アカシア 主な種

アカシア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 21:10 UTC 版)

主な種

日本では関東以北では栽培が困難であるものが多い。比較的温暖な所で栽培されるものに、下記の種類がある。

偶数羽状複葉

フサアカシア Acacia dealbata
フランスのミモザ祭に使われる。
ギンヨウアカシア A. baileyana
葉が小ぶりで、生花に使われる。

以上、ともに花期 3 - 4月、花の色は輝く黄色。特に早い春に、黄色の1cm未満の球状の花がたわわに咲く。

モリシマアカシア A. mearnsii
花期 5 - 6月、花の色は地味なクリーム色、タンニンを採取する有用植物。
アラビアゴムノキ A. senegal
アラビアガムの原料

単葉

サンカクバアカシア A. cultriformis 
両先端丸く葉脈1本、三角状の葉
プラビシマ・アカシア A. pravissima
片側丸く片側鋭尖頭で葉脈2本

偶数羽状複葉・単葉

メラノキシロンアカシア A. melanoxylon

利用

皮のなめし

アカシア属の樹皮から得られるタンニンは、動物の皮のなめし加工に使用される。動物の皮は、そのまま放置すると固くなったり腐敗したりする。一方、なめし加工を施すことによりそれらを防ぎ、皮を柔らかくして耐久性や可塑性を加えることで、皮革として利用できるようになる。

アラビアガムの食品への利用

アラビアガムはアラビアゴムノキまたはその他同属植物から取れる樹脂で、多糖類 (アラビノガラクタン) を主成分とする水溶性の食物繊維である。水溶液は低粘性で、強い乳化安定性および保護コロイド性をもつことから、食品添加物 (増粘安定剤) として菓子アイスクリームなどの食品に、また安定剤として医薬品化粧品日用品にも広く使用が認められている [15]。かつてアカシア属に分類されていたヴァケリア・ニロティカは和名をアラビアゴムモドキといい、同様にアラビアゴムが取れる。

アカシア樹皮抽出物の生理活性

アカシア属の中でも、モリシマアカシアの樹皮抽出物は、豊富にポリフェノールを含み、様々な生理活性を有することが報告されて、健康食品としても使用されている。また、このポリフェノールは、分子量300から3000の化合物から構成されているプロアントシアニジンである [16]。2017年には、アカシア樹皮由来プロアントシアニジンを機能性関与成分とした食後血糖値の上昇を穏やかにする機能がある機能性表示食品として届出がなされている[17]

関連項目

  • バギーラ・キプリンギ - アカシアの芽を主食とするクモ。
  • 契約の箱 - アカシアの木材でできている。古代イスラエル人にシッタと呼ばれる聖木であり、アカシアの樹木は硬く、腐ったり虫に食われたりしないため、聖書においては「不朽不滅、永遠」を象徴する。
  • ワトルの日 - オーストラリアの春祭りで、ワトルと呼ばれるアカシアを身につける。
  • ヒラム - ヒラムの遺体の目印にアカシアの葉が使われた。
  • イナンナイシュタル - アカシアはシュメール・バビロニアではイナンナ・イシュタルの神木とされ、生長が早いこともあって、生命力の象徴であった。
  • ネイト - 古代エジプトでは母神ネイトにアカシアの枝が捧げられ、ネイト自身もアカシアの樹を棲み処にしていた。
  • アーカーシャ

  1. ^ クロンキスト体系ではネムノキ科とする。
  2. ^ Kewscience. Plants of the World online (/). Available online: 「http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77089275-1.」
  3. ^ Miller, P. The Gardeners Dictionary, 4th ed.London, UK, 1754.
  4. ^ Ross, J.H. A survey of some of the pre-Linnean history of the genus Acacia. Bothalia 1980, 13, 95–110.
  5. ^ Orchard, A.E.; Maslin, B.R. Proposal to conserve the name Acacia (Leguminosae: Mimosoideae) with a newtype. Taxan 2003, 52, 362–363.
  6. ^ Wattles-genus Acacia. Available online: http://www.anbg.gov.au/Acacia/.
  7. ^ Pedley, L. Derivation and dispersal of Acacia (Leguminosae), with particular reference to Australia, and the recognition of Senegalia and Racosperma. Bot. J. Linn. Soc. 1986, 92, 219–254.
  8. ^ Orchard, A.E.; Maslin, B.R. Proposal to conserve the name Acacia (Leguminosae: Mimosoideae) with a new type. Taxan 2003, 52, 362–363.
  9. ^ Maslin, B.R.; Orchard, A.E.; West, J.G. Nomenclatural and classification history of Acacia (Leguminosae: Momosaoideae), and the implications of generic subdivision. Available online: [1]
  10. ^ Thiel, K.R.; Funk, V.A.; Iwatsuki, K.; Morat, P.; Peng, C.-I.; Raven, P.H.; Sarukhán, J.; Seberg, O. The controversy over the retypification of Acacia Mill. with an Australian type: A pragmatic view. Taxon 2011, 60, 194–198.
  11. ^ Kyalangalilwa, B.; Boatwright, J.S.; Daru, B.H.; Maurin, O.; Van der Bank, M. Phylogenetic position and revised classification of Acacia s.l. (Fabaceae: Mimosoideae) in Africa, including new combinations inVachellia and Senegalia. Bot. J. Linn. Soc. 2013. M
  12. ^ Australia or Africa? The botanical controversy over who can call their plants 'Acacia', ABC News, Sun 20 Jun 2021
  13. ^ あかしあ通りの街路樹の見直しについて”. 小平市 (2017年12月12日). 2023年8月23日閲覧。
  14. ^ 北1条通りのアカシア並木”. 札幌市文化財データベース. 2023年8月23日閲覧。
  15. ^ [2]
  16. ^ Roux, D.G. Study of the affinity of black wattle extract constituents. Part I. Affinity of polyphenols for swollen collagen and cellulose in water. J. Soc. Leather Trades’ Chem. 39, 80–91, 1955.
  17. ^ Ogawa, S.; Matsuo, Y.; Tanaka, T.; Yazaki, Y. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. Ⅲ. Application in Health Foods. molecules 23, 1860, 2018. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. III. Application in Health Foods


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