はくちょう
名称:第4号科学衛星「はくちょう」(CORSA-b)
小分類:科学衛星
開発機関・会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ年月日:1979年2月21日
運用停止年月日:1985年4月15日
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:M-3C
打ち上げ場所:鹿児島宇宙空間観測所(KSC)
国際標識番号:1979014A
CORSA-bは、1976年2月4日の打ち上げで軌道投入に失敗したCORSAの代替衛星で、3年後の1979年2月21日には姿勢基準装置を改良したM-3Cロケットによって打ち上げに成功、第4号科学衛星「はくちょう」と命名されました。はくちょうは「すだれ型X線コリメーター」と呼ばれる観測機器を搭載した初の観測衛星で、X線星、X線バースト、硬軟X線星雲などの観測を行なっています。
すだれコリメーターは東大宇宙航空研究所のX線観測責任者で、後に宇宙科学研究所長となる小田稔教授の発明で、すだれ状の格子を重ねることによって星の光の入射角をより正確に検知できるようになりました。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
はくちょうの基本構造はCORSAと同様の8角柱形で、直径75.5cm、高さ65.5cm、重量96kg。ゆっくり回転しながら軌道を周回、X線コリメーターによる走査を行ないます。
2.どんな目的に使用されるの?
はくちょうは広視野X線コリメーターにより、X線星、X線バースト、硬軟X線星雲などを観測、中性子星やブラックホールの謎に挑みました。中でも、強いX線を放射しているはくちょう座のX-1と呼ばれるブラックホールと推定される天体が主要ターゲットで、「はくちょう」という名称はここに由来しています。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
強いX線を放射する天体としては、連星のガスを高速で吸い込む際にX線バーストと呼ばれる爆発的なX線放射を行なう中性子星が知られています。はくちょうは打ち上げから47日目の4月9日に、はくちょう座の大バーストを発見、その後もいくつかのX線バーストを発見しました。このほか、1981年までの観測期間中に国内およびヨーロッパ、南アメリカの天文台と同時観測をおこなって、中性子星の大きさや自転のふらつきなどの新発見に寄与しました。また、ガス吸入にともなうX線バーストが見られることからブラックホールの有力候補とされている、はくちょう座X-1の観測を行ないました。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
X線観測衛星としては、欧米のウフルーやアインシュタインがよく知られていますが、アインシュタインが1981年に機能停止して以降は日本の独壇場で、はくちょうのひのとり、てんま、ぎんが、あすかなどが相次いで打ち上げられています。
5.どのように地球を回るの?
高度545〜577km、傾斜角30度、周期96分の略円軌道です。
※参考文献:大澤弘之・監修「日本ロケット物語」三田出版会、斎藤成文「日本宇宙開発物語」三田出版会、山中龍夫・的川泰宣「宇宙開発のおはなし」日本規格協会
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