文壇の評価と研究史とは? わかりやすく解説

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文壇の評価と研究史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 21:41 UTC 版)

有吉佐和子」の記事における「文壇の評価と研究史」の解説

デビュー当初有吉マスコミからは曾野綾子とならぶ「才女」ともてはやされたが、芥川賞直木賞とも候補終わった(「才女」には才能のある女の意味だけでなく、それ以前女性作家のような人生経験基づいた作品ではなく、頭だけで書いている、という揶揄含まれていた)。『群像編集長務めた大久保房男在任中有吉の作品一度掲載しなかった。また武田友寿千頭剛など一部除き同時代の批評家をはじめとする文壇からは敬遠されていた。有吉本人激しい気性理由一つであろうが、文学的にその物語性の強さ私小説純文学気風に合わなかったことが早くから指摘されている。また、一見古風なテーマを好む伝統主義者のように見えるが、実際に伝統外部から客観的に時にはエキゾチシズムをもってながめる「外地育ち」「エトランゼ異邦人)」の視線があるという評価確立している。一方歴史題材とした作品(特に『華岡青洲の妻』『真砂屋お峰』)では史実矛盾したところが多く見られるとして、歴史小説家からの評価今なお厳しい。 こうした中、1984年有吉死去に際して橋本治有吉文学通底するモチーフを「女性あっけらかん生きるのって素敵じゃない?」、つまり筋を通して働くことで男性束縛から自立した女性の自由と誇り擁護であると喝破しこれまでの批評家見られない新し筆致肯定的に論じた没後半田美永宮内淳子をはじめ、学界の中で有吉研究対象にする近代文学研究者増えている。 没後20年記念して2004年出版され井上謙半田美永宮内淳子編『有吉佐和子世界』は複数文学研究者集まりポストコロニアル批評などの新しアプローチによって正面から有吉とその文学追究した初めての単行本である。特に巻末年譜関連文献目録これまでで最も詳細である。 1994年2005年関川夏央有吉論じ、その生き急いだ感のある一生を「サーモスタットのない人生」と評した関川後期作品(『複合汚染』『悪女について』『開幕ベルは華やかに』)に構成破綻見られる指摘しているほか、紀行文『女二人ニューギニア』と『有吉佐和子中国レポート』を対比して前者明るさおもしろさ後者焦燥感との落差原因を「老い」に求め、また有吉の非私小説作風畑中幸子描いた前者自分自身奮闘描いた後者できばえの差にあらわれていると書いている。 これと関連して関川は、そもそも有吉には自分自身内面を書く能力意志もなく、自分と似た性格を持つ他の女性を外から観察して描くことにおいて卓抜さを発揮したのだと評しているが、有吉こうした傾向有吉の持つ「外地育ち視線」と呼応している。「お嬢さま」「才女」「外地育ち」という有吉位置は、いずれも対象外部から分析的にとらえるアプローチに結びついており、精神内省的な把握重視する姿勢からは遠かった。しかし同時にそうした外部」からの視角をもったがゆえに、それまで内部」では気付かれなかった斬新な論点世に先駆けて提起することができたのである

※この「文壇の評価と研究史」の解説は、「有吉佐和子」の解説の一部です。
「文壇の評価と研究史」を含む「有吉佐和子」の記事については、「有吉佐和子」の概要を参照ください。

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