大磯の七夕行事とは? わかりやすく解説

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大磯の七夕行事

名称: 大磯の七夕行事
ふりがな おおいそのたなばたぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 西小磯東七保存会西小磯西子ども育成会
選択年月日 2002.02.12(平成14.02.12)
都道府県(列記): 神奈川県
市区町村(列記): 中郡大磯町西小磯
代表都道府県 神奈川県
備考 毎年8月6・7日(西小磯東地区)、毎年8月7日前後土・日曜日西小磯西地区
解説文: 大磯の七夕行事は、神奈川県中郡大磯町西小磯伝承されている行事で、子どもたち唱え事をしながら短冊付けた竹飾りや、その竹飾り用いて作ったタケミコシと呼ぶ作り物担いで地区内をお祓いした後、翌日早朝に海に流す行事である。穢【けが】れ祓い雨乞いなどを祈念する七夕行事であり、毎年八月初旬月遅れ行事として行われている。
 西小磯は、南を相模湾、北を大磯丘陵挟まれ地引網中心漁業畑作中心農業営んできた半農半漁地域である。西小磯東と西小磯西の二地区から成り東地区は八月六・七日に、西地区八月七日前後土・日曜日七夕行事行っている。この行事は、小・中学生主体として、地縁集団である組ごとに組織され子供連を単位行われてきたものである。現在、東地区では西小磯東七保存会のもとに西分【にしぶん】と東分【ひがしぶん】の二つの組の子供連ごとに行っており、西地区ではかつては本郷田中高砂、中、西の五つの組の子供連ごとに行ってきたが、現在は西小磯西子ども育成会中心に地区全体行事となっている。
 行事当日は、子どもたちそれぞれの家の軒先門口立ててあった竹飾り持って宿へ向かう。西地区では朝八時半ころから、東地区では午後一時ころから始まる。竹飾りは、青竹色紙作った短冊アミ呼ばれる切れ目入れた三角形飾りたわわに結び付けたのである。宿は、かつては子供連の中で籤【くじ】引きを行い、その年の宿となる家を決めていたが、一〇年ほど前から地区内にある公共施設利用している。宿の前には、行事当日の朝に、子どもたち描いた絵を張ったマンドウ立てられる
 子どもたちが宿に集まると、オハライあるいはオマイリといって各自竹飾り一本ずつ担いで地区内を祓い清めて回る。子どもたち行列作って、「エートッセ」などと掛け声をかけながら地区内を歩き神社水神、セーノカミ(道祖神)などの石祠【せきし】、、辻などで立ち止まって、「ナム セキソン ダイテンノウ ショウテンノウ……(中略)……フードンドンフードンドン」などと唱えながら、竹飾り地面繰り返し叩きつけてお祓いをする。子どもたち地区内を一巡すると宿に戻り西瓜安倍川餅などを食べて休憩するその後、再び同じ順路地区内を巡る。かつては何回地区内を巡ったというが、近年は子どもの数の減少もあって、一、二巡する程度になっている。西地区では地区内を一巡した後、七夕踊りといって子どもたちが面をつけて、簡単な手踊りしながら各家を訪れて賽銭をもらう。この七夕踊りは西地区のみに伝承されているものである
 その後オハライ使用した竹飾り用いてタケミコシが作られるミコシ竹飾り束ねて縄で巻いていき、その途中に担ぐための竹を横に数本差し込んだもので、束ねた竹飾り先端部分曲げて括り、その中央には形のよい竹飾り一本だけ選んで立てる。これは龍の形を模しているといわれている。ミコシ作りは、西地区では午後一時ころから、東地区では夕方から始められるミコシ完成すると、今度はそれを担いで地区内を一巡する。西地区では担いで回るだけであるが、東地区では竹飾りによるオハライ同様に神社石祠などの前で止まり唱え事をしながらミコシ上下激しく振り動かす。地区内を一巡すると宿に戻りミコシ安置して解散となる。かつては子どもたちそのまま宿に泊まったという。
 翌日は、早期六時半ころに子どもたちが再び宿に集まりミコシ担いで海岸まで行き流し出す。西小磯の子どもは、このときに沖までミコシ流し出すことで泳ぎ覚えたといわれている。近年大人代わりに行い、子どもが海へ入ることはほとんどなくなってきている。
 竹飾りやタケミコシで地域内を祓って回るのは、盆に精霊迎えにあたり集落内を清めるため、あるいは干ばつ防いで農作物豊作を祈る雨乞いの意味があるなどといわれるまた、かつて悪い病気流行したときに竹を担いで疫病神をよそへ追い出したのがこの行事はじまりであるとも伝えられている。
この行事は、盆に精霊迎える前の穢れ祓え降雨を祈る農耕儀礼的な性格がみられ、民間習俗としての面を濃厚に残している七夕行事として注目される


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