先手
先手
先手(ひねり飛車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 14:38 UTC 版)
角田流 角田三男は図1-1aのように角道を開けずに▲9七角(端角)に構えてから▲8六歩△同歩▲8六飛とぶつける指し方であった。この戦型は後の1982年6月 棋聖戦予選決勝、森けい二vs.真部一男戦で先手番の森が採用して勝利し、挑戦権獲得と以降の棋聖位奪取につなげる。 先手角田三男対後手山中和正戦 昭和33年度C級1組順位戦△ 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 王 桂 香 一 飛 銀 角 二 歩 歩 銀 歩 歩 金 歩 三 歩 歩 歩 歩 四 歩 五 飛 歩 六 角 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 銀 銀 八 香 桂 玉 金 桂 香 九 ▲ 持ち駒 歩2図は△8四歩まで図1-1a 角田流その1 先手森けい二対後手真部一男戦 昭和57年度棋聖戦予選△ 持ち駒 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 王 桂 香 一 飛 銀 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 金 歩 三 銀 歩 歩 四 五 歩 飛 銀 六 角 歩 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 銀 八 香 桂 玉 金 桂 香 九 ▲ 持ち駒 歩図は▲7六銀まで図1-1b 角田流その2 丸田流 創始者は丸田祐三。後手が飛車先を交換してきたとき、8筋に歩を打たずに▲9七角(丸田新手)と上がり、2歩を手持ちにして主導権を握る指し方である。△8九飛成には▲8八角でふたをして▲8六飛と回る構想。 かつてはひねり飛車における代表的な指し方だったが、相掛かりの新旧対抗型が指されなくなったこともあり、従来6二に上がっていた右銀を7二と上がり、9筋を突き合う、さらに飛車先交換をして来ないなど、後手の対策が進んだため、現在では上級者の対戦ではこの局面を避ける指し方になったが、定跡書などでは現在も掲載されている。 △山田 持ち駒 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 王 銀 桂 香 一 飛 銀 角 二 歩 歩 歩 歩 金 歩 三 歩 歩 歩 四 歩 五 歩 飛 六 角 桂 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 銀 八 香 銀 玉 金 桂 香 九 ▲丸田 持ち駒 歩2図1-2 丸田流 △三枚堂 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 王 桂 香 一 飛 銀 金 角 二 歩 銀 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 歩 四 歩 五 歩 飛 六 角 桂 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 玉 銀 八 香 銀 金 桂 香 九 ▲斎藤 持ち駒 なし図は▲9七角まで 後手が△6二銀ではなく△7二銀型で▲9六歩-△9四歩型であると、丸田流の▲9七角では、△9五歩▲同歩△8九飛成▲8六飛△9九龍で、△7二銀型も効いてくる。したがって先手は角を端に行く前に▲8五歩としておくと、以下△6三銀▲7六飛△3四歩▲6八銀△3一玉▲3九玉で一局となる。 後手角道が止まっている陣形ならば▲8五歩に替えて▲6六飛という手もあり、これは6四の歩取りを見せて、△6三銀と移動させてから▲9七角と上がる構想である。以下△9五歩には▲同歩△8九飛成▲8六歩△9九龍に▲8一飛成△7二銀▲9一龍で△9七龍には▲6三香がある。類似の実践として平成30年4月の新人王戦、▲斎藤明日斗vs△三枚堂達也戦がある。先手が図のように構え、以下△3四歩▲8六飛△8四歩▲6八銀△3一玉▲3九玉△7二金▲7六飛△5四銀▲7四歩△同歩▲6四角と攻めてひねり飛車側が快勝している。▲6六飛には△3四歩▲6四飛△8七歩▲9七角△9五歩▲7四歩の展開も一局である。 勝浦流 創始者は勝浦修。勝浦の別名から「カミソリ流ひねり飛車」とも呼ばれた。通常の石田流では左銀を6七に上がって攻撃に使うことが多く、ひねり飛車においてもそれが当然視されていたが、銀を5七に上がり場合によっては囲いの一つとして利用しようという指し方が考案され、一時流行した。