時代情勢とは? わかりやすく解説

時代情勢

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 10:19 UTC 版)

美しい星 (小説)」の記事における「時代情勢」の解説

美しい星』が執筆されていた1962年昭和37年当時東西冷戦激化があり、日本安保闘争などの背後にもこのアメリカソ連対立があった。この両国対立は、水爆実験宇宙衛星開発競争進みキューバ革命政権樹立後のキューバ危機緊張高まりアメリカでは核戦争から身を護る核シェルター建造始まっていた時期であった。 これより先の1960年昭和35年11月から3か月間、三島瑤子夫人と共にアメリカヨーロッパ各国廻りロサンゼルス滞在中はケネディ大統領当選などを見たが、帰国後の1961年昭和36年4月には、ソ連有人衛星ボストーク」の地球一周成功や、8月にはベルリンの壁築かれた。9月三島は再びアメリカ渡り米誌招きで)、こうした緊迫した世界情勢現地受け止めていた。 三島は『美しい星』の連載始め1月に、『終末観文学』という評論発表し、〈弥勒信仰など、歴史的に見て宗教哲学終末観〉〈末世思想〉が古典の〈文学的造型〉と深い関わり持っていたことに触れながらも、現代の〈科学的可能性〉が保障し現実起こりうる世界終末〉は、これまでのように精神的な事件〉に留まらずに、はじめて文学の〈味方になりえぬ〉終末観になったとしている。しかし、かといって〈生活の具体性〉と〈今日終末観〉の互いに相容れない両者無理に結ぶつける試みや、ヒューマニズムで〈絶望〉に対抗する方法は、〈うすつぺらな形骸堕して〉しまうという作家的なジレンマ語っている。 もしかすると、世界終末が来るかもしれない少なくとも世界の終はりは、水爆発明以来科学的可能性として存在するやうになつたのである。(中略)われわれはさういふ意味では、稀有時代生きてゐる。(中略どんなに平和な装ひをしてゐても「世界政策」といふことばには、ヤクザ隠語のやうな、独特の血なまぐささがある。概括的な概念的な世界認識の裏側には必ず水素爆弾がくすぶつてゐるのである。(中略水爆戦争をそのカタストローフとする終末観は、あの概括的概念的なメカニック世界認識前提としてをり、もし文学がこのやうな世界認識受け入れたら、その瞬間文学崩壊してしまふ。しかしもし文学がこんな終末観反対して「美しい者が永久にここに止まる」といふ主張はじめたとしたら、それもまた、自縄自縛になりはせぬだらうか。それでは文学存在理由はなくなつてしまひ、彼はただ背理絵空事証人にすぎなくなるだらう。 — 三島由紀夫終末観文学」 また同時期に発表され短編帽子の花』は、サンフランシスコ滞在中のユニオンスクエア英語版)での体験題材したもので、〈完全無欠の生活の外見を保つて死んでゐる世界〉〈死の相貌〉〈世界滅亡〉といった終末観主題にし、ホームレス老人老女逞しい〈生活〉の姿と対比させて描いており、この作品は『美しい星』の主題とも関連している。

※この「時代情勢」の解説は、「美しい星 (小説)」の解説の一部です。
「時代情勢」を含む「美しい星 (小説)」の記事については、「美しい星 (小説)」の概要を参照ください。

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