がんばれ!キッカーズ がんばれ!キッカーズの概要

がんばれ!キッカーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/11 06:50 UTC 版)

がんばれ!キッカーズ

ジャンル サッカー漫画
漫画
作者 ながいのりあき
出版社 小学館
掲載誌 月刊コロコロコミック
別冊コロコロコミック
小学五年生
小学六年生
発表号 1984年11月号 - 1989年3月号[1]
(月刊コロコロコミックでの連載期間)
巻数 全20巻
アニメ
原作 ながいのりあき
監督 鴫野彰
シリーズ構成 富田祐弘
キャラクターデザイン 大坂竹志
音楽 入江純
アニメーション制作 スタジオぴえろ
製作 スタジオぴえろ
放送局 日本テレビ
放送期間 1986年10月15日 - 1987年3月25日
話数 全23話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

概要

1984年から1989年まで『月刊コロコロコミック』誌を中心に連載された、小学生による「弱小サッカー部」をメインに据え、普通の少年たちが努力してチーム全体が成長していく姿を描いたサッカー漫画である[1]

本作は、コロコロコミック編集部から当時人気を博していた「『キャプテン翼』のようなサッカーものをやろう」という企画が持ち上がったことにより誕生したもので[2]すがやみつるの下でアシスタントを務めていた、ながいが描くことになった[2]。『別冊コロコロコミック』1982年1月号にて読み切りのサッカー漫画(「サッカーチャンプ源平」)を発表していたものの、ながいはサッカーの知識が無く、当初はこの企画に困惑していた[2]。悩んだ末に、高校時代に愛読していたちばあきおの野球漫画『キャプテン』を手本に、「(等身大の登場人物たちが)たとえ敗れても何らかの経験を得る、超人的なプレーの必要ないサッカー漫画」として描くことになった[2]

1986年には第32回小学館漫画賞児童部門を受賞[1][3]全日本少年サッカー大会の大会ポスターに起用されるなど、当時のサッカー漫画としては『キャプテン翼』に次ぐ人気作品となった[1]。また、この大会が10周年を迎えたことを記念し[4]、サッカー少年にアピールすることを目的として[4]、同年10月に日本テレビ系でテレビアニメ化された[5]。放送開始当初の1986年秋には、先番組『ドリモグだァ!!』と共に本作が掲載されている番組弘報の下敷きが頒布され、「4 日本テレビ」の版権表示も明記されている[6]

2002 FIFAワールドカップ開催記念として愛蔵版として再発刊され、2006 FIFAワールドカップの時には開催記念として「株式会社G.B.」より、南陽戦が完全収録された「熱闘編」と西山戦が完全収録された「涙の友情編」が「G.B.ベストコミックス」として出版された[5]

ながいは本作終了後、直接の関係はないものの、1992年報知新聞紙上で『めざせ!!ワールドカップキッカーズ2002』(原作・大住良之)を発表している。単行本は1993年に「小学館Jリーグブックス」にて発売された。

なお、本作の主人公である大地翔は、フランスやイタリアでは「ルディ」(Rudy)という名前であり、フランス版では『But pour Rudy』(ルディのためのゴール)、イタリア版では『Palla al centro per Rudy』(ルディのためにボールを中心に)という作品名である。

あらすじ

名門・清水が丘FCの補欠だった大地翔は北原小学校へ転校し北原キッカーズに加入するが、キッカーズは公式戦未勝利、練習試合も連戦連敗中の弱小チームであり、キャプテンの本郷勝や石井健太を初めとした部員たちはサッカーへの情熱を失っていた。

翔の熱意もあってキッカーズは県下の強豪・南陽SCとの練習試合を行う運びとなるが、ゴールキーパーの上杉光や南陽三羽ガラスを擁する南陽の前に前半戦だけで12点もの失点を重ねてしまう。後半戦では互角の勝負の末に上杉から執念の1点をもぎ取るものの、試合は結局1-12の大差でキッカーズの敗北。この対決を通じて取り戻した情熱と悔し涙こそがキッカーズの本当の意味でのスタートとなった。

