大日向の火とぼしとは? わかりやすく解説

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大日向の火とぼし

名称: 大日向の火とぼし
ふりがな おおひなたのひとぼし
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 大日向
選択年月日 2006.03.15(平成18.03.15)
都道府県(列記): 群馬県
市区町村(列記): 甘楽郡南牧村大日向
代表都道府県 群馬県
備考 公開日 8月1415日
平成4年群馬県指定無形民俗文化財指定
解説文: 大日向の火とぼしは、群馬県甘楽郡南牧村大日向伝承される盆の先祖供養火祭りで、八月十四日十五日の二日間行われる火とぼし山と呼ばれる集落近くの山に子どもたち登り麦藁作った大松明点火して里に降り、その火を小さな松明移して、子どもをはじめ地区男性たちがの上川原一斉に振り回す行事である。
 南牧村は、群馬県西南部に位置し、西は長野県佐久市接す県境である。周囲険しい山々に囲まれ山村で、集落南牧川とその支流形成する峡谷沿って点在する大日向地区は、東流する南牧川挟んだ滝ノ沢大日向笹平【ささのたいら】、宮ノ平【たいら】、門札かどふだ】の五つ集落から成り火とぼしはこの五つ集落の人たちによって伝えられてきた。その由来は、永禄四年(一五六一)に甲斐武田氏上州攻め入ったときに、領主小幡氏圧政苦しんでいた村民武田方に味方し松明に火を点じ多数武田勢みせかけ小幡軍を打ち破ったという史実求められており、そのとき喜び火祭りの形で伝えたのがこの行事であるという。また、各家では、十三日先祖の霊を迎え十六日に送るが、火とぼし十四日迎え十五日は送り火祭りであるともいわれる火とぼし呼ばれる盆の火祭りは、山中、底瀬【そこぜ】、大久保小塩沢【こしおざわ】など南牧村いくつかの集落かつては行われていたが、少子化過疎化等の影響によって、現在では大日向地区伝承されるのみである。
 行事準備は、七月下旬から始まる。松明材料となる麦藁集めたり集落回ってその年の行事参加する子どもたち募る麦藁かつては各戸用意していたが、農家少なくなった二〇年ほど前から、近隣富岡市などから購入している。こうした準備作業や行事の運営は、大正期ころまでは若者連と呼ばれる若者集団中心に行われていたが、現在は、各集落区長班長など地区の代表が行事の役員となってその任に当たっている。
 八月七日には、火とぼし山の草刈りや行燈【あんどん作り地区共同作業として行う。南牧川右岸集落は、早朝から火とぼし山に集まって刈り大松明が通る道つくりを行う。かつてはこの山の頂上狼煙【のろし】小屋呼ばれる小さな小屋麦藁作っており、行事の際に火を放ったというが、現在は行われていない。一方南牧川左岸集落は、行燈張り替えて、それに季節の野菜などの絵や「火祭り」「魂祭り」などの文字画く。この行燈は、十五日の夜に行われるオネリ称する行列の際に用いられる
 十四日午後から役員中心に松明作りを行う。山に持って上がる大松明は、麦藁の束を繋いで尖塔形にした約二メートルほどのもので、両脇麦藁束ねた火振り用の小さな松明二つ結びつけられる大松明参加する子どもの数だけ作られるまた、大日向集落にある安養寺前に高灯籠たかとうろう】が立てられる。日が暮れ始めると、大松明担いだ子どもたち役員大人付き添われ火とぼし山へ登り始める。山頂に着くと、子どもたち大松明下ろして先端点火する次いで小さな松明に火を移して振り回した後、燃え始めた大松明に綱を付けて引きずりながら山を降りてくる。一方、里では、火振り用の松明大日向集落内に掛かる通称火とぼし両端用意される山から下った大松明は、この通って対岸川原まで降りるが、その道すがら地区男性たちが橋の袂積まれ松明持って大松明から火を分けてもらう。男性たちは手にした松明に火を移すと、それに綱をつけて、欄干から身を乗り出しながら、あるいは川原水際立って一斉にぐるぐる振り回す。夜の闇の中で、松明燃えさかりながら炎の弧を描いて勇壮回転しとその眼下川原一帯火祭り様相となる。翌十五日も同様の次第行事が行われるが、オネリについては、近年十五日にだけ行われている。
 十五日は、夜七時ころからオネリが始まる。オネリは、行燈持った子どもたち先頭にして地区の人たちが太鼓や笛を伴って火とぼし山の登り口から大日向集落にある安養寺まで行列組んで練り歩くのである一行安養寺に着くと境内を三回まわり、最後に先祖供養のための念仏唱和して行事終了となる。



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