ | |
受賞 | |
第35回文化庁芸術選奨文部大臣新人賞大衆芸術部門(1985年) 第21回紀伊國屋演劇賞(1986年) 第26回放送批評ギャラクシー賞奨励賞(1988年) 第27回ゴールデン・アロー賞演劇芸術賞(1989年) 第14回スポニチ文化芸術大賞グランプリ(2006年) |
来歴・人物
本名は尾形 一成(おがた かずしげ)。「一成」の名は宇垣一成に因むという[注 1]。芸名の「イッセー」は、本名の音読みからつけたものである。
福岡県福岡市生まれ。父は保険会社のサラリーマンで転勤を繰り返し、まもなく北九州市小倉に移り、幼稚園から小学校1年まで長崎県佐世保市、その後また福岡市に戻り小学校3年の時、東京都杉並区に引越す[1]。高校3年の時千葉県津田沼に移る。東京都立豊多摩高等学校卒業。
美術大学受験に失敗して浪人していた19歳の時に新宿の演劇養成所「アクターズスタジオ」に入る[2]。そこで知り合った森田雄三と共に自由劇場へ移り、高田純次らと劇団「うでくらべ」を結成もした(10カ月ほどで終焉[3])。以後は建築現場で働きながら一人芝居の技を磨く。
1981年に日本テレビ『お笑いスター誕生!!』で金賞を獲得して広く認知されるようになった。当時は折からの漫才ブームの中で観客は“爆笑型”の笑いを求める傾向にあり、イッセーの芸風は他の出演者に比べて地味な印象があった。「自分も爆笑型をやった方がいいのだろうか」と悩み、爆笑型のネタを作り収録前のリハーサルで披露した。しかし番組のディレクターから「イッセー君は、そういうのとは違うんじゃない?」とアドバイスされ、自分のスタイルを貫くことに自信を持った。この直後の『意地悪ばあさん』(青島幸男主演)では早野金造巡査を演じ、認知度は一気に高まった。『意地悪ばあさん』は1982年にレギュラー番組が終了した後、月曜ドラマランド枠の単発スペシャルが放送されたが、1983年10月の第1作で早野は警察をクビになって波多野医院(ばあさんの長男のシゲル(佐藤英夫が演じた)が経営する医院)の事務長になっている。しかし不評だったのか1984年4月の次作以降は警察官に戻っている。それほどイッセー尾形=早野巡査のイメージは強かった。
現在では日本国内のみならずアメリカやヨーロッパといった海外でも巡業を行っている。また一人芝居(代表作は「アトムおじさん」など[4])の他にも桃井かおりや小松政夫との二人芝居、映画、ドラマ・CM・司会、小説の執筆、絵画など幅広く活動を行なっている。
2009年3月10日に服用した皮膚病の薬のアレルギーで一時入院、[5]翌日には退院した。
2016年、『沈黙 -サイレンス-』でロサンゼルス映画批評家協会賞 助演男優賞の次点入賞を果たす[6]。
一人芝居のスタイル
平均して公演は1時間30分〜1時間45分前後で、6演目前後のネタが披露される。ひとネタは10分から20分前後で、暗転に始まり暗転に終わる。ネタが演じられている間は、照明や音響効果が施されることはほとんどない(演出上それらが使用される場合もあり、その際には非常に劇的な効果が見られる)。ネタとネタの間の着替えはBGMとともに照明がついた状態で行われ、観客は衣装替えやメイクの過程を見ながら次のネタへの推理を働かせることが出来る。公演の最後は「歌ネタ」と呼ばれる、楽器(ギター、チェロ等)を使用したネタが演じられるのが通例。ネタの発想は、主に水回りで思いつくことが多いという[7]。
基本的に、芝居はイスや携帯電話など最小限の小道具と衣装だけで行われる。ネタの内容は市井の人物が、誰かと掛け合っているシチュエーションが主で、一種落語的ではあるものの、落語と違って状況説明は一切行われない。演目名さえ劇中では明かされず、終演後に公演劇場のロビーの掲示板などで示されるのみである。つまり、新ネタが演じられると観客は当初、その状況をまったく把握できないわけだが、時間を追うごとにイッセーの演技によって状況が理解できるようになり、そのミステリアスかつ知的にスリリングな展開もイッセーの舞台の大きな魅力となっている。作品の全ては長年、演出家の森田雄三と打ち合わせながら作られてきた。
アドリブのように見える自然なセリフ回しも、公演に上げられた段階でほぼ完璧に作り上げられている。複数の公演における同じネタを比較しても(間合いなどに微妙な変化があったとしても、ビデオで確認してさえ)セリフはほとんど同一で変わらない。これは年月が隔たった公演における同一ネタの再演の場合でも同様で、イッセーの驚異的・天才的な記憶力がうかがわれる。
注釈
- ^ 僕の本名の「一成」は、陸軍大将の名前をそのまま借用したそうだ。僕のその「宇垣」という陸軍大将のことはほとんど知らない。昔は偉い人の名前をそのまま付けるということがちょくちょくあったようだ。僕のように名前のルーツに興味がなくなったのか、いただき名前の習慣は廃れたみたいだ。(「いただき名前」)
出典
- ^ 『「家」の履歴書』 光進社 2001年、114-120頁
- ^ The Greatest Person`s Vibration!! side-A イッセー尾形 - ドカント 2005年3月号(vol.030)
- ^ (2ページ目)高田純次 71歳 真面目に語る「30歳の決断、40歳の決断」 - 文春オンライン、2019年1月1日
- ^ ShowTime、「アトムおじさん」などイッセー尾形の一人芝居を配信 - BB Watch、2006年6月28日
- ^ イッセー尾形 薬アレルギーで緊急入院 2009年3月12日 スポニチ閲覧
- ^ “「君の名は。」ロサンゼルス映画批評家協会賞でアニメ賞受賞”. スポニチアネックス. (2016年12月5日) 2016年12月5日閲覧。
