CHARMM力場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/09 15:40 UTC 版)
元々、CHARMM力場は生体分子の研究にフォーカスして開発された。ここでいう生体分子とは、ペプチド、タンパク質、補欠分子族、小分子配位子、核酸、脂質、および炭水化物などの溶液、結晶、そして膜状態にあるものをいう。 タンパク質のためのCHARMM力場には以下のものがある: 融合原子 (united-atom) CHARMM19、全原子 (all-atom) CHARMM22、その2面角ポテンシャル補正版CHARMM22/CMAP。CHARMM22タンパク質力場では、原子の部分電荷はモデル化合物と水との間の相互作用の量子化学的計算から導かれている。さらに、CHARMM22は明示的なTIP3P水模型(陽溶媒)についてパラメータ化されている。にもかかわらず、CHARMM22力場は陰溶媒を用いて頻繁に使用されている。2006年、CHARMM22/CMAPの特別版が陰溶媒GBSWを用いた矛盾のない使用のために再パラメータ化された。 DNA、RNA、脂質については、CHARMM27が使用される。一部の力場は組み合わせることができる。例えばタンパク質-DNA結合のシミュレーションのためにはCHARMM22とCHARMM27を組み合わせて使用する。加えて、NAD+、糖、フッ素化化合物等についてのパラメータもダウンロードできる。これらの力場のバージョン数はそれらが最初に現われたCHARMMのバージョンを示しているが、当然CHARMM実行プログラムの後続のバージョンと共に使用することができる。同様に、CHARMM力場群はそれらをサポートするその他の分子動力学プログラム内で使用することができる。 2009年、薬らしい(ドラッグライクな)分子のための一般力場(CGenFF)が発表された。CGenFFは、「多数の複素環骨格を含む生体分子ならびにドラッグライクな分子中の存在する幅広い化学基を扱う」。CGenFFは化学基のいかなる組合せも扱うことができるように設計されている。これは不可避的に特定の種類の分子を表現する際の精度の低下を伴う。開発者のMacKerellのウェブサイトにおいて、使用者が特化した力場が既に存在する分子(タンパク質、核酸等)についてCGenffパラメータを使わないよう繰り返し警告されている。 CHARMMは2つの手法を用いた分極可能力場も含む。1つは揺らぎ電荷(fluctuating charge、FQ)モデルに基づいている。このモデルは電荷平衡(Charge Equilibration、CHEQ)とも呼ばれる。もう1つはドルーデ殻(分散振動)モデルに基づいている。 これらの力場全てについてのパラメータは無償でMacKerellのウェブサイトからダウンロードできる。
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