ひねり飛車の玉の薄さを補うための工夫である。特にたこ金に有効とされ、ひねり飛車持久戦型として定跡となっている。ただし攻撃力が若干落ちるため、後手にも右金を自由に使われてしまうことがわかり、ひねり飛車を衰退から回復させるまでは到らなかった。 7八銀型(耀龍ひねり飛車) 創始者は青野照市で、青野流とも呼ばれる。通常の相掛かりの序盤では角頭を守るために7八には金を上がるが、初めからひねり飛車を狙っている場合は銀を7八に上がることもある。左金を円滑に5八に持っていける点が長所である。 近年では大橋貴洸が「耀龍(ようりゅう)ひねり飛車」と命名して工夫した定跡を研究している。 △中原 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 桂 香 一 飛 銀 王 角 二 歩 金 歩 銀 歩 金 歩 三 歩 歩 歩 歩 四 歩 歩 歩 五 歩 歩 六 歩 飛 銀 歩 歩 歩 七 角 金 銀 玉 八 香 桂 金 桂 香 九 ▲升田 持ち駒 なし図2-1 升田式 その1 △中原 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 桂 香 一 飛 銀 王 角 二 歩 金 銀 歩 金 歩 三 歩 歩 歩 歩 歩 四 歩 桂 五 銀 歩 六 歩 飛 歩 歩 歩 歩 七 角 金 銀 玉 八 香 金 桂 香 九 ▲升田 持ち駒 歩図2-2 升田式 その2 升田式 升田幸三が升田式石田流と並んで多く採用し、加藤一二三・中原誠を破った独特な指し方で、玉を坊主美濃(2七歩のない片美濃囲い)に囲い、飛車を7七にかまえるのが特色。 図2-1は1970年7月に行われたA級順位戦で、相手はA級1年生の中原誠。基本は図2-1のように後手棒金に対して先手升田は7六の飛車を▲7七飛と引いて対応する。このとき「升田流や、人には教えられん」と呟いたという。もし後手がここで△4五歩としても▲7六銀△6六角▲6七飛△8八角成▲同金で、却って先手がさばける形となる。実践では図2-2のように桂馬を▲9七桂~▲8五桂と活用し局面をリードする展開となった。その後後手陣が△3三角-△5四金型となって先手は▲2四歩△同歩▲2二歩△同玉▲4一角から▲6三角成などの攻防が続いた。 △ 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 銀 桂 香 一 飛 金 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 四 歩 歩 五 歩 六 歩 歩 金 歩 歩 歩 歩 歩 七 角 飛 八 香 桂 銀 玉 金 銀 桂 香 九 ▲ 持ち駒 歩図3-1 7七金型(きんとうん戦法)その1 △ 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 桂 香 一 飛 金 銀 二 歩 歩 歩 歩 歩 角 歩 歩 三 歩 四 歩 歩 歩 五 飛 六 歩 歩 金 歩 歩 歩 歩 歩 七 角 玉 銀 八 香 桂 銀 金 桂 香 九 ▲ 持ち駒 歩図3-2 7七金型(きんとうん戦法)その2 △ 持ち駒 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 桂 香 一 飛 角 金 二 歩 歩 歩 歩 歩 銀 歩 歩 三 歩 四 歩 歩 五 飛 六 歩 金 歩 歩 歩 歩 歩 七 角 銀 八 香 桂 銀 金 玉 桂 香 九 ▲ 持ち駒 歩図3-3 7七金型(きんとうん戦法)その3 7七金型(きんとうん戦法) ▲8六飛型の飛車交換強要策を実行するために金を上がる。飛車が金の上にある形になるので「きんとうん」で創始者は島本亮であるが、『将棋戦法大事典』(1985年)によると、この構えは先手が縦歩取り戦模様で飛車先交換した従来のスタイルでも以前からある。また後手が角換わりなどを拒否する3三金戦法なども以前からあった。 組み方は図3-1のとおり飛車先を交換せずに飛車をひねり、金で角交換と飛車先交換を防いで、図3-2を経て図3-3のように構える。以下後手が△8六飛▲同金△7一金▲8七金に△6九飛には▲8六飛とし、以下△8三歩▲7七金△5四歩▲7六飛で次にうちこまれた飛車がめし取ることができる。金の上の乗っている飛車が、フワフワと浮遊する筋斗雲に乗った孫悟空をイメージしている。 島本が著書『戦慄の7七金!