小史と各手法の紹介
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 03:04 UTC 版)
1960年代初頭に「認知の革命」が出現し、初期には、エリスや、アーロン・ベック、マイケンバウム、マホニーなどは、行動的な手法の限界を指摘した。1970年代には、情報処理と学習に関する研究で著名なアルバート・バンデューラが認知の修正についての最初の影響力のあるテキストを公開し、自らを認知行動的な理論であるとする理論家が増えてきた。 同時代は1920年代から続いた行動主義に対して、1967年にナイサーが『認知心理学』という著作を公開し、新分野に名称を与え形作り、認知心理学が行動主義を引き継いでいった。当時は、行動主義はその行きすぎた傾向において、心という概念を抜きにして、客観的な心理学としての観察が可能であるとしたが、動物の行動を変化させる強化因子である、いわゆる賞と罰を決定する際に、生物学的欲求を満たすわけでもない強化因子が数多くあることや、賞と罰に関係なく子供が言語を獲得することなどについての自己矛盾を無視することができなくなった。。 行動療法や認知行動療法では、従来の精神分析のような高水準の抽象化は行われず、内省によって提供される情報に基づいているため、無意識や防衛機制といった精神分析の前提条件は除外されている。意識的な思考に焦点を当てているということである。 論理療法(Rational therapy) 論理療法はアルバート・エリスが1957年に提唱し、最初の認知行動療法であるとみなされている。彼の技法による目標は、不合理な信念(イラショナル・ビリーフ)を識別し、論理的な検討(つまり論駁)を通して修正することである。「治療に何年もかける必要はない」と述べ、時間のかかる手法(精神分析)に挑んだ。 認知療法(Cognitive therapy) 認知療法はアーロン・ベックが開発した。自動思考と呼ばれる、認知上の歪みを修正し、さらにスキーマと呼ばれる捉え方の根底的な部分にも焦点を当てる。 従来の行動と感情だけに焦点をあてたものから、思考や言語といった認知への焦点を加えた。 自己教示訓練(Self Instruction Training) ドナルド・マイケンバウムによって1970年代に開発された。認知行動療法という名称が最初に現れたのは、ドナルド・マイケンバウムの著作のタイトルである。 問題解決療法(Problem-Solving Therapy) D'ZurillaとGoldfriedが1971年に提唱した。 1980年代に、認知療法と行動療法を、認知行動療法へと積極的に統合したのはイギリスのポール・サルコフスキスであり、彼は強迫性障害の治療に応用した。精神分析の伝統が強迫性障害の治療に過去の記憶の抑圧に原因を求めてうまくいかなかったが、強迫観念に対して理性的な評価を下すための認知療法と、避けている者に徐々にさらす脱感作という行動療法とを結びつけた。
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