重い事情を抱えた水島亮を擁する西山SSSとの退場者を出しながらの練習試合や、翔の古巣である清水が丘FCといった強豪チームとの対決を通じて部員たちは成長していく。

やがて全日本少年サッカー大会地区予選が始まると、キッカーズは1回戦で前回大会ベスト4の白鳳イレブンと対戦。鉄壁の守りを誇る戦術に苦戦するが、北原小の各運動部との特訓の成果を発揮して3-2と逆転し、公式戦初勝利を収める。続く2回戦、怪力漁師チームの由良崎SCをPK戦の末に破ったキッカーズは勢いに乗り、ついに決勝進出を果たした。

優勝を争う相手は初戦で西山SSSを下した南陽SC。試合は一進一退の攻防を続けるが、後半に入ると南陽が地力を見せ1-3とリード。キッカーズは本郷を中心とした守備で南陽の攻勢をしのぐと、試合終盤に反撃に転じ1点差に詰め寄った。しかし翔がアディショナルタイムにあげた得点は認められず、試合は2-3のスコアで終了。キッカーズは敗れ全国大会出場を逃した。その後、キッカーズとの試合で肩を負傷した上杉はストライカーに転向することを決意し、本郷や西山SSSの水島兄に同じ中学でプレーすることを提案する。

本郷が卒業し、新キャプテン健太の下で活動を始めた新生キッカーズには、キーパーの一之瀬金時をはじめとする新メンバーが加入。個性溢れる様々なチームとの練習試合を経て、2年目の少年サッカー大会へと挑んでいく。1回戦は優勝候補筆頭の帝和FCとの対戦。小学生離れした個人能力を有する天童を抑えきれずに苦戦するが、かろうじてこれに勝利すると勢いに乗り、2大会連続での決勝進出を果たした。

対戦相手は準決勝で南陽SCを大差で下した西山SSS。そこには水島雄の弟、亮が病気療養から復帰し、さらに翔の清水が丘時代の先輩である真行寺が加わっていた。試合は亮の多彩なプレーと真行寺の堅守を軸に西山が優勢を保ち、前半終了間際、ついにキッカーズはゴールを割られてしまう。しかし後半、キッカーズは執念で同点に追いつくと、さらに翔のトリックプレーからのシュートで勝ち越し点を挙げて試合終了。念願の大会優勝、全国大会出場を決定し、人々からの声援と期待に包まれたキッカーズの姿と共に物語は幕を閉じた。


