陳寿への非難とは? わかりやすく解説

陳寿への非難

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 13:48 UTC 版)

陳寿」の記事における「陳寿への非難」の解説

『三国志』については、優れた歴史書であるとの評価が高い。夏侯湛『三国志』見て、自らが執筆中だった『魏書』を破り捨ててしまったという話が残っている。 『晋書』には陳寿存命中に陳寿個人的な恨み、筆を曲げたといううわさが流れたとされている。例えば、かつての魏の丁儀一族の子孫達に当人伝記について「貴方のお父上のことを、今、私が書いている歴史書高く評価しようと思うが、ついては米千石頂きたい」と原稿料要求し、それが断られるその人物の伝記を書かなかったという話がある。また、かつて諸葛亮自分の父を処罰し自身が子の諸葛瞻疎まれたことを恨んで諸葛亮伝記で「臨機応変軍略は、彼の得手ではなかったからであろうか」とそれを低く評価し諸葛瞻を「書画巧みで、名声だけが実質上であった」などと書いたのだといった話も伝わっている。 諸葛瞻について肯定的な評価をしていないのは事実である。『晋書』の他にも、常璩『華陽国志』に、陳寿諸葛瞻から恥辱受けた恨み故に『三国志』諸葛瞻悪く書いた語った蜀漢長老の話を記しており、陳寿対す同様の悪評は、340年完成した王隠『晋書』など類書記録されており早くから広まっていた(正史『晋書』648年刊)。だが諸葛瞻については、東晋干宝も『晋紀』において、国家守り父の志を継いで忠孝尽くそうとした点は評価しながらも、能力についてはさほど評価するほどではないとしている。 『晋書』における陳寿私怨による曲筆行ったという記述は、清代には王鳴盛趙翼による反論が行われたが、これらも事実誤認多く緻密な考証とは言いがたい。陳寿曲筆指摘するもので最も批判受けたのが高貴郷公殺害の経緯である。西晋仕えたという立場上、その禅譲という正統性に対して重大な瑕疵与えうるこの件に関して陳寿隠蔽せざるを得ず詳細記述していない。唐代考証学劉知幾陳寿が蜀では史書編纂する役人をほとんど置いていなかったとしているが、『史通曲筆篇で「蜀志後主伝に『蜀には史官がいないから災祥も記録されなかった』とあるのに、蜀志には災祥が散見される史官設けられなかったのであれば、災祥は何によって記録されたのか?陳寿が蜀の史官存在否定したことは私怨よるものである」と指摘した上で「記言の奸賊、戴筆の凶人」と罵倒し、「豺虎の餌として投げ入れて構わない」と激しく糾弾したまた、陳寿はあくまで魏を正統王朝として扱ったが、蜀に対して劉備を「先主」、劉禅を「後主」と呼び即位の際の詔をすべて掲載するなど特別扱いしており、呉の孫権が名を呼び捨てとしているのとは明らかな格差がある。朱彝尊はこれを蜀を正統王朝としたい陳寿意図秘められていたのではないかとみているが、魏を正統王朝としていた西晋期において陳寿記述問題視されていた形跡はない。しかし東晋以降習鑿歯らによる蜀漢正統論が高まるにつれ、陳寿蜀漢正統としていないとして批判加えられるようになった。更に時代が下ると、諸葛亮神格化蜀漢正統論者朱熹朱子学が、朝廷における儒教の公式解釈とされた事も相まって陳寿は一層非難浴びることになった一方で、蜀を正統しながらも晋の公式見解に沿わざるを得なかった悲劇の人という見解もみられ、その見地から不遇な人生送ったという評価多く行われてきた。 一方で研究者からは陳寿当時政権である西晋自体におもねり、その正当性高め記述行っているという指摘もある。また恩人である杜預祖父杜畿その業績比べてはるかに称賛加えられていると指摘されている。

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