奇襲・きんとうん戦法』(マイナビ出版)で解説しており、本人も公式戦で数一局採用して、勝利している。プロでも立派に通用している。 △ 持ち駒 角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 銀 桂 香 一 飛 金 二 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 四 歩 歩 五 歩 六 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 飛 八 香 銀 玉 金 銀 桂 香 九 ▲ 持ち駒 角図4-1 角交換型 その1 △ 持ち駒 角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 桂 香 一 飛 玉 金 二 歩 歩 銀 歩 歩 銀 歩 歩 三 歩 歩 四 歩 歩 五 角 歩 飛 六 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 七 金 銀 八 香 銀 金 玉 桂 香 九 ▲ 持ち駒 角図4-2 角交換型 その1 △ 持ち駒 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 王 金 銀 香 一 銀 金 二 歩 歩 歩 歩 桂 歩 歩 三 歩 飛 四 歩 歩 角 五 歩 角 歩 歩 六 歩 歩 銀 歩 歩 銀 歩 七 玉 金 金 飛 八 香 桂 桂 香 九 ▲ 持ち駒 なし図4-3 角交換型 その3 角交換型 図のように角換わり模様から△7七角成を▲同桂と取り、飛車を浮いて構える。後手の右銀の位置構えが図のように浮いていると升田式石田流のように▲9六角とする。以下△9四角に▲8五桂△7二金▲8六飛△8三角であると▲7三桂成△同桂に▲6三角成△同金▲7二銀△7一桂▲同銀不成△8一飛▲9五桂△7一飛▲8三飛成がある。 また、後手番の場合は後手一手損角換わり模様から図1-3のような展開が一例。 その他、塚田泰明・豊川孝弘らが創始したと思われる超急戦型(玉を囲わない)もある。 △持ち駒 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 銀 桂 香 一 飛 金 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 歩 三 飛 四 歩 歩 五 歩 六 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 七 角 金 八 香 桂 銀 玉 金 銀 桂 香 九 ▲持ち駒 歩図5-1 図は△3五歩まで △持ち駒 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 銀 金 王 銀 桂 香 一 金 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 歩 四 飛 五 歩 六 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 七 角 金 銀 飛 八 香 桂 銀 玉 金 桂 香 九 ▲持ち駒 歩図5-2 図は△3四歩まで
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(片)先手
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先手
「先手」の例文・使い方・用例・文例
- 相手の次の手を読んで先手を打つ
- 先制の一撃は半分勝ったようなものだ;先手は万手
- 彼の先手をとった
- 先手を打つことが有利になる
- 政府は政策に対して批判が起きないよう先手を打つ必要がある。
- 彼が何か言いかけたが先手を打ってやった。
- 私は彼の質問の先手を打った。
- 《諺》 先んずれば人を制す; 先手は万手.
- 先手を打つ.
- 警察の先手を打って, 彼は外国へ高飛びしてしまった.
- この将棋はどちらが先手(番)だったのですか.
- 先手を打つ
- 彼はいつも先手を打つ
- 彼に先手を打たれた
- 碁において,交互に先手になること
- 先手組という江戸幕府の警備組織
- 囲碁で,一方が常に先手であること
- ゲーム理論において,先手がうまく手を選ぶことで勝てるという状況にあること
- 囲碁の先手
- 将棋において,駒を振って先手を決めること
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