労働条件の明示
・新たに労働者を雇う場合使用者は、下記に示す(1)から(5)に示す絶対的記載事項(絶対明示しなければいけないもの)を労働者に明示しなければいけない。
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所・従事する業務
(3)始業・就業の時刻、所定外労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日および労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(4)賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締め切り・支払いの時期
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
・また社内に定めがある場合、下記に示す(6)から(7)の事項も労働者に明示しなければいけない。
(6)退職手当定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払時期
(7) 臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項
(8)労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
(9)安全・衛生
(10)職業訓練
(11)災害補償・業務外の傷病扶助
(12)表彰・制裁
(13)休職
・雇用した後の労働条件相違によるトラブルを未然に防止をする観点から、雇用契約書を交わす前に労働条件通知書を文書で提示することが望ましい。(1)から(5)は文書による明示を義務付けられているが、その他事項も文書で明示することが望ましい。
労働条件の明示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 07:52 UTC 版)
(労働条件の明示) 第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 使用者の労働条件の明示は書面又は口頭によるが、明示事項のうち絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)については労働者に対する書面の交付が必要となる(いわゆる「労働条件通知書」。第15条1項後段、施行規則第5条3項)。これは労働者に対して労働条件の内容を明らかにし、紛争発生の防止をその趣旨とするものである。もっとも、明示がなされなかったからといって労働契約が成立しないわけではない。書面の様式は自由である(平成11年1月29日基発45号)。さらに、労働条件通知書は絶対的明示事項のみならず相対的明示事項も併せて記載し労働者に交付するよう、強く行政指導が行われている(平成11年2月19日基発81号)。なお、日雇労働者の場合は、同一条件で労働契約が更新される場合には、最初の雇い入れの際に書面を交付することで足り、その都度当該書面を交付しなくても差し支えない(昭和51年9月28日基発690号)。 平成31年4月の改正法施行により、使用者は、第15条1項の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない、と条文に明記された(施行規則第5条2項)。また労働者が希望した場合には、ファクシミリや電子メール等(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る)で労働条件を明示することができるようになった(施行規則第5条4項)。 使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合(第106条)には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとなり(労働契約法第7条)、実際には労働者個々に定める事項以外は就業規則を労働者に交付することで一律の労働条件を定めることになる。
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