津波避難タワー
津波避難タワー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:08 UTC 版)
津波避難タワーは、浸水想定区域内にある津波避難を目的とする工作物であって、建築物以外の工作物であるものが該当する。内閣府によると、日本国内では2021年4月までに23都道府県で502棟建てられ、東日本大震災前(45棟)の11倍に増えた。 建築物以外の工作物には、建築基準法において、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類するもの等があり、一定の規模以上のもの等は建築物と同様に、建築基準法に基づく建築確認を受ける必要がある。また、「津波防災地域づくりに関する法律」(平成二十三年十二月十四日法律第百二十三号)に基づき、「指定避難施設」として市町村長が指定する場合は、指定避難施設とする建築物と同様の要件を満たすことが必要になる。 なお、工作物の対象は広範であるため、津波避難タワーのイメージはつかみにくいが、一般的には、柱と梁を構造とする鉄骨造などであり、上部に避難のスペースを有し、そこに上るための階段やスロープを有するものをいう。ただし、高層の建築物で塔状のものの名称には「タワー」という語を含んでいるものがあることから、建築物であっても、津波避難施設であっても津波避難タワーと呼ばれている場合もある。宮城県仙台市が整備した「中野五丁目津波避難タワー」(2015年)は、3階相当部分に屋根と外壁を持つ避難スペースがあり、建築物として整備されている。 津波避難タワーは、建築敷地や駐車場等に建てられることが多いが、2013年(平成25年)の道路法改正により、道路占用許可が認められる物件となったことから、今後は道路上に建てられるものも出てくると考えられる。道路に建てる利点は、津波避難を目的としつつ通常は横断歩道橋として活用できること、用地がない場合でも対応可能なことなどがある。静岡県吉田町は、法改正にもつながった道路上の津波避難タワーの検討を行い、2013年9月23日に完成、同年10月15日から供用開始した。 津波避難タワーについては、建築物か工作物かの判断が固まっておらず、また、安全基準も整備されていない。このため、国による基準整備が求められている状況である。 また、「避難タワーは耐久性、高さともに安全性に限界があるが、住宅地に近いため誘導効果をもちやすい。想定以上の津波が来た場合、相当の犠牲者を生む危険性がある」との警告もされている。
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