呪文
『スーフィーの物語』52「イーサーと未熟な修行者たち」 未熟な修行者たちが、マルヤム(=マリア)の息子イーサー(=イエス)に、「死から復活した時に用いた言葉を教えてほしい」と懇願し、教えてもらった。修行者たちは、荒涼とした土地に大量の白骨が積み重なっているのを見て、イーサーから教わった言葉を試す。すると白骨はみるみる肉で覆われ、獲物に飢えた獣のごとく修行者たちに襲いかかって、彼らの身体を喰いちぎった。
『ジメリの山』(グリム)KHM142 12人の盗賊が「ゼムジの山、開け」と呪文を唱えると、はげ山がぱっくり口を開く。盗賊たちは中に入り、山は閉じる。しばらくして彼らは山から出て来て、どこかへ去って行く。これを見ていた男が、同じ呪文を唱えて山の中へ入ると、多くの金銀財宝があった。男は金貨をたくさん持ち帰る。兄が真似をするが、帰る時に呪文を忘れ、「ジメリの山、開け」と言う。山は開かず、盗賊たちが戻って来て、兄は首をはねられた。
『千一夜物語』「アリ・ババと四十人の盗賊の物語」マルドリュス版第852~855夜 盗賊の頭が「胡麻よ、開け」と呪文を唱えると岩の扉が開き、40人の盗賊たちが洞窟中に入る。これを見たアリ・ババが、盗賊たちの留守に洞窟に入って財宝を盗み出す。兄カシムが真似をするが、呪文を忘れて洞窟から出られず、盗賊たちに殺される。
『藤棚』(森鴎外) 渡辺参事官が音楽会の聴衆について、「わかりもしないで聴いている」と批評した。五条秀麿(*→〔歴史〕3の『かのように』)は、「聴いていて良い心持ちになるなら、それでいいじゃありませんか」と言った。渡辺は、「大麦4升小豆3升」と唱えて成仏した人の話をする。「応無所住而其心生(おうむしょじゅうじきしんしょう=『金剛般若経』の1節)」と唱えろ、と教えられたのだが、その人には「大麦4升小豆3升」と聞こえたのだという。
『和漢三才図会』巻第65・大日本国「陸奥」 俗に伝えて言う。昔、源義経が蝦夷島(えぞがしま)で天寿を全うした後(*→〔影武者〕3)、土地の人は義経を祀(まつ)って神とした。現在でも、人が蝦夷へ行き、疑われて殺されそうになった時には、「南無義経」と唱えて礼をすれば、蝦夷の人はあえて害を加えない。
★5.蛇よけの呪文。
『蕨の恩』(昔話) 眠る蛇が、萌え出た茅(ちがや)の芽に体を突きさされて、動けなくなる。すると蕨が芽を出して蛇の体を持ち上げ、茅から抜いてくれた。あるいは、なめくじが周りをぐるぐる這ったために、蛇は動けなくなった。蕨が芽を出して土を割り、なめくじの跡を消したので、蛇は逃げることができた。それで、蛇に会った時、「蕨の恩を忘れたか」と唱えれば噛まれない。
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