- ^ 「イッセー尾形さんに特別インタビュー」 原点は“ふつうの人を輝かせたい!” LWCブログ
- ^ “西川貴教が朝ドラ初出演へ“世界的な芸術家”役 『スカーレット』新たな出演者発表”. ORICON NEWS. oricon ME (2019年5月23日). 2019年5月23日閲覧。
- ^ “吉沢亮主演の大河ドラマ「青天を衝け」新キャスト発表、イッセー尾形ら13名”. 映画ナタリー (2021年8月11日). 2021年8月11日閲覧。
- ^ “2023年 大河ドラマ「どうする家康」新たな出演者発表!”. NHK (2022年4月15日). 2022年4月15日閲覧。
- ^ “松田龍平×松山ケンイチ『歪んだ波紋』制作開始!”. NHKドラマトピックス. NHK (2019年8月23日). 2019年8月24日閲覧。
- ^ ““スーパー公務員”唐沢寿明が限界集落を救う TBS新ドラマ『ナポレオンの村』に主演”. ORICON (2015年5月25日). 2015年5月25日閲覧。
- ^ “イッセー尾形がピアニスト役、サンド富澤も出演「カルテット」”. お笑いナタリー. (2016年12月27日) 2016年12月27日閲覧。
- ^ “広末涼子、相葉雅紀主演ドラマ『僕とシッポと神楽坂』ヒロイン役”. ORICON NEWS (oricon ME). (2018年7月17日) 2018年9月7日閲覧。
- ^ “濱田龍臣:バラエティー番組に投稿された実話 ドラマ化で主演 ギター&博多弁に挑戦”. まんたんウェブ (MANTAN). (2019年10月29日) 2020年2月4日閲覧。
- ^ “山本舞香・Sexy Zone松島聡ら「コタローは1人暮らし」続編に続投決定 白洲迅が新キャラで登場”. モデルプレス (ネットネイティブ). (2023年3月17日) 2023年3月17日閲覧。
- ^ "特集ドラマ「定年オヤジ改造計画」7月25日(月) よる9時放送!". ドラマ情報. 日本放送協会. 31 May 2022. 2022年5月31日閲覧。
- ^ “イッセー尾形、月9『PICU』初回ゲスト「吉沢さんの魅力全開のドラマになるでしょう」”. マイナビニュース (マイナビ). (2022年10月1日) 2022年10月1日閲覧。
- ^ “阿部サダヲが生田斗真の上司に、大河ドラマ誕生の舞台裏描くコメディの新キャスト解禁”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2022年10月11日) 2022年10月11日閲覧。
- ^ “夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」新たな出演者が決定しました!”. NHKドラマ. 日本放送協会 (2024年4月10日). 2024年4月12日閲覧。
- ^ “野中真理子公式ホームページ” 2023年3月30日閲覧。
- ^ “マザーランド作品紹介” 2023年3月30日閲覧。
- ^ “松田龍平主演「泣き虫しょったんの奇跡」に永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子ら結集!”. 映画.com. (2018年3月16日) 2018年3月16日閲覧。
- ^ “イッセー尾形、ロシア人俳優にビビる!? 阿部純子が饒舌トークに破顔”. 映画.com. (2019年2月20日) 2019年3月24日閲覧。
- ^ “漫画誕生 : 作品情報 - 映画.com”. 映画.com. 2019年11月21日閲覧。
- ^ "イッセー尾形がフランス人監督と触れたものづくりの原点 『ONODA』が映す今の日本". Real Sound. 2021年10月13日. 2023年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月15日閲覧。
- ^ “NEWS”. 映画『空海-KU-KAI-』公式サイト. 2017年12月11日閲覧。
- ^ “CHARACTER”. 映画『DEEMO THE MOVIE』オフィシャルサイト. 2021年12月30日閲覧。
- ^ a b “手塚治虫による「火の鳥」望郷編、エンディングが異なる2作品にアニメ化”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2023年7月14日) 2023年7月14日閲覧。
- ^ “ラジャー役は寺田心! スタジオポノック最新作「屋根裏のラジャー」キャスト一挙発表”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年8月21日) 2023年8月21日閲覧。
- ^ “BS1スペシャル「にっぽんディープ紀行 “昭和”を探して〜キャバレー、遊郭 その周辺〜」”. NHK (2021年2月14日). 2021年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月9日閲覧。
- ^ “<BSフジサタデースペシャル>『長谷川町子没後30年スペシャル「彩り」と「ことば」―時を超えて―』”. BSフジ 2022年11月27日閲覧。
- ^ 長谷川町子没後30年スペシャル「彩りとことば」-時を超えて- テレビマンユニオン
- ^ 『東京ガス 暮らしとデザインの40年 1955→1994』1996年2月1日発行、株式会社アーバン。コミュニケーションズ。128頁~131頁
- 1 イッセー尾形とは
- 2 イッセー尾形の概要
- 3 出演作品
- 4 音楽
- 5 関連項目
固有名詞の分類
- イッセー尾形のページへのリンク