  1. ^ a b c d 小学館漫画賞事務局 『現代漫画博物館』小学館、2006年、264頁。ISBN 4-09-179003-8 
  2. ^ a b c d ながいのりあき先生インタビュー”. 日本漫画学院Web. 2011年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月13日閲覧。
  3. ^ 小学館漫画賞:歴代受賞者”. 小学館. 2017年5月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 「秋の新番組最前線レポート PART・1 チルドの時代 4 がんばれ!キッカーズ」 『アニメージュ』1986年11月号、28-29頁。 
  5. ^ a b c d 『がんばれ!キッカーズ 熱闘編』”. 株式会社G.B. 2014年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月21日閲覧。
  6. ^ 読売新聞を購読している家庭に配られていた(?)懐かしのアニメ下敷き!!(2020年8月19日)”. ミドルエッジ. 2021年1月24日閲覧。
  7. ^ 単行本1巻、13-48頁
  8. ^ 単行本1巻、70-71頁
  9. ^ 単行本3巻、57-58頁
  10. ^ a b 単行本3巻、173-176頁
  11. ^ 単行本10巻、172頁
  12. ^ 単行本1巻、60頁
  13. ^ a b 単行本6巻、10-13頁
  14. ^ 単行本14巻、88頁
  15. ^ 単行本14巻、116-117頁
  16. ^ 単行本14巻、124-128頁
  17. ^ 単行本16巻、10-13頁
  18. ^ 単行本14巻、4頁
  19. ^ 単行本1巻、75-71頁
  20. ^ 単行本2巻、50-51頁
  21. ^ 単行本6巻、52-53頁
  22. ^ 単行本2巻、30頁
  23. ^ 単行本16巻、100-101頁
  24. ^ 単行本13巻、13-15頁
  25. ^ 単行本1巻、150頁
  26. ^ 単行本12巻、115-116頁
  27. ^ 単行本20巻、54-55頁
  28. ^ 単行本3巻、123頁
  29. ^ a b c 単行本3巻、106-111頁
  30. ^ a b c 『がんばれ!キッカーズ 涙の友情編』”. 株式会社G.B.. 2013年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月21日閲覧。
  31. ^ 単行本20巻、29頁
  32. ^ 単行本20巻、83-84頁
  33. ^ 単行本20巻、88頁
  34. ^ 単行本20巻、177頁
  35. ^ 単行本20巻、121-123頁
  36. ^ 単行本20巻、30-33頁
  37. ^ 単行本1巻、92-93頁
  38. ^ 単行本2巻、74-75頁
  39. ^ 単行本2巻、107-108頁
  40. ^ 単行本1巻、54-55頁
  41. ^ 単行本3巻、32頁
  42. ^ 単行本5巻、11-16頁
  43. ^ 単行本7巻、10-15頁
  44. ^ 単行本8巻、4頁
  45. ^ 単行本10巻
  46. ^ 単行本9巻、4-11頁
  47. ^ 単行本10巻、4頁
  48. ^ 単行本11巻、4頁
  49. ^ 単行本12巻、10-14頁
  50. ^ 単行本16巻、120頁
  51. ^ 単行本16巻、152-154頁
  52. ^ 単行本17巻、8-14頁
  53. ^ a b 単行本1巻、144-145頁
  54. ^ 単行本12巻、83-84頁
  55. ^ 単行本3巻、54頁
  56. ^ 単行本1巻、26-27頁
  57. ^ 単行本12巻、4頁
  58. ^ 単行本1巻、15頁
  59. ^ 単行本20巻、4頁
  60. ^ 単行本19巻、4頁
  61. ^ 「第35回全日本少年サッカー大会」開催概要”. 日本サッカー協会 (2011年5月10日). 2011年8月25日閲覧。
  62. ^ a b c 渋谷直角 編 『定本コロコロ爆伝!! 1977-2009 『コロコロコミック』全史』飛鳥新社、2009年、195-197頁。ISBN 978-4-87031-914-1 
  63. ^ a b 「オレたちの『キャプ翼』魂 安田理大 播戸竜二」 『Sportiva』 2009年6月号、集英社、46-49頁。 
  64. ^ a b がんばれ!キッカーズ - アニメ詳細データ”. テレビドラマデータベース. 2011年8月13日閲覧。
  65. ^ それまでの原作では、家庭環境などキッカーズのメンバーの個人的事情に関しては殆ど描写が無かったため、アニメ化に合わせて改めて設定を追加し、整理したとも言える。
  66. ^ a b がんばれ! キッカーズ(エピソード)”. ぴえろ. 2011年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月16日閲覧。
  67. ^ a b c d e アニメージュ編集部 『TVアニメ25年史』徳間書店、1988年、168頁。 
  68. ^ 「TVアニメーションワールド 3/11→4/10」 『アニメージュ』 1987年4月号、107頁。 
  69. ^ 「音楽かわら版 声優に初挑戦」 『読売新聞』 1987年1月29日 夕刊 2版 9面。 
  70. ^ がんばれ!!キッカーズスペシャル ひとりぼっちのエース・ストライカー - アニメ詳細データ”. テレビドラマデータベース. 2011年8月13日閲覧。
  71. ^ 「テレビ局ネットーワーク」『アニメディア』1987年3月号、学研、79 - 81頁。 
  72. ^ a b 本番組を同時ネットとするため、クロスネット関係にあるフジテレビの『めぞん一刻』を同局からの裏送りで19:00からの先行ネットとした(スポンサードネット)。このため同枠の『ドラゴンボール』や日本テレビ系アニメ・バラエティは遅れネットとなった。
  73. ^ a b c 「全国縦断放映リスト」『アニメージュ』1987年10月号、徳間書店、110頁。 


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