戦争責任についてとは? わかりやすく解説

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戦争責任について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:46 UTC 版)

近衛文麿」の記事における「戦争責任について」の解説

近衞兼ねて1921年大正10年)の演説で、統帥権によって将来軍部政府二元化しかねない危険性説き、後にそれが現実となった形だった。しかし当時連合国軍総司令部中心となっていたアメリカ側にはこのような状況理解し難い内容であった近衞は『世界文化』に、「手記~平和へ努力」を発表し、「支那事変泥沼化大東亜戦争開戦責任はいずれ軍部にあり、天皇内閣お飾りに過ぎなかった」と主張した併せて自身軍部独走阻止できなかったことは遺憾である、と釈明した。 しかし近衞戦争責任対す態度は、近衞自身責任をも全て軍部転嫁するのであるとして当時から今日に至るまで、厳しく批判されている。親交のあった重光葵からも「戦争責任容疑者態度はいずれ醜悪である。近衞公の如き格別であるが…」と厳しく批判された。 また福田和也は、伊藤博文から小泉純一郎までの明治・大正・昭和平成総理大臣点数方式論じた著書の中で、そのあまりの無責任さがゆえに近衞歴代総理の中での最低の評価点を与えている。 政治学者猪木正道も、近衛広田弘毅の無責任振り批判しており、著作読んだ昭和天皇は「猪木書いたものは非常に正確である。特に近衛広田についてはそうだ」と猪木評価肯定している。 朝日新聞において12月20日から『近衛手記』が11回に渡り掲載された。開戦前日米交渉自身果たした役割語られている。これを読んだ昭和天皇は「近衞自分にだけ都合の良いことを言っているね」と呆れ気味に語っている。 元陸軍少尉山本七平は、「近衛言い訳」を次のように完全否定した。 しばしば、言われるのが、旧憲法では『第十一条 天皇陸海軍統帥第十二条 天皇陸海軍編制および常備兵額を定む』しかなく、政府はこれにタッチできない、という前提で『統帥権問題政府には全然発言権がなく』と近衛言っている。果たしそうだろうか。明治憲法には『統帥権』という言葉はない。統帥とは、元来は軍の指揮権であり、いずれの国であれ、これは独立した機関持っている簡単に言えば首相勝手に軍を動かすことは出来ない。しかし軍も勝手に動くことは出来ない。というのは少なくとも近代社会では、軍隊を動かすには予算必要だが、これの決定権を軍は持っていないからである。 具体的に言えば参謀本部作戦立案するのに政府介入できない。しかしその作戦実施移そうとするなら、政府軍事費支出しないかぎり不可能である。動員するにも、兵員輸送するにも、軍需品調達するにも、すべて予算内閣承認し、これを議会審議して可決しない以上、不可能である。 日華事変近衛は『不拡大方針』を宣言した。しかしその一方で拡大作戦可能な臨時軍事費閣議決定して帝国議会でこれを可決させている。このことを彼自身、どう考えていたのか。政府予算通じて統帥部を制御できるし、そうする権限と義務があるとは考えなかったのであろうか。 チャーチルは『戦争責任戦費支出した者にある』という意味のことを言ったそうだが、卓見であろう。もちろんこのことは、この権限を持つ政府議会責任ということである(中略)。 近衛本当に不拡大方針を貫くなら、拡大作戦出来ないように臨時軍事費予算案から削れば、それで目的達せられる。彼にそれだけのことを行う勇気がなかった。というより軍に同調してナチスばりの政権樹立したい意向があった。園遊会で彼はヒトラー仮装をしているが、翼賛会をつくりナチス授権法のような形で権力握って革新政治』を行いたいのが彼の本心であったろう。 — 山本七平裕仁天皇昭和史―平成への遺訓-そのとき、なぜそう動いたのか』祥伝社2004年

※この「戦争責任について」の解説は、「近衛文麿」の解説の一部です。
「戦争責任について」を含む「近衛文麿」の記事については、「近衛文麿」の概要を参照ください。

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